ん?ダリルさん?消えた!やはり忍者であったかぁっ!
役人達も食うちゅうコトになったでな。
ダリルさんは下準備を。
「ちと出掛ける」
ちゅうて姿を消す?
いや、ほんに急に消えたんじゃがの。
まぁ、儂には見えちょるんじゃが、役人達には消えたとしか見えんじゃろうて。
ちゅうかの。
「え?
消えた?
忍者ですか?」
まぁ、忍者ちゅわれても、仕方ないやもな。
『沙織』
「なんでしょう?」
『アレは、単なる高速移動です。
猛スピードで走るバイクが、近距離を走り抜けると、一瞬で走り去ります。
アレと似た感じでしょうか。
ただ、一瞬でトップスピードに至り、風にて辺りへ害を及ばないように制御しておりましけれど』
そうジェミアさんが説明するんじゃがの。
「はい?
そんなコト、人間に可能なんですか?」
まぁ、そうなるわなぁ。
したらな。
「ダリル様、ですから」ちゅうてな。
てか、のぅ。
「人造種、じゃからじゃ無いんかえ?」
思わずの。
したらな。
『普通の人造種末裔には不可能ですし、人造種オリジナルでも無理でしょう。
放術師であり付与師でもある、ダリル様だからこそと、言えるかと。
とは言え、晶石をアレほど自在に操れるのは、ダリル様が初。
まぁ、カリンさんが、似た様なコトを行えます。
ですが、同じコトは無理でしょう。
あの世界には居りませんが、まぁ、マスターならば可能でしょうが』
はい?
儂ぁ、あがぁな人外じみたコト・・・出来そうじゃな。
「出来るのですかぁ!?」
『沙織?
何を驚くのです?
マスターですよ』
いや、儂じゃけぇ、ちゅう理屈は変じゃろう?
まぁ、良いわい。
で、肝心のダリルさん、なんじゃがの。
高速で近場の森を走りつつ、野菜や香草に香辛料なんぞをの。
普通は見付けれんような品々を。
しかもじゃ。
高速移動にて、移動範囲が広い。
風で探索しつつ、的確に食材を。
ほんで、5分もせん内に帰って来よったわい。
消えたと同じく、不意に現れるダリルさん。
周りは、またまた仰天じゃでな。
「?
何を驚いておる?」
そう不思議そうに。
ほしたらの。
「いやいや。
イキナリ消えて、また現れたのですから、普通は驚くかと?」
役人リーダーが、ぞがぁコトをの。
したらな。
「む?
いや、出掛けて来ると告げたハズだが?」
そがぁ言って首を傾げちょるな。
「無駄だよ。
ダリルにとっては、当たり前の行動さね。
周りが着いて行けてないだけだからねぇ」
ロゼッタ嬢が、ぞなぁなコトをの。
「まぁ、何のコトか分からんが、食材は揃えた。
一度、マル芋湯にて湯掻いてから下処理だな」
そがぁに告げて作業を。
いやぁ、手早いのぅ。
ある意味では、職人芸じゃでな。
こりゃ、見るだけで楽しいわい。
ん?
坑道の方が騒がしゅうなっちょるな。
鉱夫達が、帰って来たようじゃて。
「え?
もうですか?
早くないです?」
沙織さんが首を傾げちょるな。
『確かにそうですね。
役人が呼びに行ったとしても、辿り着いたとは思えない時間です。
鉱夫が採掘を中断して帰って来ていたとしか、思えないのですが?
何かあったのでしょうか?』
ああ、二人は放術にて操られた風を、感じられんけぇのぅ。
まぁ、仕方あるまいて。
「操られた風ですか?
それと、鉱夫が帰って来る関係が、分からないなですが」
ほうじゃのぅ。
言い方を変えようわえ。
肉やソーセージにハムなんぞを燻し、燻製にしちょる香りを含んだ風、じゃな。
この燻される食材は、ダリルさん特性の燻製用漬けダレに、漬けてから燻しちょる。
それも水晶石と雷晶石に風晶石を巧みに操り、食材へ浸透させてから、じゃの。
こん状態の食材を燻すとの。
実に芳醇たる香りが漂うコトに。
まぁ、ソレを纏め、坑道奥へと放っておった訳じゃて。
ゆえに、役人達には、そがぁな香りは届いちょらん。
そん香りを嗅いでおったら、食うの我慢できんくなるでな。
まぁ、儂らは、普通に嗅いでおったで。
じゃけぇ、沙織さんも我慢できんかったでな。
それで釣られりゃあ、地上へ誘い出されるわのぅ。




