そらぁ、娘さんが心配じゃろて、って、娘さん?
ダリルさんから娘さんを保護したちゅう話しが、の。
娘さんの行方が知れん状態になり、探し回っても見当たらん。
役所へ届け出たが、探しちょる気配がのぅ。
しかも、虚偽にて役所を騒がせた、なんぞ言い掛かりまで。
手間を取らせた手間賃を寄越せなどとのぅ。
実はのぅ。
こん役人、頭にウジでも沸いておるのか、この商家を乗っ取ろうと、な。
いや、正気か?
どうも、こん商家が、燐領とのコネがあるらしきコトを知ってな。
拐ったモンを売り払う販路としてじゃな。
いやいや。
相手を調べるなれば、もっとシッカリ調べんかい!
相手は燐領領主の弟が一人じゃぞ。
妾腹ゆえ、貴族位は得ちょらんが、一族の端としては遇されちょるでな。
そがぁな人へ喧嘩売って、無事には済まんじゃろて。
まぁ、バカは置いておいて、じゃな。
「む、娘は、娘は、無事なので!」
慌てたように。
「うむ。
殴る、蹴る、などの暴行は受けたみたいだが、商品扱いゆえ、酷い怪我は負ってはおらん。
また、相手がオボコを所望しておったらしく、操もな。
ただ、三日ほど碌に食っておらんかったみたいでな。
今は食べることに夢中みたいだな」
呆れたように荷台を。
ダリルさんが見る荷車を、周りも見るが、その様な人物は。
「こらこら。
いい加減に食べるの止めて、顔を上げな。
しかし、良く食べるねぇ」
ロゼッタ嬢が溜息を。
「だって、お腹空いてたし。
それにぃ!
この干し肉と、干し飯?が、スンゴく美味しいんだもん!」
そんな元気な声が。
間違えなく娘の声。
店主から安堵の涙が。
で、荷台から顔を出した娘さんがの。
「あー!
私を拐ったヤツらと、指示して笑ってたヤツぅ!」
そう言って、ゴロツキ連中と、バカ役人を指差す。
コヤツら、顔も隠さずに拐ったんけぇ!?
真正のアホウじゃな。
これで、コヤツらが誘拐に加担したコトが確定じゃな。
いや、加担じゃのうて、首謀者か?
『コチラから送っている超小型ドローンからの情報を集約し、情報を纏めました。
それによると、鉱山にてダリルさんが誅した商人跡取り、彼からの依頼にて誘拐しております。
あのボンボンは、番頭と懇意にしている商家に対する嫌がらせと、鉱山役人で貴族である役人取り締まり役からの依頼にて、商家の娘を拐う依頼を。
実行犯の役人も、拐った者を売り払う販路に、この商家を使えぬかと、狙っていた模様。
ちなみに、ボンボン商人は貴族でもあり、アチラを自由に使うのは、流石に無理と判断したみたいです』
いやいや。
あん商人は名誉商爵じゃろがい。
貴族位とは言え、端の端じゃぞい?
そがぁなんを恐れる輩が、伯爵家一族に連なるモンを?
端で爵位なしとは言え、歴とした伯爵家一族と認められちょる訳じゃ。
木っ葉貴族なんぞより、格は遥かに上なんじゃが?
『知らぬが仏と言うヤツでしょう。
まぁ、実際に仏になっていますが』
ああ、死体を仏、ちゅうわなぁ。
いや、誰が上手いコト言えと?
しかし、最早、考えるコトも出来ちょらんみたいじゃな。
まあ、胴体から真っ二つじゃのに、微妙に身体がズレただけで繋がっておる。
ほぼ問題がないレベルのズレちゅうてもじゃ、身体自体が微妙にズレりゃあ、そらぁ痛いわなぁ。
しかも、麻痺から覚めた身体が、少しづつ動き始めちょるでな。
そがぁなんなると、さらに身体がズレる訳じゃて。
何せ、へそ下から真一文字に、真っ二つじゃてな。
普通なれば、即死じゃろ、これ。
『鮮やかに斬られていますから、断面が綺麗なのでしょう。
これ、人造種なれば、自己治癒力が高いため、切断面が引っ付き治るでしょうね。
それほど綺麗な切断面な訳です。
まぁ、斬ると言うコトは、削ると言う意味でもあり、削られた箇所は戻りませんが』
まぁ、寝刃を立てて、斬れ味を増すくらいじゃでなぁ。
そうなるわい。
で、いくら綺麗な断面ちゅうても、ピコところか、フェムトやアトのレベルでの削り取りちゅうてもじゃ。
肉体が削られちょるでな、普通のモンじゃ助からんわなぁ。
つまり、役人とゴロツキは、既に死んじょると同じじゃて。




