風の道?そこを疾走するんは、明らかに普通じゃ無いんじゃが?
ダリルさんが、普通だろ?ちゅう感じでの。
したらハゲルさんがな。
「何、当たり前みてぇぬい言ってんでぇい!
風の道ぬぅあんてぇいのを、どがぁして創ったぁ!?
っか、風の上を走れるんけぇ!?」
ふむ、まったくじゃな。
「ぬ?
出来ておるから、出来るのではないか?
まぁ、俺も初めての試みゆえ、説明など出来ん。
だいたい、晶石を扱えるようになったのが最近なのでな。
まだまだ知らぬコトが多いのだ。
ただ、決め付けて試さぬのはダメみたいでな。
雷晶石による微電流放出。
アレで索敵できるなど、思い付きもしなかった。
カリンからの知見を得て初めて知った事例だな。
それを鑑みて、思い付いたコトは出来る前提で行うコトにしたのだ。
まぁ、端からダメと思ったコトはせんが、可能性があるなれば試す方が良いのでな」
いやいや、え?
「はぁ?
風の道創ったり、そん上を走るのを、けぇ?」
ハゲルさんも、同意見のようじゃな。
「風で物を浮かせたり、移動させたりは、以前からしておるでな。
後は状態を微電流で精査しつつ、風を操っておる。
とは言え、前方へ現れたキャラバンを回避するため、宙に避難したら出来た、が、キッカケだがな」
それ、単なる偶然じゃね?
「いやいや。
思わず宙にってよぉい。
それ、出来る確証でもあったんけぇ?」
ハゲルさんが、思わず突っ込んでおるな。
「いや?
咄嗟なコトだったのでな。
反射的に行ったに過ぎん。
まぁ、風を何度も操り、動かす感覚には慣れておったのでな。
ゆえに咄嗟に反応したのだろう」
ダリルさんが、そのように告げるとな。
「それって、偶然に偶々上手く行った、って言わないさね?」
ロゼッタ嬢が尋ねるとの。
「ふむ?
そうとも言うな」っと。
で、あまりな事実にロゼッタ嬢がの。
「キュー」ちゅう感じで気を失なってしもうたわい。
まぁ、下手したらキャラバンへ、あの超高速で突っ込んでおったでな。
そうなれば、大事故じゃて。
そがぁなったら、荷車へ乗っちょる二人も、無事ではあるまいてな。
じゃが、そんなコトにはお構いなしに、ダリルさんがの。
「アチラに見える山が、向かう先ではないか?」
ちゅうて、ハゲルさんへな。
「おまっ!
ふぅいっ、もう良い。
んで、あん山けぇい?
確かに目的地の山だがよぉい。
ちょっと、待てぇい!」
「どうかしたか?」
「なんで、こんなに近付いてんでぇい!
行くだけでよぉい。
数日は掛かるハズぬぁんだが?」
「何かオカシイかね?」
「いや、速過ぎぬぅえけぇ?
屋敷を出て一時間くれえなんだがよぉい?」
数日掛かる距離を数時間かえ?
ハンパないのぅ。
したらダリルさんがの。
「不思議ではあるまい」っと。
「はい?
いやいや、こん距離をだ、ねぇい」
そう言い掛けると。
「ハゲルは、勘違いしとるぞ」
そのようにの。
それを聞いたハゲルさんが、意味が分からんかったようでな。
「はぁ?
どう言う意味でぇい?」っとの。
「まずは道程が違い過ぎる。
宙を進んでおるゆえ、障害物などない。
ゆえに、目的地まで一直線だ。
次に道の状態だな。
不整地な道を進むだけで、移動は滞るものだ。
風の道なれば、下手に舗装した道よりもクリアだからな。
それに、俺が牽いて移動しておる。
そのため、馬車なんぞよりも移動速度は速い。
この状態と、何時もの移動を比較しても、意味はあるまい?」
うーむ。
徒歩移動や自転車移動しちょる者が、新幹線や飛行機で移動しちょるモンとを、比較しちょる感じかえ?
そりゃ、新幹線や飛行機での移動は、徒歩や自転車より遥かに速いでな。
比較する意味もあるまいて。
「ううむぅ。
まぁ、速く着くのは、良いんけぇ?
っと!
中腹に坑道への入り口が見えてんぜぇい。
っか、マジ速いぬぇい」
うむ。
まさに、呆れる程に速いわい。
つか、途中でギーゼットと代わるんじゃなかったかのぅ?
まぁ、ギーゼット的には、初めて空を走る経験に気を取られちょったでな。
交代自体を、忘れちょったみたいじがな。




