ダリルさんによる、鉱夫一本釣りじゃてな。
燻製なんぞの加工にて放たれる芳香。
コレが実にの、クラクラ、いや、くわんクワンする程に、実に良い香りでなぁ。
あがぁなん嗅がされたら、辛抱堪らんじゃろて。
そがな香りを風にて坑道へと。
まぁ、鉱夫さん達は昼食を経て、再度入っちょったんじゃがな。
じゃが、ぞがぁなん関係ねぇ!ちゅうほど、食欲に訴えるでのぅ。
我慢ならんで、皆で引き上げちょった。
そこへ役人が現れ、ダリルさんが食事を、振る舞うちゅうとるコトをの。
「この香りは、その料理の?」
そう尋ねると。
「いや。
コチラへ向かう際には、まだ調理して無かったが?
っと言うか、この香りは、燻製の?
あっ!
熊肉を加工した時の匂いかっ!」
役人が勘付いたようじゃな。
「熊肉?
えっ!?
あのフォアハンド・レッドグリズリーを解体したのか!?
ありゃあ、素人の手に負える代物じゃねぇ。
素材が台無しじゃねぇか?」
鉱夫の一人が心配したように。
それへ役人がの。
「それは大丈夫だ。
あの深層狩人様が、直々に解体して下さったのだよ。
まぁ、コチラが詫びに追加で鉱石を渡そうとしたので、その対価だとな。
まぁ、その代わりに肉を分けて欲しいと申されて、同行の方に諭されておった。
解体費と釣り合わんとな」
「あの旦那、意外とお人好しかい?
フォアハンド・レッドグリズリーといやぁ、討伐困難もだが、その解体難度も高いぞ。
それを無償はないだろ」
呆れたようにの。
まぁ、そうじゃろなぁ。
「ソレがな。
解体だけでなく、皮の簡易鞣しまでしてくれてな。
肉も燻製にして傷み難くして貰っておる。
他の素材もだ。
それで、肉を使って調理するので、お前達も呼ぼうとな」
役人が、ぞがぁ風に告げるとな。
「結構、人が良いみたいだが、舐めちゃあなんねぇな。
この香り、恐らくは深層狩人の旦那が、何らかの手段で送り込んでるんだろう。
つまり、その様な手立てを持ってる分けてだ。
道理が分かる御仁のようだが、怒らせたら、あのバカの二の前になりかねん。
扱いは丁寧にせねばな」
ぞがなん言いつつ、鉱夫達が戻っておるな。
その頃、ダリルかんは、ちゅうとじゃ。
硬くなっちょるパンを厨房にて見付け、ソレを砕き削っちょる。
しかも風を使用したミキサーみたいのでの。
パン粉じゃな。
コレに香辛料や香草なんぞを、粉微塵にして混ぜ合わせちょるな。
ニンニクや生姜みたいなヤツや、胡椒や鷹の爪に甘味の強いヤツとかも。
コレとはべつに、葉野菜や根菜を砕き擦り、ペースト状に。
いや、風繭、便利過ぎんかえ?
そん作業とは別に、マル芋を複数焼いちょるな。
まぁ、マル芋の特性状、焼くと内部でマル芋の種が炊けるでな。
焼き炊け、ちゅうんかえ?
主食は、コレじゃろな。
麺でも良かったのやもしれんが、麺の文化が、コノ辺りには無いでな。
まぁ、マル芋を炊いたヤツもじゃが。
じゃが、マル芋は何処にでも生えちょるでのぅ。
しかも、焼くだけで銀シャリみとうに炊ける。
この銀シャリ擬が、実に美味い。
先程、鉱夫達が食べていた食事は貧相だった。
冷えて硬くなったパンと、湯みたいなスープ。
干し肉が数枚じゃな。
しかもペラんペラなヤツじゃぞい。
アレでは、腹は膨れんじゃろて。
ゆえにダリルさんが、鉱夫達にの。
まぁ、食わす義理なんぞ、別にありゃせんのじゃがな。
じゃが、あん飯で過酷な採掘作業を。
(ちと、無体では?)
ソレが、ダリルさんの感想じゃて。
自分も幼い頃にヒモジイ思いをした事がある。
ゆえに食に対する拘りがの。
じゃが、それだけじゃのぅてな。
ヒモジイ思いをしちょるヤツにぁ、食わして遣りたいちゅう気持ちがの。
ほじゃけぇ、カリンちゃんに肩入れしちょる、っとも言えるでのぅ。
まぁ、鉱夫は鉱夫達で、坑道へ現れるモグラみたいなん倒して、坑道奥で食っておるがな。
まぁ、あがぁな食事で、肉体労働者の体が持つ訳ないけぇなっ!




