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「おいおい」
これは思わぬクリーンヒットだ。
「まさか親子そろって虐待クソ野郎だとはな」
つくづく俺は虐待野郎に縁があるらしい。
こいつに虐待されていた平井鞠子。そして彼女に虐待されていた彼女の子供。
確か虐待を受けた子供は自分の子供を持つと虐待する傾向にある、だなんて統計だか何だかを聞いた覚えがある。あれはどうやら本当らしい。虐待の遺伝子ってのは受け継がれるらしい。
「産むべきじゃねえんだよ。お前みたいな親を見ているなら、あんたの娘は産むべきじゃなかったんだよ。とんだ判断ミスだ」
「どういう事だ?」
「あんた、俺の事より娘の事ちゃんと調べた方がいいんじゃねえか? 俺はな、あんたの娘が自分の子供を虐待してるって意味で言ったんだよ。それをお前が勘違いして勝手に自分の虐待をゲロりやがったんだ。驚きだよ」
「あいつが……そんな……」
「お前のせいだ。お前が虐待したからだ。だからお前の娘も虐待の遺伝子を受け継いじまったんだ。なあ、どんな事をした? 殴ったか? 蹴ったか? 煙草を押し付けたか? 酒を浴びせたか? それとも、父親が娘にやる虐待ってなると……まさか、やってはねえよな?」
男の顔がどんどん蒼白になっていく。
「図星かよ、ゴミ野郎」
思わず唾でも吐きかけてやろうかとも思った。
――こんなゴミに俺は罰せられるってのか。冗談じゃねえ。
「まるで、見ていたような口ぶりだな」
「大体想像がつくよ。お前らがやりそうな事は」
「……お前、ひょっとして……」
男が何を言おうとしているのか分かった瞬間、一気に頭に血が上った。
「言うな!」
そう叫ぶと男は口を止めた。代わりに憐れんだ目でこちらを見た。
ふざけるな。てめぇに憐れまれる筋合いなんてない。
轢き逃げで殺した三人が全て虐待をしていた事。
運命に感じた点はそれだけではない。
何より俺自身が、親から虐待を受けてきた人間だったからだ。




