いやいや、ダリルさんと、ハゲルさんが、なんやら造っちょんじゃが!?
斬り棄てると告げた後、上空から降りる。
そして剣鉈を。
したらの。
「ダリルよぅい。
ちと、コヤツを試さぬぇいなけい?」
ハゲルさんが、そがいなコトを言いながら、荷台から何かを。
何じゃろか?
ん?
はい?
なんで、あがぁなんが、アソコへ有るんじゃ?
オカシイじゃろがい!
「どうかなされました?」
沙織さんが、不思議そうにの。
じゃけぇな。
「いやのぅ。
ハゲルさんが、荷台からの」
「ああ、何か取り出して・・・
なんで、あんな物が有るんですか?」
ほうじゃろ?
いやの、刀、そう、日本刀みたいなんが、のぅ。
あの世界には、日本刀みたいなんが、存在したんじゃのぅ。
それにビックリしちょるとな。
『いえ。
ダリル様とハゲル様が造られた三振りのみですね』
ジェミアさんが、そがぁなコトをの。
いや、えっ!?
二人が造ったんけぇっ!
「それを持って来たのかね?
狩りには向かぬと思っておったのだが?」
ダリルさんが、困ったように。
「俺も、そうは思ったんだがぬぇい。
ただ試し斬りは、してぇじゃぬぇけぇい。
だからよぅい。
出掛けるついでに、持って来たんさね。
鉱山では、イキナリ斬り棄ててっからよぅい。
コイツを出す暇も無かったかんなぁ。
で、よぅい。
狩りで狩る獲物にゃ、コイツは不向きだがよぅい。
人ん斬るにゃあ、手頃じゃぬぇか、ってよぅい」
ハゲルさんが、軽く顎をシゴキつつの。
なかなかに、物騒じゃてな。
じゃが、確かに人を斬るには適しておるじゃろな。
ありゃあ、ソレようの武器じゃけぇのぅ。
しかし、なんであがぁなんが?
『ダリルさんが、夢で見たのだとか。
青年が様々な金属を使い鍛治をしていたそうなのです。
その鍛治の遣り方が、見たコトのない技法であり、つい真似てしまったのだとか。
その青年の容姿なのですが』
なんじゃ?
『どうもマスターみたいなのです』
はい?
どう言うことじゃ?
『コチラでも把握できておりません。
ですが、マスターが鍛治をしている姿を、夢で見たらしい、としか』
えっ!?
アチラから見られちょる!?
マジかぁっ!
『いえ、意図して見ている訳ではないみたいなのです。
ただ、断片的にシーンが脳裏に浮かぶ感じだとか。
そのように、ハゲル様へ、申されておられました』
う〜ん。
どう言うコトじゃろうか。
して、あん刀なんじゃがな。
四方詰めで造られちょる。
いやいや。
四方詰めちゅうたら、日本刀の作刀における最終形態ちゅうて良いじゃろて。
軟鉄を硬鉄にて四方から包む感じじゃな。
軟鉄が刀の芯になるで折れ難い刀にのぅ。
何せ硬鉄は硬いが折れ易いで。
逆に軟鉄は折れ難いが、曲がり易いんじゃ。
じゃが、軟鉄を芯にして硬鉄で覆えば、折れ難く、曲がり難いモンに。
むろん刃は硬鉄じゃてな。
理屈は簡単じゃが、造るのには、なかなかに骨が折れる代物じゃて。
儂が打てたのはじゃ。
様々な刀匠の記憶を見たからでのぅ。
名工と呼ばれる方々の記憶も。
ほじゃから打てたんじゃ。
そん儂が作刀しちょる身姿を、どがぁなカラクリで見たんか知らんが、それを夢で見て真似たと?
いやいや。
技は、見て盗めちゅうがの。
何回見たんか知らんが、そがぁに多く刀を打ってはおらんのじゃが?
じゃが、ありゃ、間違えなく日本刀じゃ。
それを受け取り、鞘から。
血走りもじゃが、波紋が素晴らしい。
こりゃあ、工芸品、いや、芸術的価値も高かろうて。
「ふむ。
相変わらず、良い刃だ。
惚れ惚れするが、使うのは初。
さて、どのような切れ味か?」
そがぁなコトを告げつつ、悪徳役人の元へと。
「なんか通り過ぎましたけど。
あの役人は斬らないんですね」
沙織さんが、ホッとしたように。
ああ、沙織さんは、気付いちょらんのじゃな。
「既に斬っておるぞい。
しかし、スザまじい斬れ味じゃてな。
いや、ダリルさんの腕も関係しちょるんじゃろて」
ほんに、恐ろしいわい!




