討伐終わりて、後片付けしたでな、帰るかえ?
解体を終え、背嚢に入り切らなかった素材を、ラグラクスの皮で包む。
それにロープを付け、引き摺るようにして移動を。
血溜まりと言うか、血の海については、晶石へ付与して回収しちょるでな。
水で洗い流しながら、晶石へ回収しちょったわい。
しかし、あがぁなん、どがぁすんじゃろか?
洞窟から出ると風繭へ、自身とギーゼットを包んだダリルさんがの、宙を駆けての帰宅じゃな。
駆けるちゅうか、飛ぶちゅうかの。
アリャ、ミサイルみたいに飛来ちゅう感じじゃて。
屋敷まで、瞬間移動じゃてのぅ。
本来ならば、こがな速度で移動しちょったならばじゃ。
衝撃波にて甚大なる被害が出るもんじゃて。
そん衝撃波が散らんように、風の道ちゅうトンネル内を。
じゃが、真空でもないトンネル内においても、衝撃波が。
そん衝撃波を、晶石へ付与しつつのぅ。
こがなん、現代技術を持ってしても、再現不可能じゃて。
『いやいや。
地球の技術で行うのも、ですが、本国の技術を持ってしても、不可能なんですが?』
はい?
時空間移動が可能な文明なんじゃろ?
『あの速度の移動なれば、可能です。
ですが、衝撃波を無効化するなど、不可能ですから』
なるほど、のぅ。
確かに、高速移動を可能にしたとしてもじゃ。
大気ちゅう壁に阻まれるでなぁ。
コレなんじゃが、意外とバカにならん。
高速移動するなれば、こん空気ちゅうんが個体の如く。
音速の壁ちゅう言葉があるんじゃが、ありゃあ正確には大気の壁じゃてな。
しかも、空気抵抗ちゅう摩擦にて、摩擦熱も。
ある物語にて、主人公が高速移動するヤツが、の。
移動しても、服にダメージなしじゃ。
いやいや。
肉体も、あがぁな速度で動きゃあ、ボロボロになるじゃろうて。
しかも、高速移動しつつ、生身の人間を確保しつつ移動じゃとぉ?
いやいや。
確保されたモンは、下手したら大気との摩擦で、ボロボロになるじゃろうな。
ほじゃけぇ、安易な高速移動は危険なんじゃよ。
そん欠点をじゃ。
晶石ちゅう石のみで解決?
最早、超常現象じゃて。
「ふむ。
この移動は良い。
移動時間が、大幅に短縮可能ゆえ、時間の確保に悩まずにらすむな」
そがぁなコトを呟いちょるんじゃがな。
ギーゼットが呆れたように見ちょるわい。
まぁ、彼女からしたら、便利などと言っておれんか。
ダリルさんは、己の意思にて移動しておる。
じゃが、ギーゼットの場合は、気付いた時にゃあ、既に移動しちょるでな。
映画なんぞで、一瞬にシーンが入れ替わるコトがあるじゃろ?
アレがリアルにて、発生したようなもんじゃてな。
「さて、素材を仕舞ったら、夕食の支度だな。
ラグラクス討伐は、予想外だったが・・・
だが、良い試し斬りには、なったか」
そがぁなん言いながら、狩った獲物の素材を保管しに。
とは言え、大半が肉である。
ゆえに、厨房へと、のぅ。
厨房に隣接する、氷室へ向こうちょるようじゃて。
氷室と入り、運んで来た荷を降ろす。
「ギーゼットも、ご苦労だったな。
オマエが手伝ってくれるため、多くの荷が運べ助かっている」
そう告げ、優しくギーゼットの喉元を撫でる。
ふむ?
猫科ゆえ、喉元を撫でられるんが、心地良いんじゃろか?
【ゴロゴロ】ちゅうて、目を細めちょるんじゃが?
まるで、猫じゃな。
そんなギーゼットを労いつつ、彼女が運んだ荷を降ろす。
そして、カバンを背から外しておるのぅ。
背を跨ぐように左右に垂れるカバンは、付け慣れない彼女には、窮屈じゃったみたいじゃでな。
外され、ホッとしちょるわい。
カバンが外されると、チトばかりダリルさんから離れ、毛繕いを。
寛ぎモードかえ?
ちゅうてものぅ。
ギーゼットにとっては、なかなかに気苦労が絶えん狩りじゃったでなぁ。
特に、瞬間移動には、仰天しちょったし。
で、ダリルさんの方は、背嚢を降ろし、荷を整理しちょるでな。
ご苦労なこって。




