呆気なく倒された、フォアハンドレッドグリズリーなんじゃが、実はトンデモないヤツじゃったわい!
呆気なく倒された熊じゃが、コレはダリルさんだからじゃでな。
一般のモンが真似なんぞしたら、生きてはおらんじゃろうて。
じゃが、役人の目には相手が弱かった様に見えちょるでな。
そんな役人の後ろにおった鉱夫がの。
「化け物かよ・・・」
ちゅうとるわい。
そん言葉が耳に入ったんじゃろな。
役人がの。
「あの熊か?
出落ちみたいに死んだが?」
不機嫌そうに。
何せ、あんな弱い熊の討伐へ、大金を支払わされたのだ。
当然であろう、ちゅう風にでも、考えちょりそうじゃの。
そん考えが誤りじゃと、鉱夫の言葉がのぅ。
「あのフェアハンド・レッドグリズリーは、山間の村を何度も壊滅させてるヤツですぜ。
俺の故郷も、アレに潰されやしたし。
領軍に討伐依頼しても断られる相手で、他領の領軍が討伐に挑んで壊滅していやす。
目を狙って矢を射った狩人の話しを聞いたコトありやすが、素早く避けられるか、目付近に当たっても毛皮で弾かれやす。
で、猛進して来たヤツに食われたそうで。
そんなヤツを瞬殺ですからなぁ。
化け物でしょうよ。
深層狩人てぇのは、オッカナイですわ」
心底恐るように。
ちなみにじゃが、おそらくワザと告げておるの。
役人が自爆するのは勝手だ。
むしろ斬られてしまえばセイセイするであろう。
じゃが、深層狩人の怒りが役人で留まる保証などない。
トバッチリなんぞ来ようもんなら、間違えなく生きてはおらんじゃろうて。
ほじゃけぇ、バカ役人を牽制しちょる訳じゃな。
で、クダンの役人なんじゃが、鉱夫の言葉を聞いて青くなっちょる。
まぁ、簡単に倒したけぇな。
文句言うて、値切るつもりじゃったんじゃろう。
あまつさえ、ソレで言い掛かりを付けて金を取り返し、さらには金をセシめようとまで、考えておったの、アレは。
「まさか、ソコまで考え無しの人間が、存在するハズが」
沙織さんが、呆れたように。
『沙織』
「?
なんでしょう?」
『マスターは、あの阿保が呟いている内容から告げております。
小声で辺りには気付かれてはおりませんが、考えが漏れていますから。
それを踏まえてのコトですので、間違えでは無いですね。
しかし、文明の遅れた世界とは言え、アソコまで考え無しが居るとは、驚愕です』
ジェミアさんが、そがぁ風にの。
沙織さんには流石に聞こえちょらんが、儂には筒抜けじゃでな。
ちゅうコトは、ダリルさんにもじゃて。
「ゴミは処分した方が良いか?」
ちゅうて呟いちょったでな。
怒るちゅうより呆れちょる感じじゃな。
ダリルさんは人を斬ったコトも有るし、斬るコトに躊躇いもないじゃろう。
じゃが、好き好んで斬るちゅうタイプでも無いでな。
無闇に斬るコトはせんじゃろて。
じゃが、相手しだいじゃで。
で、両目を潰され、脳を射抜かれた熊なんじゃがな。
死んでも猛進した勢いちゅうのは止まらんでな。
「うぉっとい!」
「マジかい!」
ハゲルさんとロゼッタ嬢が、慌てて避けておる。
こん二人も大概じゃて。
アレ、鉱夫連中なれば、反応すら出来んで跳ね飛ばさるちょろうからの。
まぁ、じゃから鉱夫らんトコ行かんよう、ハゲルさん達を広場へ向かわせたんじゃが。
まぁ、大型普通乗用車が、100キロ近い速度で突っ込んで来た、ちゅうて思えば良かろうてな。
地球人なれば、跳ね飛ばされちょろう。
まぁ、コチラの一般人どころか、人造種末裔たるハゲルさん達以外なれば、避けれんかったじゃろう。
これ、ダリルさん達が居らんかったら、鉱夫達が居る場所に突っ込んじょるでな。
突進だけで、何人も死んじょるトコじゃて。
で、広場の中央から少し外れた場所で、熊が止まる。
ちとばかし滑っておるが、四本の腕と頭、肩パッドのような肩がブレーキになったようじゃて。
しかし、全く傷がない獲物じゃ。
コレだけで一財産じゃろうて。
ダリルさんの方が、損しちょらんか、コレ。




