思わん場所で知り合いや、近くに住んじょる人と出会うなんちゅうのは、良くあるコトじゃてな。
沙織さんの声に反応したのは、花咲さんなんじゃがな。
その反応がの。
「はい?
その声、沙織先輩ですかぁ!?」っとの。
おりょ?
知り合いかぇ?
『どうやら、沙織の高校時代の後輩みたいですね。
沙織は生徒会長をしておりますて。
花咲さんは、その時に生徒役員へ一年生で所属していたみたいです』
ほぅ。
世の中は狭いのぅ。
『いえ。
ココら辺は沙織と花咲さんの地元です。
ですから出会う確率は低くないかと』
ああ、まぁ、そうじゃのぅ。
じゃが、偶然他所で出会うなんてこたぁ、良くあるコトじゃてな。
『そうなのですか?』
ほうじゃぞ。
儂が小学生の頃なんじゃがな。
家族で旅行へ行ったんじゃよ。
『そうなんですね。
それが、なんの関係が?』
まぁ、慌てるで無いわい。
ほんでな。
旅行先は、東京大阪間より離れちょる場所でなぁ。
車でのぅては行けぬ山間の村じゃたんじゃわ。
当時は今より交通機関が発達しちょらんかったけぇ、自家用車じゃなかったら、行けん場所でな。
茅葺屋根の民宿に泊まったんじゃよ。
『それでは、結構な時間が掛かったのでは?』
ほうじゃぞ。
まぁ、高速道路は一応あったがの。
じゃが、開通しちょらん箇所ものぅ。
ほじゃけぇ、山間の山道を縫うように登る訳じゃ。
そがな感じじゃけぇ、まさに旅ちゅうか、気楽にはの。
まぁ、車じゃけぇ、徒歩みたいな苦労は無いがの。
で、そがぁな民宿じゃけぇ、泊り客は囲炉裏ばたに集まり夕餉を頂く感じにのぅ。
で、ありきたりじゃが、「何処から来なさった?」っとの。
『はぁ。
ありそうな話しですね』
まぁの。
で、若い女性がの、県を言いなすった訳じゃ。
儂ん家が在る県をの。
『へー
同じ県からですか。
ソレは、また奇遇ですねぇ』
ほうじゃろ?
じゃから母がの。
「あらぁ。
私達もなんですよ」っとの。
したら女性が驚いてな。
「そうなんですか?
○○県のどちらから?」っとの。
ソレへ母がの。
「○○市からなんですよ」
そう返した訳じゃ。
したら女性が驚いての。
「まぁ!
私もなんですよ!
私は○○町からですけど」ちゅうて、ビックリしちょったわい。
じゃがの。
「まぁまぁ。
私達もなんですよ!?
○○団地なんです。
お宅は、どの団地なんです?」っう感じでなぁ。
ほしたらじゃ。
「ええっ!?
私も○○団地からなんですけど!」ちゅうてな。
聞いたら歩いて行ける距離に住んでおる人じゃったわい。
まぁ、この様に、他所で近場のモンが出会うコトは、良く在るコトじゃてなぁ。
『いや、マスター?
ソチラは、完全にレアケースでは?
ソレを一般的と言われても、困るのですが?』
ほうかえ?
じゃが、実際に儂が体験した実話じゃてな。
無いちゅうコトは、それこそ無いと思うがのぅ。
「その声は、美咲、いえ、花咲様でしょうか?」
「先輩。
美咲で良いですよ」
「花咲様。
確か今は、ソチラが受け持つ講習の最中かと。
公私は付けるべきかと?」
「ん?
先に美咲と。
あ、いや、なんでも無いですじゃ」
応えが有り、ドアを開けておったでな。
軽く沙織さんに睨まれてしもうたわえ。
おっかない、のぅ。
「タラ様の護衛として入室させて頂きます。
なお、本施設の取り決め事項となります。
拒否される場合、施設利用規約に反するとし、スタジオ閉鎖となりますので」
「それ、実質拒否権が無いではないですか」
花咲さんが呆れたようにの。
「多羅様が、我がグループ企業である祖衛垣グループのVIPですから、当然です」
「ドリームステージでは無くてです?」
「祖衛垣グループの賓客となります。
詳しくは申せませんが、正確には当グループの上位組織に賓客とされておられます。
くれぐれも、粗相がない様に」
沙織さんが告げると花咲さんがの。
ギギギギギィちゅう感じでなぁ。
油でも切れたかえ?
「もしかして、先程の話しは、冗談ではなく?」
ん?
冗談じゃと思っちょったんかいな。
心外じゃっ!
同じ団地に住んでいた他人と、遠く離れた白川郷で出会う話し、作者の体験した実話だったりします。
まぁ、良くあるコトですからねぇ。




