試し斬りちゅうとらんかったかえ?ダリルさん。アータ何しちょんの?
ダリルさんが察知した獣、テンゾル。
ヤツの方は、まだダリルさんに気付いちょらんな。
ちゅうか、こん距離にて、よう気付くもんじゃてな。
『それって、例の微電流ですか?
それにて、感知されておられるのでは?』
あー
ほうじゃったのぅ。
まぁ、一種のレーダちゅうたら、理解が早いんちゃうんかい。
ま、アレを人ん身にて行えるちゅうんが、そもそも、おかしいんじゃがな。
「ふむ。
弓矢を使っては試し切りにならんな。
本来なれば、気付かれずに屠るが筋。
だが、敢えて正面から行くかね」
いやいや。
わざわざ、危険行為せんでものぅ。
儂が、そがぁなん思っちょる間にじゃな。
ダリルさんが、のんびり、ちゅう感じでなぁ。
いやいや、今から戦うんじゃろ?
『ダリル様にとっては、戦闘と言うよりも狩りなのでは?
相手は狩る獲物に過ぎないのかと』
流石じゃのぅ。
じゃが、慢心が過ぎんかえ?
ちゅうても、全く油断しとらんがの。
隙ちゅう隙がないでな。
ほうじゃのぅ。
無形の位ちゅわれるヤツに、似ちょるかえ。
側から観ちょるとの。
気楽に森散策じゃて。
って、うをぉぉいっ!
なんか採取しちょんじゃが!?
いくら自然体ちゅうても、じゃな。
あ。
テンゾルがダリルさんに気付いたぞい!
いやいや。
採取しちょる場合じゃのぅて、じゃな!
テンゾルが、ダリルさんを獲物ちゅう風に。
舌舐めずりしちょるのぅ。
距離は結構離れちょるで、走り寄られても避けれるじゃろて。
じゃが、採取中は、流石に不味うないかえ?
ん?
なんか、短い足で走り出したのぅ。
チョコチョコと高速で足が。
なんか、可愛くないけぇ?
はい?
丸まった?
いや、そのじゃな。
お約束ではあるんじゃが、矢張り丸まったのぅ。
丸まって転がり始めたんじゃがな。
そがぁに速いんかぁぁいっ!
そんスピードは、想定外じゃて。
時速80キロは。
『100を超えましたね』
マジかぇ!
ぬぅあっ!
アヤツ、晶石持ちかえ!?
丸まった形はタイヤじゃて。
ホイール部分は、胴体がの。
で、じゃ。
そんホイール部分から外に向けて、四肢の爪が外への。
そん爪先から、風が吹き出しちょる。
アレが推進力になっちょるんかえ?
なんなんじゃ、こん世界の獣はっ!
「ふっ。
コレだけ隙を見せれば、向こうから仕掛けて来たか。
毎回追い掛けるのもだが、襲い掛かって来たのを、試し斬りするには、コレだけ離れて隙を見せんとな。
大概は接敵前に逃げられるからなぁ」
はい?
今のダリルさんが呟いた言葉からすると、ワザとかえ?
いやいや。
シャガんで採取なんちゅう、隙だらけな体勢でじゃな。
って、え?
いや、シャガんじょらんかったかえ?
抜剣して構えちょるんじゃが。
テンゾルん方を観ちょったけぇ、気付かんかったわい。
『マスター』
なんじゃい?
『ダリル様は、マッハにて移動されるような方なのですが?
その速度域にて行動される方が、あの程度の動きをされても、当たり前レベルかと』
いや、人間辞めちょらんかぇ?
『マスターも同様のコトを、行えますが?』
そりゃ、なんかぇ?
儂も人間辞めちょる、ちゅんかえ?
『私は、そんなコトを申しておりませんが?』
「そうですね。
申されたのは、ご主人様かと」
儂の味方、居らんのけぇ?
グッスン。
ちゅうかの。
なんか、テンゾルちゅう獣が、焦っちょらんかえ?
『ダリル様が構えて、気配を解放したせいでしょう。
本来なら近寄らず逃げねばならぬ相手です。
そんな相手へ、自分から仕掛けていますから』
なるほどのぅ。
しかし、リアルなれば、刹那の時間に過ぎんのじゃがな。
映像世界じゃで、コチラ側は時が加速しちょる。
ほじゃけぇ、ジックリと観戦可能ちゅう、訳じゃてな。
あ、接敵した。
接敵?
据え物斬り?
テンゾルを斬り飛ばしちょるの。
いやいや。
ありゃあ、得物もじゃが、ダリルさんの膂力も。
矢張り、マッハなんじゃろな。
儂は観えたんじゃが、振り下ろし一閃にて、テンゾルは真っ二つじゃて。
で、瞬時に通り過ぎた刃が通った先から衝撃波がの。
斬れた場所から吹き飛んでおる。
硬い硬皮以外は吹き飛んじょるんじゃが?
こわっ!?




