さて、目的の甘味を、ん?これ、けぇ?はい?
完全に皮革屋のコトを忘れていた一同。
まぁ、一応はお代を頂いておるでな。
じゃが、剥製として高値で売れたならば、ソレにて還元するちゅうとったか?
ダリルさんは、別に要らんちゅうとったんじゃがのぅ。
律儀なコトじゃてな。
「ふむ。
帰りに寄ってみるかね」
「いや、よぅい。
空から行ったらよぅい、騒ぎになんぬぇいけぇい?」
ハゲルさんが諌めるように。
したらの。
「いや。
コレからの移動は、宙を駆けるコトになろう。
なれば、早めに認知して貰うが得策であろ」
まぁ、移動速度が違うでなぁ。
コチラの世界にも、空を飛ぶ手段はある。
じゃが、個人的に手軽なモンじゃないでな。
ふむ。
ダリルさん方式を使えば、移動が楽になるやも。
『止めてくださいね!
騒ぎになりますから』
ジェミアさんに怒られてしもうたわい。
まぁ、リアル使いは諦めるかや。
「まぁ、そんな話しは良いわさ。
茶も頂いたコトだし、甘味を頂いてから帰るかねぇ。
あまり遅くなると、寄り道どころじゃないわさ」
ふむ、ロゼッタ嬢の言う通りじゃな。
まぁ、茶道楽供が伺っちょったでな。
そん牽制も兼ねちょるんじゃろうが。
で、ロゼッタ嬢が告げたタイミングでの。
「お持ち致しました。
コチラが当店自慢の豆汁となります」
そがぁに言うて持って来たのは、チト大きめの腕へ入れられた汁じゃな。
なんや、黄緑掛かったクリーム色の汁でな。
トローリちゅうか、ドロリとしちょるんじゃが。
え?
美味いんか、コレ?
じゃが、甘い香りは良いの。
っか、爽やかな香りなんじゃが。
ダリルさんは、躊躇いもなく口へと。
ある意味では、勇者じゃのぅ。
「ほぅ。
コレは新しい。
しかも美味い。
シッカリと甘みを感じるが、クドクない。
サラリと口から引くな。
しかもトロリとした飲み心地と喉越しも良い。
アクセントに、柔らかく煮られた豆かね。
時々、カリッとした香ばしい豆?
ふむ。
豆を挽き、小麦粉と合わせ練ったあと、小分けにして揚げたかね。
甘味は、木の樹液以外に、何かを加えておるな。
コレは知らぬ味だが、もしや砂糖と言われる物か?」
ジェミアさんや。
『何でしょう?』
ダリルさんの世界で、砂糖ちゅうのは?
『あまり普及していませんね。
ダリルさんが植物から採取するのが、最高品質と言えるでしょう。
大量に糖液を搾り、濾して煮詰め、乾燥させるなど、砂糖作りは手間が掛かります。
その手の砂糖は、王侯貴族や豪商でないと、手に入らないかと。
まぁ、そんな方々も、なかなか手に入らない品なのですが』
ふむ。
手間暇掛けるのであれば、狩人のダリルさんが作るハズがないのぅ。
容易く手に入らんのじゃったら、店売りもしちょらんじゃろうしな。
しかし、見た目ちゅうか、色が酷いけぇな。
チト口にすんのを躊躇っちょったが、結構イケるぞい。
口に含んだ際は、トローリちゅう感じでな。
固形物が含まれちょるで、噛んだらクニュリちゅうての。
おや?
ちゅうて思うておったら、カリッと。
そう、カリッ、じゃ!
クニュリに追槌するように、カリッ、っとの。
トローリとした液体を含んだ口内で、じゃ、ぞい。
しかも爽やかな酸味と甘みが、の。
スッパ過ぎず、仄かに香る酸味が、膨よかな香りを。
何かの果汁じゃろか?
甘みは、メイプルシロップを柔やわと、優しくした感じの甘さと、涼やかで、スッと引く甘さ。
ん?
この感じ、和三盆に似ちょらんけぇ?
いやいや、まさかの。
異世界に和三盆は、のぅ。
しかし、ダリルさんでは無いが、こん味は新しいわい。
旨し!
「この汁へ使われている果物と、樹液、砂糖か?
手に入れるコトは可能かね?」
ダリルさんが、店主さんへの。
「はい。
少々、値が張りますが、販売しておりますよ。
燐領の特産でしてな。
存在を知って頂くために、この店を出しております。
何せコノ町は、複数の街道が交差する交通の要所ですからなぁ。
様々な商人も行き交うため、知って頂くには、良い立地なのですよ」
つまり、アンテナショップじゃな。
異世界にも、在るんじゃのぅ。




