食パンが無い?っか、パンを食べちょるんは?はい?
食パンが無い?
いやいや、型に入れて焼き上げるだけじゃろに。
『その型に入れる発想が、生まれていないみたいなのです』
どう言うコトじゃ?
『丸く形成してから窯へ入れて焼き上げるだけで、パンの焼成は可能となります。
そのため、わざわざ型に入れて焼く発想が無いのです。
さらに通常は一次発酵のみであり、二次発酵は行いません。
待つと言う文化が根付いてないようですので』
ほうなんけぇ?
まぁ、発酵自体を認識しちょるだけ、マシなんじゃろがな。
『そうですね。
平民の大半は、無発酵のヒラパンを食しております。
パンを焼くにしても薪などが必要となり、その対価は軽くはありません。
さらには発酵には時間が掛かります。
時間と言うのは、平民にとっては貴重なのです。
全てが人力にて行われている世界では、人と言う労働力は貴重であり、無駄な時間を使う暇などありませんので』
をいをい。
パンを発酵させる時間が、無駄なんけぇ?
『それはそうでしょう。
っと言うか、平パンでさえ、平民で裕福な者しか食べておりませんが?』
はい?
何でじゃ?
『それは、そうでしょう。
穀物を挽き、粉にしてから練り、それを焼き上げるのですよ。
非常に手間が掛かっているでは、ありませんか』
ふむ?
そう言われれば、そうなのやもな。
っと、なれば、富裕層でない平民は、平パンも食べちょらんコトになるんじゃが?
『そうですね』
はい?
では、何を食べちょるんなら?
以前、ダリルさんの里近くに在る村では、穀物を接収され困窮しちょったが、麦では?
『麦は税として納めるため作られております。
ですが、村人が食べる訳では無いのです』
ほんなら何を食べちょるんなら?
『バナナみたいな実が成る木が有り、その実を焼いて食べておりますね。
後は芋でしょうか。
米や麦のような穀物も存在しますが、そちらは天日干しや脱穀などが必要となり、非常に手間が掛かります。
味や腹持ちなどから、ソチラが好まれますが、食す迄の手間と時間から、貴族や富裕層しか食しません』
ふむ。
コレが焼いたバナナのような実かえ?
『いや、マスター?
何処から出されたので?』
ん?
いや、なんや知らんが、どがぁなモンじゃろか?ちゅうて思っちょったら、現れたんじゃが。
ジャミアさんが、用意したんじゃないんけぇ?
『いえ、私では。
・・・どうやら、アーカイブが参照された形跡がありますね。
参照元はマスターですが、これは?
幻想機経由にて、参照されている?
理由は分かりませんが、マスターの意識を読み取り、幻想機がアーカイブを参照しつつ、映像再現したみたいですね』
なんとのぅ。
そがぁなコトがあるんじゃなぁ。
『普通は起こりえませんが、マスターと幻想機を介して得られる、潤沢な次元エネルギーが影響したのかと。
まぁ、推測の域を超えませんが。
なにせ次元エネルギーについては、未解明となるコトが大半となりますので』
ふむ。
分からんコトを、いくら考えても分からんわい。
ソコんトコは、お偉い学者様にでも任せるとして、こん焼きバナナを食べてみるかのぅ。
ふむ?
バナナ?
芋じゃのうて?
しかもサツマイモ系じゃのうて、ジャガイモ系?
っか、なんや汁気が少のぅて、モソモソちゅうか、ゴリゴリかぇ?
コリャあ、調理方法を間違えておらんかえ?
おおぅ!
イキナリ、調理シーンが再現せんで欲しいんじゃが?
ふむ?
実を皮を剥かず、葉に包んでから直火かい!
葉は黒焦げ、皮も黒ずんでおるの。
皮を剥いたら、先ほどのヤツかいな。
ふむ。
確かに手軽では、あるかの。
っか、のぅ。
こんバナナ擬を水に漬け込み、濡れた草で包むじゃろ。
そがぁしたヤツを、葉で包んでから、焚き火からチト離してから焼くとじゃな。
ほれ、ホクホクな感じじゃわい。
こがぁなん、手間ちゅう程じゃなかろうに。
なんちゅう勿体ないコトしよるんじゃろか?
食材に謝れっ!




