118話
「我流、紅蓮一刀――」
我流。
人形使いが、己の持ち得る霊力を集約させて作り出した、頑丈で堅牢な、人形使いの体を構成する木の根とは一線を画す程の強度を誇る特別製の木の根に向けて霧矢が放ったのは、奥伝に連なる絶技では無い、その名の通り完全オリジナルの絶技であった。
倶利伽羅の霊技における『我流』と言うのは、奥伝・裏と同じ位置に属すると言われている――らしい。
らしい、と確証がされない理由はいくつかあるのだが、その最たる理由として挙げられるのは、それが技として形を伴っているかどうかの判断が極めて難しいから、と言うのが一番に上げられるだろう。
我流、それはつまり、自称であると言っても過言ではない。幼い少年同士が、憧れを抱いて木の棒や傘で剣を見立ててチャンバラごっこを披露するように、倶利伽羅における『我流』と言うのは、とにかく広くて浅い領域だった。
故に、誰もが霧矢の行いを児戯として認められなかったのだが、霧矢が頭角を現していくにつれて、彼の我流は説得力を増していった。
その結果、奥伝・裏とも異なる位置づけで彼の我流は認められ、彼のみが行使する事を許されたのが我流なのであった。
奥伝・裏が、倶利伽羅の本懐である絶天を目指す過程で生まれる失敗作であるのに対して、霧矢の我流は新たな奥伝と認定されてもおかしくは無い絶技。紅蓮一刀流の奥伝が四つ揃ったのは、今から二百年以上も前の事。最も新しく開発された技も、今から百五十年前に生まれた奥伝・裏が最後であり、倶利伽羅の歴史が創設されて以来、黎明期を経た倶利伽羅達は、教本に記された霊技だけを使ってこれまで繋いでいきた。そうした長い時間の中で一つ一つの霊技は洗練され、より効率的に、より強烈にと生まれ変わってきた。だが、倶利伽羅としての基盤が整う黎明期を超えて以降、長い歴史の中で新たに霊技が生み出されたのは、開発段階と言っても過言ではない『奥伝・裏』が最も多く、それ以外では新たな発見はほぼされてこなかった。
そんな環境の中で生まれた、神藤霧矢の『我流』。
彼はこれから行使する絶技の他にもいくつかの霊技を開発しており、孤軍奮闘をした人形使いを翻弄する際にも初伝から中伝、ましてや破魔弓術に至るまでの我流を繰り出していた。手駒にした人形の記憶を読み取る事が出来る人形使いは、人形にした数多の倶利伽羅の記憶を引き継いで、多くの倶利伽羅が持ち得る霊技を看破していたのだが、神藤霧矢は人形使いが持つビッグデータすらも凌駕して見せた。
そしてその我流は、たった今し方苦戦を強いられたかつての『最強』、皇龍火ですらも生み出す事の出来なかった自分だけの道を行く神藤霧矢だけの道であった。ベクトルは違えども、神藤霧矢と言う男が天才である事を証明する技能、それこそが我流であり、今回の人形使い討伐戦における霧矢の活躍は明確である以上、彼の歩んできた道が認められ日の目を見る日はもう近い。
我流。
そう呼ばれるのも最後かもしれない、彼の生み出した最高傑作の霊技が、人形使いの心臓目掛けて振り抜かれる。
奥伝に匹敵する、彼の最大最強の霊技。
その名も――。
「――我流、紅蓮一刀・烈狂斬波ァッッッ!!!!!!!!!!」
集結した黄金世代すらも圧倒する程の、尋常ならざる霊力を内包した刀には、霧矢の霊力が洗練されている証である白い炎が宿っており、彼が踏み込み、一つ動きを見せる度に揺らめく白炎は神々しさすら感じさせる。
下に向けた刀の先端を、霧矢は踏み込んだ際の力強さを一切感じさせないかのように自然に、かつ洗練された動きで切り上げると、刀に纏わせた白い炎が弧を描くように前方範囲を大きく蹂躙して見せる。
しかし、
「硬い……ッ!!」
誰かが叫んだ悲痛な叫びが聞こえるように、霧矢の放った我流の一撃は鈍い音が示すかのように堅牢な守りに一筋の傷跡を残すのみであった。
人形使いの体を大きく揺さぶるほどの衝撃を生んだ一撃も白炎が尾を引くのみで、心臓を守る頑丈な木の根を傷付けるだけに留まり、人形使いの心臓を切り裂くには至らなかった。
だが、霧矢の一挙手一投足に注目する黄金世代が落胆の声を上げるよりも早く、霧矢は動き出す。
「言ってなかったかぁ……? こいつぁ、二連撃なんだ、ぜ――ッ!!!!!!」
切り上げた刀を振り切っていなかった霧矢は、手の動きだけで巧みに刀を返した後、一歩目の踏み込みを生かすかのように腰を入れて、先程傷付けた刀傷と全く同じ個所へと、袈裟斬りを見舞う。
