さて、ダリルさんと三人が模擬戦をするようじゃぞい。
ハゲルさんの言葉にダリルさんが苦笑しながらの。
「反則と、言われてもな。
この技術を身に付けるのは、結構キツイのだが?
まぁ、半ば強制的に身に付けるため、教わってはいない。
概念だけを聞いただけだ。
だが、コレを身に付けない者は、中層深部以降での活動は厳しいだろう。
っと言うか、瞬眠が行えずに行けば死ぬ。
アソコは、そう言う場所だ」
教わって無い?
どう言うコトじゃ?
「いやぁ、よぉい。
教わってぬぇいのに、どうやって出来るようになったんでぇい?」
ハゲルさんが首を捻っておるな。
それへダリルさんがの。
「生き延びるためには、身に付けるしかないのだよ。
中層中部辺りから、極端に睡眠が削られる。
マトモに寝るコトは不可能なのでね。
下手に熟睡したら、中層獣に襲われて死ぬだろう。
いや、中層獣どころか、ジェムのような野鼠に襲われるコトもある。
コヤツらは群れると、結構危険なのでな」
マジかぁ!
野鼠共が、可愛い顔して割とヤリおるわい!
「む、むぅ。
聞きしに勝る厳しさだぬぇい」
「そうさねぇ。
アタイ達じゃ、活動できそうに無いわさ」
ハゲルさんとロゼッタ嬢が、そう告げるとファマル嬢がの。
「でも、そんな寝不足状態だと、マトモに狩りなんか無理なんじゃ?」っとの。
そんな彼女へダリルさんがの。
「そのような理屈を、俺の師匠が容認するとでも?
「慣れろ」の一言だな」
「そんな無茶なっ!」
う〜むぅ。
ガウランドさんならば、言いそうじゃな。
『間違えなく言うでしょう。
っと言うか、当然と考えていそうですが?』
彼ら的には、それが常識なのじゃろうて。
っか、そう言う意味では、ダリルさんの考えは、コチラ寄りな感じじゃな?
『里で様々な工房へ弟子入りしていたからでしょう。
彼らは狩人でなく職人ですし』
なるほどのぅ。
「まぁ、一般的には無茶なのだろう。
だが、そんな極限状態だからこそ、短時間で深い眠りを身体が求めるようになる。
それが、瞬眠の入り口だと言えような。
ただ、身に付かねば、身体を壊す。
いや、それ以前に、野獣などの腹へ収まるか」
「つまり、イヤでも身に付く、ってぇいヤツけぇ?」
「まぁ、そうなるな。
で、習得を試みるかね?」
「いや、止めとくぜぇい。
流石に生き残れる気がしぬぇいかんよぉい」
まぁ、そうじゃわな。
儂は模倣で身に付けたが、普通は無理じゃて。
「さて、朝食の準備もある。
模擬戦をするならば、ヤってしまおう」
そう告げ、ダリルさんは胡座の上で丸まっていたポックルを抱き上げる。
「ちょっと退いておれ」
そう告げて地面へと。
【ふみぃ〜】
不満そうじゃな。
「しかし、何故に俺へ懐く?
懐かれるようなコトは、しとらんのだが?」
くっ!
野良猫を構いに行ったら、ことごとく逃げられる儂に対する戦線布告かや?
「で、お前もだ」
そう告げ、肩のジェムを摘み上げる。
「本来は狩人にとっては非常食扱いなのだがな。
何故に、俺に懐く?
変な野鼠だ」
そう告げた後、ポックルの頭の上へと。
ポックル、舌舐めずり。
ジェム、硬直。
「ポックル?
分かっておろうが、ジェムを喰らえば、山へ戻すのでな。
まぁ、俺的には、それでも構わんが?」
尻尾をビーンと伸ばし、耳が直立。
目を見開いて固まる、ポックル。
コヤツ、忘れておったな?
っか、それを察しながら、ジェムをポックルの頭に乗せるダリルさんも、なかなか人が悪いわい。
その後は、ダリルさんと三人とで模擬戦を。
一人づつではない。
三人とダリルさんが、じゃな。
まぁ、軽くあしらわれておるんじゃが。
「マジかぁ!
全く歯が立たぬぇいっ!」
「なんでぇ!
アタイ、のぉ、ハンマーをぉ。
パシッて感じで、片手で受け、止め、る、か、ねぇ!」
「後の死角から突いた槍を、軽々、避ける、って。
後ろが、見えてるんですかぁ!」
うん、散々じゃな。
しかも、アレ、かなり手加減しちょるぞい。
力量差が酷すぎるわい!




