ダリルさん式なグレービーソース?では、味見せんとなっ!
儂が崇高たる宣言をしたらの。
『単に食べたいだけですよね?』
などとジェミアさんがの。
な、なんちゅうコトを言うんじゃ!
こん崇高たる試みを、なんと心得ちょるんなら!
「いや、単なる味見ですよね?」
沙織さんが、呆れたように。
なんちゅう誤解を!?
出来上がっちょらん代物じゃぞ、単なる、では無いわい!
「え?
味見に種類などなるのですか?」
種類ではのぅてな、ダリルさんはグレービーソースの味を知らんのじゃぞ。
しかも調味料が足りちょるとはのぅ。
そがぁな状態にて作っておるで、どがぁな味んなるか分からん状態じゃてな。
『ま、まさか!』
ん?
『マスターが、純粋にぃ、味を確認しようと!?』
どう言う意味じゃ!
まったく。
で、味を確認しつつ作っておったダリルさんが、軽く頷いての。
「実際の味は知らぬが、手元にある品で作たとしては、上等だろうよ。
コレへ小麦粉を加え、伸ばす感じか」
そがぁなん言っちょるでな。
ちと味見じゃわい。
っ!?
「ご主人様!?
どうなされました!」
沙織さんが、心配そうにの。
まぁ、目ん玉ひん剥いて、驚愕顔になったけぇなぁ。
ちゅうか、ホンマに驚いた訳じゃが。
「う」
「う?」
『なんでしょう?』
「美味いぞぉぉぉっ!」
思わず声が、の。
映像世界では、声を出さんとも思考で通じるけぇな。
ほじゃけぇ、大半は思考にて遣り取りしちょる訳じゃ。
ほじゃが、そがな儂が思わず声を出してしもうたけぇ。
メチャ美味いんじゃが?
「そ、そんなに、ですか?」
沙織さんが、興味津々に。
ほじゃけぇな。
そんなに、じゃ。
ちゅうてな。
ゴクリっ、ちゅうて、沙織さんの喉が。
こん子も食い道楽ちゅうか、食いしん坊じゃけぇなぁ。
「マスターが、そうさせたんです!
毎回、こんな美味い料理を食べさせられたら、そうもなりますわっ!」
『沙織』
「はい」
『伽耶が嘆きますよ?』
ん?
なんでじゃ?
「なんで、お母様が、出て来るのでしょう?」
首を傾げているの。
『映像世界の料理にて食道楽になった、っと言うコトは、普段食べていた伽耶の料理が劣ると、言うコトになりませんか?』
そがぁなん言うんじゃがの、このAIさんは。
『なんでしょ?』
ちと、ムッとした感じでな。
じゃからの。
「食材も、香辛料や香草なんぞも、じゃ。
明らかにダリルさん世界の方が。
いや、ダリルさんが、揃えるモンが上じゃ。
しかもダリルさんはじゃ。
晶石ちゅうんを使って調理しちょる。
こん技術は、地球どころか、本国とやらでも無理じゃろて。
比較すんのが、そもそも、間違いじゃてな」
思わず、声に出して、諭すようにの。
『・・・
なるほど、そう言う物ですか?』
ちゅうでな。
そう言うもんじゃて。
ちゅうてな。
まぁ、ジェミアさんはAIじゃ。
ほじゃけぇ、食べる、ちゅうコトがの。
知識が有っても、実際に体験せんと分からんモンは多い。
特に食うちゅうコト、それが齎す味ちゅうか、旨味ちゅうんもの。
特に中層獣を含む、深層獣のラグラクス食材じゃぞ。
まぁ、近場で狩ったヤツの肉も混ざっちょるがな。
て、この近場で狩った獲物の肉が、ダリルさんが育った森の獣肉より劣るのは、間違えないんじゃがな。
それでも地球で得られる、どがぁな肉よりも美味い、ちゅいうんは、間違いないでなぁ。
ちゅうか、じゃ!
野菜や香草、香辛料などなど。
素材の質と味は、アチラが上じゃて。
地球的には、人の手が入った植物系食材は、自然界のソレよりは美味い。
それは、間違いないじゃろぅて。
じゃが、それはダリルさん世界には、当て嵌まらんでな。
滅んだ数多の古代文明にて、様々な品種改良された品が、自然界に根付いておる。
特に美食を追求し続けた文明の名残りは、凄まじい。
そがぁな食材で、晶石を駆使した調理じゃてな。
どのような地球の調理人であっても、比較にならん料理になるんは、仕方あるまいて。




