ダリルさん爆走中なんじゃがな、道には移動しちょる方々も。大丈夫けぇ?
超高速移動しちょるダリルさん一行なんじゃがの。
当然じゃが、道はダリルさん達だけが、使用しちょる訳ではない。
まぁ、道幅がある場合は、軽く避けておるんじゃがな。
「あ゛あ゛っ!?
前方にキャラバン!!
いや、ぶつかる!」
ハゲルさんが慌てる。
ケシ粒ほどの大きさに見えちょったのが、グングン近付くでな。
それも瞬き程度の一瞬にじゃ。
そりゃ、慌てもするわなぁ。
したらの。
「はい?」
気が抜けた声が。
思わず目を瞑っていたロゼッタ嬢が。
「どうかしたのかい?」っと。
ほしたらの。
「飛んでやがる」
そがぁにな。
「はい?
何がさね?」
不思議そうに目を開けて、辺りを見回すと。
「これ、どう言う状況さね?」
うむ、訳分からんじゃろな。
儂は晶石の関係かは知らんが、状況を理解できちょるんじゃがな。
「ご主人様?
人って飛べるのでしたか?」
沙織さんが困惑しちょるな。
ほじゃけぇな。
「ありゃあ飛んじょるんでは無いでな。
宙を走っちょるんじゃよ」
そがぁ風に教えたんじゃがなぁ。
「いえ。
全く理解できないのですが?」
まぁ、そうなるわな。
『沙織。
アレはダリル様が創った風道を、荷車が移動しているのですよ。
風晶石で創られた風の道の密度が、荷車とダリル様、ギーゼットを支えるのに十分な強度を得ています。
正直、無茶苦茶ですね』
ほうじゃな。
風の繭にて荷車ごと包み、下から吹上げた風で浮かせてはおる。
じゃが、風圧と空気密度だけで、あがぁなコトが可能なんかや?
なんか電圧みたいなん感じるんじゃがのぅ。
訳が分からん。
『あの風道は帯電していますが、風繭と言うかカプセルも、帯電しております。
アレにより磁場が発生し、風道と風繭が反発しているみたいなのです。
つまり、風道に乗ると言うより、風道の上に磁場反発にて浮いている状態ですね。
リニアみたいなモノでしょうか』
はい?
風じゃぞい?
そがぁな簡単に帯電するんかいな?
『風と言うか空気には、埃や塵に砂などが巻き込まれております。
そのような微粒子が帯電しているものかと』
なるほどのぅ。
ん?
いや、待て。
ダリルさんは、それを意図して行なっちょるんかいな?
『いえ、おそらくは、無意識で、かと。
あれを意図的に制御など、我々AIにも無理ですから。
似たようなコトは、技術的に可能ではあります。
ですが、あの規模での再現は不可能です。
キチンとした乗り物を製造し、風道発生装置と込みならば、可能でしょう。
単なる荷車と、何も無い空間で、あのような移動を実現出来ているコトが異常なのです』
まぁ、ほうじゃろうなぁ。
いくら晶石にて異空間へ力を封じ、それを引き出せるちゅうてもの。
扱い方が規格外過ぎるわい。
っか、あがぁな発想自体が、儂には浮かばんでな。
大体、風で道を創って、そん上を走る?
出来る出来んちゅうより、考えが浮かばんて。
っかの。
「ふむ。
このように移動すれば、道の悪さドコロか障害物も気にせずに済むな。
初めから、このようにすれば良かったか?」
などと言うちょるんじゃが?
そがぁなダリルさんにハゲルさんがの。
「おい、よぉう?」っと。
「ん?
どうかしたか?」
軽く尋ねちょるんじゃがな。
「い、いや。
この荷車なんだが、よぉい。
空を飛んではいぬぇいけぇい?」
困惑顔で。
まぁ、普通は、そうなるわなぁ。
「いや?
飛んではおらんな」
そがぁに返すんじゃがな。
「そうなんけぇ?
空中を移動しとるてぇ、感じるんだがぬぇい?」
合点がいかない感じでの。
したらな。
「ん?
飛んではおらんが、宙を走ってはおるな。
ゆえに、宙を移動しとるぞ」
シレッとの。
「飛ぶのと、どう違うんでぇい!
ちゅうか、宙を移動って、どうなってをずぇい!?」
まぁ、そうなるわな。
したらな。
「ふむ?
いや、宙に風の道を創ってな。
その上を走っておるだけだが?
何か問題があったかね?」
いや、問題だらけじゃろ、それ。




