おおぅ。何もせなんだら、番頭さんに、主人殺しの嫌疑かえ?怖いのぅ。
ダリルさんから見られたハゲルさんがの。
「いやいや。
おりゃあ、しがぬぇい鍛治師に過ぎぬぇいかんよぅい。
まぁ、常識的に考えりゃあ、主人が知らぬ間に犯した罪で、犯行に関わってぬぇんならよぅい。
罪に問われぬぇんじゃあ、ぬぇんけぇ?」
後頭を掻きつつ、困ったように。
それへ役人が。
「恐らく、深層狩人が裁可を下したなれば、それ以外は罪に問われないかと。
ただ、ここは司法関係施設では無いため、確約は出来かねる。
街へ戻った際に、役所へ届け出るコトだ。
一応、コトの経緯を証明する書類を、コチラで発行は可能だ。
必要なれば、後で申請するように」
ヤケに親切じゃないかのぅ?
どがぁしたんじゃ?
『斬られた元役人の上司と、アノ商家のクズは、色々と悪行を重ねております。
それで、蛇蝎の如く嫌われておりますが、貴族であるため逆らえなかったのです。
ダリル様に斬られ、溜飲が下がったのもあるかと思いますが、あの商家クズが商人達へ行っていた仕打ち。
自分達の受ける仕打ちと重なるシーンも有ったかと。
そう言うシンパシーから、つい、口に出たのかと』
ふぅ。
この国の貴族は、こがぁなんしか居らんのかぇ?
『いえ。
逆に、この様な貴族だから、辺境に飛ばされているのかと。
商人の方は金で爵位を買ってますし。
それも、アノ、領主が金集めで行っているコト。
この鉱山の役人頭へクズが収まれたのも、アノ、領主だからですね』
また、アヤツか!
碌でもないのっ!
『まぁ、近々廃爵され、捕えられるコトが確定しておりますが。
しかし、似たような輩は居ますので、この手の騒ぎは無くならないかと』
まぁ、人の世じゃからなぁ。
『人が統治などするからです。
だからAIが、政や行政運用すべきなのです。
AIには、欲などはありませんので』
それも、どうなんじゃ?
まぁ、良いわい。
とりあえず、役人からの提案を聞いた番頭さんがの。
「それは、是非にトモ!
この侭ですと、主人殺しの疑いを掛けられてしまいますので」
食い付くようにの。
しかし、そがぁになるもんかや?
『まぁ、急に店主が消えれば、そうなるかと。
しかも悪名高いとは言え、貴族ですから。
そんなクズに、番頭様が苦労させられていたのは、周知の事実となります。
つまり、一番得するのは彼ですので、疑われるでしょうね』
なるほどのぅ。
必死になる訳じゃわい。
「うむ。
用意させよう。
それで、何時もの仕入れかね?」
「はい。
此度も侯爵様から、お抱え鍛治師様へ鉱石を送るようにと。
むろん、搬送する商家へと引き渡すまでとなりますが」
そう告げる彼にの。
「ん?
その送り先の鍛治師てぇのはよぅい。
誰なんでぇい?」
ハゲルさんが、つい口を。
「ドナタかは存じませんが、良いでしょう。
この領と言うか、国で名高いハゲル殿へとなります。
侯爵領の武具は、彼の造った作品であり、他領から彼への依頼は侯爵様の許可が必要となっております。
さもないと、国中から依頼が殺到し、作業が滞るコトになるでしょう。
それほどまでに、ハゲル様の武具に対する評価は、高いのです。
そんな方への納品ですからねぇ。
質の良い品を選ばねばならないのですよ。
まぁ、そんな目利きも、商人としての腕前となりますが」
胸を張って告げちょるが、そんハゲルさんへ告げちょるんじゃが?
役人の何人かが、クスクスと。
「?」
なんで笑われちょるんか、そらぁ、分からんわなぁ。
ハゲルさんもベタ褒めされたけぇ、ちと照れちょるわい。
「あー、その、なんだ。
そのハゲル様が、君の目の前の方なのだが?」
役人に告げられ、番頭さんがの。
「まさか、まさか。
確か今は、侯爵様依頼の武具作成にて、この様な場所まで来る余裕などないハズですが?」
困惑したように。
したらの。
「俺一人ならよぅい。
最近はロゼッタが腕上げてから、余裕が出てんでぇい。
そんに、このダリルが凄腕でぬぇい。
ちと手伝って貰うだけで、大分余裕がぬぇい。
だから一週間くれぇなら、余裕で空けれるんさぬぇい」




