あー、ダリルさんが、復帰せん皆に我慢できんかった、みたいじゃな。
しかし、じゃ。
今回は、皆が皆、復帰せんのぅ。
ロゼッタ嬢も、いまだにカツンカツンしちょるでのぅ。
ダリルさんが待ち切れんかった、みたいじゃて。
皆の手からカトラリーを回収し、皿を下げちょるな。
机を拭き、皿とカトラリーを洗って納め、調理器具も洗浄し終わっようじゃ。
厨房も念入りに清掃しちょるわい。
まぁ、調理場じゃけぇ、当然じゃわな。
人数も居るけぇ、食器やカトラリーが多く、さらに厨房は広い。
調理器具も多彩じゃ。
ほじゃけぇ、コレには時間が掛かる、っと思うじゃろ?
ところが、じゃ。
実際には、さほど時間が掛かっちょらん、かったりする。
いや、普通なれば、結構な時間が片付けに掛かるぞい。
じゃがのぅ、片付けしちょんのは、ダリルさんじゃて。
晶石ちゅうんをじゃ、操れるけぇなぁ。
それを、駆使して片付けちょるんじゃ。
晶石にはの、水火風雷氷の五種類がな。
そん内の水火風雷を使って、片付けを。
まぁ、水晶石を洗い物に使うんは、分かるわなぁ。
じゃがの、単に流水として、使っちょらんけぇな。
霧状ちゅうか、ミスト状にしてもの。
流水にもじゃがな、ミストにも雷を。
微電流ちゅうより、ちと強いやもな。
そん流水やミストに、風球を混ぜちょんじゃ。
こん風球が電流で、細かに振動しよるでなぁ。
汚れを見る見る内に、刮ぎ落としとるんじゃ。
さらに、火晶石にて水晶石から放出した水を温めちょる。
こん温水にて脂が程よく溶けちょるで、落とし易いちゅう訳じやて。
むろん、こん技法はの。
食器類を洗うだけには、止まらんでなぁ。
厨房中を熱せられたミストがじゃ。
雷と微細な風球を纏っての。
風晶石から放たれた風んにて。
そがぁして放たれた熱霧が、風で厨房を舞い巡る訳じゃな。
こがぁな、反則みとうな清掃を、じゃ。
ほじゃけぇ、数分で、片付けが、のぅ。
もぅ、ピッカ、ピカぁ、じゃぞい。
油汚れもじゃが、埃一つ無いでな。
経年劣化を気にせんかったら、改築直後、ちゅう感じじゃろか?
これ、飲食店しちょるモンなれば、羨望の眼差しを。
いや、儂も普通に欲しいわいっ!
『アレだけの霧が舞ったにも拘らず、全く湿気っておりませんね』
ほうじゃの。
微電流にて振動しちょる風球が、水分も刮げ落としちょるで。
付着しようとする端から、剥がされる、ちゅう感じかのう。
『ううむぅ。
機械的には再現が難しいですね。
再現出来れば、需要がありそうですが』
おおぅ。
ダリルさんの、あん技を再現かや?
ふむ。
もし、そがぁな清掃機が存在するんなら、儂でも欲しいのぅ。
『マスターが、ですか?』
ん?
儂が欲しがっちゃ悪いんかえ?
『いえ、そうでは無いですが、何に使われるので?』
はい?
不思議なコトを聞きよるわい。
そがぁなん、掃除を楽にするために、決まっちょろうが?
そがぁに告げると、じゃな。
『掃除ですか?
何時、何処、を、で、しょうか?』
はぁ?
あー、え?
『気付かれたようですが、マスターの自室は、ドロイドや使用人が整えております。
屋敷全般もです。
マスターが使用される工房も、同様となっております。
つまり、マスターが、ご自分で清掃をされるコトは、有り得ませんが?』
あー、その、なんじゃ?
そうなんじゃ?
『はい』
なれば、儂が清掃機を手に入れても、使わんわなぁ。
せめて一人暮らししちょる頃に、欲しかったわいや。
『いやいや。
その頃は、コチラと出会ってさえいませんから。
清掃機が存在しても、手に入らないかと。
そもそも、市販できる額には、なりませんよ』
おおぅ。
まぁ、何気に高等技術を駆使しちょるけぇなぁ。
あがぁなん機械的に実現できても、そらぁ、高うなるじゃろて。
手が出んじゃろなぁ。
ちゅうかじゃ。
『どうなされました?』
いや、の。
考えたら、晶石さえ有れば、アレ、儂でも多分じゃが、出来るぞい。
遣り方は分かるでなぁ。
『・・・マスター?』
なんじゃい?
『誰が人外でないと?』
ん?
なんの話しじゃ?
はて?
分からんのぅ。




