ジェミアさん?儂とダリルさんを比較すんは、止めて貰えんかぇ?
儂がダリルさんより優れちょる、なんて言われた訳なんじゃがの。
儂ぁ、熊や虎、竜種なんぞを狩れはせんぞい。
『ですが、対人ではマスターの方が上かと』
なして、そがぁなるんじゃ?
『マスターは、地球の凡ゆる武術家の記憶を覗き、数多の武術を納めておられます。
逆にダリル様は対人としてな技は得ておりません。
狩りに特化されておりますので』
いやいや。
ダリルさんが、人と争う必要もあるまい?
っか、対人としての武を身に付けんでも、普通に勝つじゃろうしな。
『同格で無ければ、ですね。
マスターと対峙すれば、マスターが勝つのでは?』
はい?
無茶言うでないわっ!
そもそもが、争いに慣れちょらん儂が、なんで対峙せなならんのじゃ!
まぁ、対人の立ち合い、や、合戦などなどは、覗いた記憶にて擬似体験してはおる。
じゃがな。
実際に体験した訳ではないでな。
常在戦場たるダリルさんとは、心構えからして違うでな。
っと。
皆が食い終え、片付けをしようと。
そがなダリルさんに、役人達が慌てての。
「流石に後片付けまではさせれません。
我々でやりますので」
そう言っちょるわい。
「そうか?
なれば、頼む。
さて、我らは帰るとするかね?」
ダリルさんが告げるとの。
「ふぅ。
まだ、昼を少し回ったトコさね。
今朝方に家を出て、もう帰れるんだねぇ。
無茶苦茶だわさ」
ロゼッタ嬢が肩を竦めての。
したら、役人の一人が魂消たように。
「はい?
確か、領都近くに、お住まいと聞きましたが?
まさか、そこから?」
ちゅうたらの。
「バカか、お前は。
その距離を朝出発で今朝方に着くかよ。
近場の宿場だろ」
まぁ、そがぁに思うわなぁ。
じゃがな。
「いや、家を出たんが今朝早くだぬぇい。
ダリルが荷車牽いてた、っうのも、あるんだが、よぅい。
途中からコイツ、空を駆けやがってぬぇい。
ありゃあ、魂消たぜぇい。
で、空を走りゃあ、よぅい。
進行先に障害物なんざぁ、ぬぇい訳だぬぇい。
だから、よぅい。
スンゲぇ速さで、ココへだぬぇい」
そう告げると。
「あっ!
確かに空から凄い勢いで降りて来たような?
間違えだと思っていたが、アレは見間違えでは無かったのかっ!」
役人の一人が。
で、空気が読めない者は、何処にでも居るようでな。
「空を駆ける?
飛ぶのでは?」っと。
いやいや。
今、尋ねるコトかや?
じゃがの。
「あ!
確かに!
飛ぶのでは無く、馳けるとは?
空を駆けれるので?」
追付いするモンがの。
いやいや。
そもそも、空を移動するコトに、突っ込まんかぁ〜いっ!
「それか?
飛んではおらんな。
風晶石で荷車と俺、ギーゼットを風で包み、風で造った道を走っただけだ。
まぁ、雷晶石と水晶石も多少は使っておる。
道と俺達を包んだ風繭が反発してな。
それにて宙に止まれたみたいだ。
まぁ、詳しいコトは分からんが、出来たのでな。
便利だから、良かろう」
そう告げると。
「あの〜」
ん?
さっきのKYかえ?
「ギーゼットとは?」
ココで、ソレをぉっ、尋ねるかぁ!
「ああ、ギーゼットとは、このグルガムスのコトだな」
「グルガムスですか?」
「そうか、ココら辺では知られておらんわな。
中層獣の一種だ。
人語は操れんが、解するコトはできる。
下手な者より賢いやもな」
「なっ!
中層獣ですとぉ!」
辺りが騒然と。
「そうだが?
まぁ、ギーゼットは人に慣れておるでな。
とは言え、敵対したら討伐するが」
ダリルさんが告げると、ギーゼットが驚愕顔に。
慌てて、ダリルへ腹を見せ擦り寄る。
まぁ、の。
ダリルさんに、討伐する、ちゅわれたら、のぅ。
ギーゼットが、ダリルさんに勝てる可能性なんぞ、皆無じゃて。
なにせ、己が恐怖の余り固まったラグラクスを討伐した男である。
敵対して勝てるハズが無いでな。
まぁ、ギーゼット自体はダリルを気に入っておる。
ゆえに敵対なんぞ、せんがな。




