交渉と取り引きは終わったのぅ。ん?ロゼッタ嬢?
ようやく取引を終え、後は帰るだけ、っとはならんの。
「長いわさ、アンタら。
ようやく終わったんさね。
ま、コッチも、ようやく落ち着いたトコさね。
で、帰りにコノ子を送って行きたいんだけどねぇ。
どうも、ソチラの商隊にはさぁ、女人が居なさそうじゃないさね。
操は奪われ無かったみたいだけど、結構、乱暴な扱いを受けていたみたいでねぇ。
まぁ、操も、ココのバカが気娘を望んだから、らしいわさ。
でないと、危ないトコだったわねぇ。
そんな目に合った子を、拐った一味に託せないわさ。
だから、ウチらで送りたいのだけどねぇ」
ロゼッタ嬢が、そがぁなコトをの。
それを聞いた番頭さんがな。
「いやいや。
チョット待ってください。
別に我々は、あのゲスの一味では有りませんから!
我々が預かり知らぬ間に凶行に及んでいましたので、コチラでは」
ソレへダリルさんがの。
「知っておったら、止められたかね?」っと。
「ぐっ!」
黙る番頭さん。
「無理であろ?
ヤツは店主であり、貴族であったのだろう。
明らかに貴殿より格上と扱われる身。
下手に逆らうと、身を滅ぼすだろうな。
逆に知らなくて良かったと思うべきだろう。
下手に知っておったら、加担したと見做される。
まぁ、苦言を避けるため知らせなんだのだろうが、怪我の功名とでも、思っておけば良かろう。
さて、ロゼッタ。
理由が理由ではある。
送って行くのは、やぶさかでは無い。
それで、送って行く先は確認してあるのかね?
方向で良いぞ。
地名を言われても分からんのでな」
ダリルさんがロゼッタ嬢へと確認をの。
尋ねられたロゼッタ嬢は困ったように。
「方向って言われてもねぇ。
道沿いの町にある商家としか言えないわさ。
普通なら、帰り道に寄る感じなんだけどねぇ」
ふむ。
空を駆けて帰るでな。
道沿いには走らんわなぁ。
「商家と、申されましたかな?」
番頭さんが、驚いたように。
「そう言ったわさ。
中堅どころに入った感じの商家だろーねぇ。
アタイの耳にも入るコトがあるから、勢いはあるさね。
燐領の伯爵家と懇意と聞いたわさ」
聞いた番頭さんが、頭を抱える。
「依にも依って、その商家の御令嬢を!?
バカなんですかぁ!
アホでしたね。
あのクズがぁ!」
うわぁ、怒ってる、怒ってる。
「どうしたね?」
ダリルさんが番頭さんに。
「私が懇意にしており、お世話になっている商家なんですよ。
まぁ、持ちつ持たれつな関係でしょうか?
我が商会にも得難い商家なんです。
本当に、碌なコトをしないっ!!」
そらぁ、怒るわなぁ。
したらハゲルさんがな。
「だからじゃぬぇけぇ?
アンタに対する嫌がらせてぇんぬのかぬぇい。
アンタぁ、斬り棄てたら商会が回らぬぇい。
だがぁ、商会は自由に仕切りたい。
業腹なヤツぁ、腹癒せに、ってよぅい」
そんなんでぇ、凶行に及んだと?
訳分からんわいっ!
じゃがの。
「あー
アレなら、ヤリそうですね。
自分さえ良ければ良いバカでしたので。
ソレをしたら如何なるか、全く考えていなかった。
いや、考える頭が無かったのか?
頭の中は、如何なってたんでしょう?」
「ソレは分からん。
だが、間違えないのは、斬って間違えなかった、っと言うコトだな。
世の害にしかなるまいからな」
ダリルさんが静かに告げると、皆が頷く。
少女も状況が分かったみたいで落ち着いている。
まぁ、ココに彼女を害する輩は居ないのは、分かっているみたいだ。
「さて、名前は尋ねてはおらぬ故に知らぬが、俺はダリルと言う。
一般の者に、イキナリ人斬りを見せ、済まなんだな。
キツかっただろう。
俺は狩人ゆえ、ソコら辺の配慮に欠ける場合がな。
里でも、オナゴ衆に叱られたモノだ。
詫びではないが、コレでも食って、気を落ち着かせて貰えぬか?」
そう告げ、腰に吊るした複数の袋の内一つから、何やら取り出しておるのぅ。
アレは焼き菓子?
ビスケットかや?
儂も食うぞいっ!!




