普通に鉱石を製錬しちょるんじゃが、普通とは?ちゅうか、ダリルさんが、なんか気付いたようじゃな。
ダリルさんが鉱石をインゴットへと。
それを荷車にの。
プラティオンも鋳溶かして、インゴットにしちょるでな。
鉱夫達がヒソヒソと騒いでおる。
まぁ、ダリルさんは、淡々と作業しちょるけぇ、怖さは分からんじゃろ。
じゃが、ハゲルさんとロゼッタ嬢が、役人を締め上げちょるでな。
こりゃ、ヤベっ!ちゅう、感じじゃな。
っか、ん?
「ふむ?
人里へ現れるか。
コヤツ、もしや人食いか?」
ダリルさんが、ポツリと。
「ダリル?
どうかしたんさね?」
ロゼッタ嬢が尋ねて来たのじゃがな。
彼女は気付いちょらんみたいじゃな。
「ふむ。
どうやら熊が居るようだが、コチラを伺っておるな。
普通なれば、人里には寄り付かぬハズ。
動き的に、人を狙っておるように思えるが、まぁ、荷台にも乗りそうにない。
しかも、妥当な金額で依頼もされとらんのでな。
面倒だから、取り引きが終わったら帰るとしよう」
さも、当たり前のように。
それにロゼッタ嬢がの。
「はい?
見捨てて去るつもりさね?」
そがぁなコトをの。
したらハゲルさんがな。
「ロゼッタよぉい」っと。
「?
なんさね?」
「タダで剣を打ててぇ言われてよぉうぃ、容認できんのけぇ?」
そがぁ風にの。
それに対し不機嫌そうに。
「そんなん、する訳ないわさ」っとな。
まぁ、そうじゃろな。
「そうだろうぬぇい。
タダ働きは、誰でもイヤなむぉんだかんよぉうぃ。
で、なんでダリルへタダ働き勧めんのかぬぇい?」
ハゲルさんの一言で、ハッとなったロゼッタ嬢がな。
「言われてみたら、そうさね。
狩っても持ち帰れないんじゃ、狩り損さねぇ。
悪かったわさ」
「ふむ、別に気にはしとらん。
女性は情に熱いもの。
気持ちは分かるのでな。
だが、無関係であるのに、勝手に手を出しては、ダメだろう。
それにハゲルが言う通り、タダ働きはゴメンだな。
せめて金銭なれば、コレくらいは貰わんと動かんぞ」
金額を聞いた役人がの。
「そんな、むたいなっ!」
ちゅうて、悲鳴を上げちょるな。
「ドコが、だね?」
ダリルさんか、不思議そうに。
「あー
なんだぁ。
多分だがぬぇい、勘違ぇしてんぜぇい」
ハゲルさんが、そのように。
「?
なにを、だね?」
「コヤツ、熊ん代金を計算に入れてねーんさね。
討伐代だけ、っーて思ってんぜぇい」
そうハゲルさんが告げると、ダリルさんが首を捻っての。
「なんで、そうなる?
熊を荷車へ乗せられぬゆえ、持ち帰らんと告げたハズだ。
本来、討伐した者が持ち帰り売るが、依頼された場合は依頼者が買い取る場合もある。
それは討伐者が依頼者へ売る場合だな。
依頼する気があり、俺達が持ち帰らないなれば、依頼者が買い取るのが筋だ。
常識だと思ったのだが?」
そうダリルさんが告げるとな。
「ふん。
どうせ気付いて無かったんだわさ。
まぁ、何年も呼び戻されず、ココで役人してるようなヤツさね。
聡けりゃ、とうに街へ呼び戻されてるさね。
それに、鉱山経営も良くないんだろうねぇ。
良かったら、考え無しに鉱石へ相場以上の値を、吹っ掛けないわさ。
公共事業で、そんなコトしてんのバレたらさぁ。
無事じゃ済まないのは当たり前さね。
それを普通にしてんだよ?
頭が回るとは、ねぇ」
ロゼッタ嬢が、呆れたように。
「ぐぬぬぬぬぅ」
役人は指摘されて、顔を真っ赤にしちょるな。
そんな彼へダリルさんがの。
「で、どうするのかね?
依頼するなか、しないのか?
まぁ、俺は、どちらでも良いが、前払いでしか受けんぞ」
そう告げるとの。
「いや、そんな金が!」
また、バカなコトを言っておるな。
「今、ハゲルから受け取った、金銭を合わせれば払えよう。
足りぬなれば、追加で鉱石を頂いても良いが?
俺が製錬すれば、まだ荷台に乗る。
それに、この中層獣グルガムスのギーゼットに運ばせても良いし、なんなら俺も背負うのでな」
受け取った金を手に、金がないとは?
ほんに、大丈夫か、こん役人?




