欲望に忠実な、木っ葉役人が、ようやく覚悟を決めたようじゃぞ。
慌てた役人がの。
「この金、全て渡しますぅ!
おい!
金庫から、有金全て持って来い!」
そがぁなコトをの。
したらダリルさんがな。
「足りんだろうな。
その金は、ハゲルへ戻せ。
後、ハゲルが買った鉱石と、同量の鉱石。
それと、あそこへ有る石山を貰おう。
なれば、受ける。
だが、一つ告げておくぞ。
深層狩人たる俺との契約だ。
保護にしようとした場合、躊躇いなしに斬り捨てる。
その覚悟は有るのだろうな?」
あん役人、(そんな覚悟、あるかぁ!)などと思っておりそうじゃな。
どうも、まだ、甘く見ちょるような気がするんじゃが?
ダリルさんは、ヤル、ちゅうたら、ヤルでな。
バカな真似したら、ホンマに斬り捨てられるんじゃが、理解しちょるんじゃろか?
「分かった!
それで!」
「まずは鉱石を持って来させろ。
ハゲルとロゼッタが見分し、問題無ければ荷車へ積む。
討伐は、それからだ」
役人は一瞬、(調子にノリやがって!)ちゅう顔にの。
これ、討伐後にイチャモン付けて、ダリルさんに斬り棄てられるヤツじゃな。
世間様では、こんなんをフラグちゅうんじゃったかえ?
ま、儂はフラグちゅう言葉は好かんでな。
絶対に認めんが。
「はい?
どうしてでしょう?」
沙織さんが不思議そうにの。
じゃからの。
「儂が若い頃にはの。
フラグちゅう言葉は、ありゃせんかったけぇな。
特にフラグちゅうんで有名なんが、戦争へ赴き、帰ったら結婚する、とか、告白する、ちゅうとな。
何故か戦死するヤツじゃ。
アホぅなコト抜かすなや!
そがぁなモチベーション持っちょるヤツぁ強い。
つまり、一番死に難い輩じゃわい!
で、なんで、それがフラグの代名詞に?なんじゃがな。
儂が思うに、五つ星物語りちゅう御伽話が原因じゃろて。
あん話の中に、戦闘興奮薬をキメた新兵が、帰ったら結婚するちゅうエピソードの後に死んでおる。
あん前に、フラグちゅう概念は一般には無かったでな。
有ったのは、コンピュータプログラム言語内だけじゃて。
で、ニワカ言語ちゅうフラグがの。
運命を左右する感じで使用されちょんのが、気に入らん!
ほじゃけぇ、儂ぁフラグちゅう表現は、大嫌いじゃてな」
『語りますねぇ。
まぁ、マスターが頑固なのは、今に始まったコトでは有りませんが。
でも、金を回収し、鉱石もインゴットにしたみたいですよ?
この状況で、イチャモン付けますかねぇ?』
普通は付けんじゃろうな。
じゃがの、ダリルさんが追加で要求した石山が問題じゃて。
あん石ん中にぁ、希少金属を含んじょる石が有るでな。
金や銀だけでのぅて、ミスリルや黒仙鉱なんぞも。
ありゃあ、少量でも高値になるでなぁ。
それに宝石の原石が入っちょるモンもな。
まさに宝の山じゃて。
ちゅうても、石に含まれちょるモンに気付き、それを取り出せたら、じゃがな。
有るコトに気付かず、気付いても取り出せん、じゃあ、宝の持ち腐れじゃて。
そんな石山から、そがぁなん取り出したら、どうなるじゃろな?
問題の熊は討伐後じゃぞい。
「いやいや、ご主人様?
流石に、その熊を討伐した人物ですよ?
手を出すとは、思えませんが」
沙織さんは、そがぁに言うがの。
人間ちゅうんは、同じ人間ちゅうだけで、相手を低くみるヤツがの。
『そうですね。
データでは、特権階級の者に、その傾向があります』
なるほどのぅ。
統計でもかえ?
しかし、ダリルさんは、ダメじゃろ。
彼は人ちゅうか厄災に近いでな。
晶石の力も合わせたら、都市を灰燼に化すコトも可能じゃあ思うぞい。
『まぁ、そうでしょうね。
あ、準備が整ったみたいですね。
ハゲルさんとロゼッタ嬢が、武装して広場中央へ行きましたが・・・
ダリル様とギーゼットは?』
おや?
ジェミアさんが見失ったんかぇ?
流石はダリルさんじゃな。
ほれ、荷車ん陰へ身を潜めちょるわい。
『あ!
あんな所へ!?』
「い、いや。
全く分からないんですが?」
まぁ、沙織さんは、仕方あるまいてな。
さて、ダリルさんとギーゼットの気配が消えたでな。
熊が、どう動くか、じゃてな。




