ダリルさんは、刀を振らせても一流なんじゃのぅ。
儂がの、ダリルさんが役人を斬り棄てちょる、っうたらな。
「へっ?
そんな素振りは見えませんでしたが?
あの役人にも、異常は見当たりませんし」
沙織さんが不思議そうにの。
ほじゃけぇな。
「あん速さじゃけぇのぅ。
見えなんでも仕方ないわい。
ありゃあ、横を通る時に撫で斬りに、なぁ。
あまりにも鮮やかな斬り口ゆえ、切断面がズレちょらんだけじゃて。
身体をイカズチにて痺れさせちょるじゃろ。
アレで動けんけぇ、切断面がズレちょらんだけじゃて」
「辻斬りですかぁ!?」
「ふむ。
そうとも、言えるやものぅ」
しかし、ダリルさんの腕前もじゃが、あん刀の斬れ味がなぁ。
あがぁな逸品を造り上げるとは、なかなかヤリおるわい。
そんな辻斬りダリルさんなんじゃがな。
「ふむ。
血糊や脂が付着せぬか。
素早く斬り棄てると、こうなるのだな」
シゲシゲと刃を見据え、確認を。
いやいや。
普通はの、刀で斬ると、血糊や脂なんぞが刃に付着するモンじゃてな。
それが一切ないんけぇ?
本来なれば、付着したモンにて斬れ味が落ちるんじゃがのぅ。
刃を見ちょったダリルさんがの、懐から出した布で、軽く刃を拭うておるわい。
そして、持ち運び用の簡易砥石を取り出し、刃を軽くの。
ありゃあ、寝刃を起こしちょるな。
「寝刃、ですか?」
ん?
「沙織さんは、寝刃を知らんのかのぅ?」
「はい。
初めて聞きましたけど、なんでしょ?」
ほうかぁ、知らんかぁ。
「刃ちゅうんはのぅ、斬る際に設置面の抵抗で、対象を削るようにして斬っておるんじゃ。
むろん、コン引っ掛かる箇所が、引っ掛かるでな。
それで斬れ味が増す訳じゃて。
でな。
この引っ掛かる箇所。
目に見えん微細な引っ掛かりなんじゃが、コレが引っ掛かるようになっちょらんと、斬れ味が落ちるでな。
ゆえに、砥石で引っ掛かるようにしちょる、ちゅう訳じゃて」
「それを、寝刃を起こすと?
つまり、斬る準備ですか?」
まぁ、そう言うコトじゃてな。
で、ダリルさんがの、寝刃を起こした刃を見て頷いちょるな。
準備ができたようじて。
ん?
なんか、鞘を見ておるな。
「試してみるか」
?
何をじゃろうか?
なんや知らんが、納刀しちょるな。
斬るの止めたんかいな?
!?
ファっ!
居合!?
へ?
こん世界に、居合斬りなんちゅう技、あったんかいな!
『あれ、恐らくですが、マスターの真似かと。
マスターの居合型と類似しておりますので』
はぁ!?
そがぁなんも、真似されちょんかいな!
どがぁなっちょんなら!
『恐らくですが、以前にマスターがダリル様と接触したコトが原因かと』
ん?
そがぁなんあったかいの?
『瞬眠を覚えられた時です』
!?
あーっ!
ダリルさんに、危うく気付かれそうになったヤツかえ?
ん?
じゃが、ありゃあ、録画じゃったじゃろうに。
過去映像のダリルさんへの接触が、現実のダリルさんへ、影響しちょると?
『そうですね。
推論となりますが、次元エネルギーが関係しているのかと。
コレは時空を超越した力と、考えられています。
まぁ、実証はできておりませんが。
幻想機での撮影は、次元エネルギーを用いて行われます。
そしてダリル様は、雷晶石なる物から発する微電流にて、次元エネルギーへ干渉しているフシがですね。
どうも無意識みたいで、制御はできていないみたいですが、この接触にて、情報を断片的に得ていると、思われます。
コチラも気付いてプロテクトしておりますが、何せ次元エネルギーは完全に制御できておらず、どうしても漏れは発生するかと』
ま、まぁ、ダダ漏れじゃないならば、のぅ。
「ふむ。
感じは掴めたな。
さて」
おっ!
居合の型を、数度ほど試しておったダリルさんが、ゴロツキ連中の方へと。
おおぅ。
スレ違いざまに、居合にて全員を。
なんちゅう早業じゃ!
まさに、目にも止まらぬ、ちゅうヤツじゃてな!




