さて、晩餐じゃてな。ジックリと、味合わせて貰うか、のぅ。
そん後?
そりゃあ、皆で夕食じゃて。
まぁ、儂と沙織さんは、団欒に加わっちょらんがの。
ちゅうても、沙織さんは、惚け仲間に入っちょったが。
しかしのぅ。
こんデミグラスシチューちゅうのは、最高じゃ。
ビーフシチューはビーフの旨味で食わすけぇ、ビーフを頭に冠しちょんじゃろうな。
つまり、ビーフの旨味が主役ちゅう訳じゃて。
じゃが、コチラはの。
様々な肉がベースに。
コレが、また、ウモウてなぁ。
そもそも、使った肉は全て、ギリギリまで熟成しちょったでな。
ありゃあ、単体で食うても、相当な美味さじゃったじゃろうて。
じゃがの。
竜種や獣に蛇なんぞの様々な肉が、ゴチャゴチャに混ざった状態じゃ。
本来なら味が喧嘩するじゃろて。
そん味が喧嘩する個性ちゅうか、灰汁なんじゃが。
コレをマル芋湯にて抜いておる。
ほじゃけぇ、味が喧嘩せんと一体化しちょる訳じゃてな。
まぁ、普通では有り得ん技法じゃてのぅ。
調理技法に対するチートちゅうても良かろうて。
こん肉ん旨味が幾層も重なったようなスープ。
肉味のミルフィーユ仕立て、ちゅうかな。
そんだけ肉味が重なるとのぅ。
ムツコイちゅうか、クドくなるハズなんじゃが。
コレがの、後味爽やかでなぁ。
思わずの。
「んじゃあ、コリャぁあぁぁっ!?」
ちゅうてな。
『マスター!!
どうなされました!?』
ジェミアさんが、仰天してな。
い、いや、の。
未知との遭遇に、思わず、のぅ。
『未知との遭遇、ですか?
宇宙人は居りませんが?』
ソレじゃあ、ぬぇいっ!
あー、アレじゃ、アレ。
ダリル飯に、チトの。
イヤの、ブラウンソースを味見した時にも、感じちょったんじゃがな。
味が濃過ぎず、後味が良かったんじゃよ。
元来、ビーフシチュー系のスープちゅうんはな。
濃いちゅうか、チトばかしクドい感じかのぅ。
味自体も辛いちゅうか、濃いちゅうてなぁ。
それが、儂がビーフシチューのイメージじゃてな。
いや、じゃからコソ、美味いちゅうとも、言えるんじゃが。
ほじゃがの。
こんデミグラスシチューは、じゃ。
味は濃い、ちゅうか、深いんじゃ。
じゃがの。
脂濃さちゅうか、ムツコイちゅう、クドさが無いんじゃよ。
いや、脂の美味さちゅうんは、有る。
有るんじゃが、口に纏わり付かんの。
しかも、味はシッカリと感じられるんじゃが、辛くない。
こりゃぁ、香草ちゅうかハーブ?
いや、香辛料かや?
清々しい香りと旨味が合わさり、実に食い易くのぅ。
ほんでの。
一緒に煮込まれた根菜は、芯まで火が入っちよる。
味も染み込んでな、ホクホクとトロけるようじゃ。
こん根菜で思い出したんじゃがな。
最近は店で出すカレーが、カレーじゃ無くなっちょる。
ありゃあ、カレーじゃのうて、カレールーじゃてなぁ。
昔のカレーちゅうんは、カレーに根菜がなぁ。
ジャガイモ、ニンジン、タマネギ、などなど。
コレらが煮込まれちょるで、カレーと一体化してな。
コレが、当たり前じゃったんじゃよ。
じゃが、今ではルーだけが当たり前にの。
巫山戯ちょるんかえ?
金をせしめるんがメインで、美味いモン食わせるちゅう考えが無いんじゃろなぁ。
で、野菜カレーちゅから頼んだら、ゴリゴリに固い湯で根菜が、後付けで。
正気か?
まぁ、マトモな店を見付てないだけかもしれんが、C○C○壱○屋ちゅう店は、高いのに、カレーじゃのうて、カレールーを出しちょるわなぁ。
あがぁな店が幅を利かせちょんは、困ったもんじゃて。
っと、話しが逸れたわい。
デミグラスシチューの美味さに思考がブレ気味じゃ。
思考の大半が、こん旨味を知覚すんのにな。
こりゃあ、野菜の旨みや、調味料の旨みもあるが、ソレらがサポートして引き出した、肉の旨み、じゃ、な。
もうのぅ。
怒涛の如く押し寄せる旨味に、押し流されそうじゃて。
惚けはせぬ。
惚けは、せぬ、ぞぉ!
じゃが、こん、美味さわぁ!!
「美味い、ぞぉぉっ!」
思わず、叫んでしもうたわい!




