甘味を頂いてから、店内へと。ダリルさんのお眼鏡に叶うかのぅ?
こん店が、マサカの燐領アンテナショップじゃったとは!
っか、アンテナショップの概念が、こん世界にのぅ。
『いやいや。
アンテナショップと言う意味での出店ではないでしょう。
まぁ、結果的には、そうなっておりますが』
じゃが、宣伝効果は抜群じゃろてな。
こがぁな中世ヨーロッパ的な、いや、それ以前かや?
そがぁな世界で宣伝ちゅう手法は、広まっちょらんじゃろうてなぁ。
『左様ですね。
宣伝効果が認識され、広まったのは産業革命以降とされています。
まぁ、物流も未発達な世界ですから、大規模な宣伝を行うのは困難かと。
主な宣伝場所としては、貴族などが開くパーティや、富豪達の集まりなどでしょうか。
そうなると、一定範囲の限られた方にしか伝えられません。
この形式は、なかなかに斬新な試みかと』
そうじゃろうな。
また、立地も良い。
旅人が集まり、一休みし易い場所じゃ。
長旅で喉も渇いておろうて。
余裕がある者なれば、茶の一杯も、のぅ。
さらに落ち着けば、甘味も欲しゅうなるか。
そがぁなん、富裕層しか無理じゃが、安い茶や茶菓子もの。
行商人でも手が出せる、手頃なんがじゃ。
で、誘惑に負けて手を出すと、何とも言えん程に美味い。
なれば、食材が気になる所。
興味に駆られ店内へと。
すると、燐領の特産が、食材以外にも。
他所で売れば、売れる!
そがぁ風に思わせる品々がの。
当然、行商人なんぞは仕入れて行くでなぁ。
で、他所で売られた品が評判を呼び、富裕層や豪商までもが。
さらに貴族までも。
そう、茶道楽さん達じゃな。
当然ながら、商人さん達は、ココで仕入れて戻っておるぞい。
それと言うのも、伯爵領がメイン街道から離れておってな。
伯爵領から先が樹海じゃったりしてな。
森の民とは遣り取りがあり、そちらの交易は、まぁまぁなんじゃよ。
そちらは、の。
じゃが、森人が齎す代物目当ての商人は、領内産物にはな。
なにせ積載量が限られるで、森人産の代物で十分じゃと。
そがぁなると、領内の産物は、地産地消だけに、のぅ。
領内を発展させたい領主としては、頭が痛い問題じゃて。
そこでじゃ。
売れる場所で売ろう、ちゅうコトでな。
こん地へ店をの。
じゃが、そがぁな店を他人に任すのは不安じゃて。
ほじゃけぇ、妾腹とは言え、仲の良い弟になぁ。
まぁ、一族のアイドル的なリコ嬢まで、弟に着いて行くのは誤算じゃったみたいじゃが。
そがぁな店じゃけぇ、品揃えは良いぞぇ。
より取り見取りじゃてな。
豆汁を頂いた後、ダリルさん達は店へと。
まんまと術中にハマった感じかえ?
「ほぅ。
安い品も、それなりの品質だな。
コレなれば、庶民でも手が出せるだろう。
だが、コチラの高品質な代物は、値は張るが物は確かだ。
しかも、ドコでも手に入る品では無いな。
ふむ。
店主殿よ」
「何で御座いましょう?」
「物は相談なのだがな。
金銭で買うか、中層で得た品と交換するか。
どちらが良い?
金銭でも構わぬが、コチラでは手に入らぬ中層素材との交換も受け付ける。
ま、そちらが金銭の方が良ければ、そちらにするが?」
何気ないように告げておるが、バカな店主なれば金銭を選ぶであろう。
ダリルさんは深層狩人として活動しとるでな。
結構な額を稼いでおる。
しかも高貨も持ち合わせておるで、支払いは十分にの。
なにせ商人でも、お目に掛からぬ高価値の硬貨を。
まぁ、出されても、普通は扱いに困る代物じゃ。
領や国が扱う硬貨と言えば分かるじゃろうか。
そん硬貨を見せると、店主が目を見張る。
ダリルさんが求める品々を渡しても、お釣りを払う価値の物だ。
むろん、その上の硬貨も持っていたりするのだが。
「そ、そのですな。
その中層素材を見せて頂くコトは?」
まぉ、当然じゃわな。
「うむ。
コレなど、どうかね。
後は、コレらか」
そう告げ、中層素材を、次々と提示しちょるわい。
店主さん、驚愕じゃて。
パないのぅ。