それこそが本命である、と言わんばかりに本腰の入った切り込みは、一太刀目とは比べ物にならない程に気迫が込められており、息を吹き返したかのように白炎が雄叫びを上げる霧矢の刀は、正真正銘の絶技を振るう。
「きゃっ……!?」
「くっ……!」
「っ!!?」
「す、っげぇ……!!」
霧矢が刀を振り下ろした直後、その場を駆け抜けるかのように吹き荒れるのは、衝撃の余波となる霧矢の霊力の奔流。それが暴威を乗せた颶風となって黄金世代たちを熱波の渦へと巻きこんでいく。
そうして起こるは、天を裂く白炎の一閃。
一度目の切り上げは、印をつけるためのもので、霧矢が声高に叫んだように、切り返しによる二度目の袈裟斬りこそが本命。
その一閃は、傷をつけるのが精々かに思われた堅牢な心臓の守りを容易く切り裂き、人形使いの心臓は白炎を噴き上がらせて一刀の下に両断される。
「――ぎゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
白炎に包まれて燃えていく心臓がどうなっているのかどうかは、霧矢が刀を振り切ると同時に上がった壮絶な悲鳴が全ての答えを教えてくれる。
しかし、そんなものがなくとも、心臓を両断するに留まらずに人形使いの体をも大きく切り裂かれた光景を目の当たりにすれば全ての決着がついたのだと言う事は必然的に想像できる。
それ程までに霧矢の我流による絶技はすさまじく、白炎が尾を引いて消えゆく幻想的な光景の後に続く、切り裂かれた天井から降り注ぐ終焉の光が、まるで全てが終わった事を示唆しているかのように感じ取れるのであった。
それらを目の当たりにした黄金世代たちは、肌を焦がすような歓喜、網膜を焼く衝撃、鼓膜を震わす興奮。その全てが、黄金世代にとってみれば奇跡的と称する他無い程のもので、肌で、目で、耳で――五感全てでそれを味わう事が出来たと言う事実だけでも成長の一端になると言えるような価値ある経験。それこそ、自分達とは一線を画す火加々美甘奈が普段から見ている世界を知れたと言う経験は値千金であり、黄金世代がより高く飛ぶための糧になると確信さえ抱けるようなものを、霧矢は見せてくれたのであった。
「ハァッ、ハァッ、ハァッ、ハァッ……!」
これだけ強大な破壊力を持つ絶技である。霊力の消耗はそれ相応に霧矢の体に負荷をもたらし、霧矢はその場で膝を付いて激しく呼吸を繰り返す。相当な疲労が見込まれるものの、全ては終わったのだ。救援が駆け付けるまで暫しの間、休息を果たしても誰にも文句は言われないはず。
そう、思っていたのも束の間、
「――まだ、終わってない……?」
黄金世代の一人、小暮日永恋が不穏な空気を嗅ぎ取ったのか、そんな事を言ってのける。
「……あ゛? 俺が、討ち損じた、とでも、言いてぇのか?」
「そんな訳、ないだろ、永恋。霧矢さんの一閃は、間違いなく心臓を叩き切った。人形使いは、死んだんだ」
「そうよ、永恋も見たでしょう? 今の一撃を。聞いたでしょう? 人形使いの断末魔を」
「そうだな、後はただ、作戦本部が遣わす救援を待つだけでいいんだ。少し、疲れたからな――」
誰もが霧矢に対して尊敬の念を抱く中、永恋はただ一人だけ、天井を見上げ続ける。
永恋もまた、心臓の守りを破った霧矢の霊力、己が道を見つけ出した胆力など、ここに至るまでの彼の道程に敬意を抱いているのは間違いない。だがそれでも、永恋の胸中にふと浮かんできた謎の違和感が、まだ終わっていないと囁くのだ。永恋をここまで連れて来てくれた信ずるに値する勘、第六感が、「まだ終わりではない」と訴えているのだ。
故に、永恋は何かを探し求めるかのようにして霧矢が叩き切った心臓の元へと歩みを進める。
その場に居合わせた全員の訝しむような視線も無視して、永恋は真っ二つに両断された心臓に手を伸ばし、中を覗き込んだ。
そこにあったのは――。
「……やっぱり、何も、無い」
木の根が覆い隠そうとしていた殻の中には、何も無い、と言う答えが在るだけ。あるはずの、両断されたはずの心臓などどこにもない、もぬけの殻となった木の根が、そこにあるだけだった。
「はぁ!? お前、何を言ってやがる! 俺は確かに手応えを感じていたし、断末魔だって――」
永恋の声に霧矢が立ち上がって、覗き込んでいた永恋を跳ね退けるようにして永恋と同じように覗き込むと、彼は口早に捲し立てていた言葉を突如として閉ざしてしまう。
覗き込んだ先、確かに霧矢が叩き切った木の根の中にあったはずの心臓が、叩き切ったはずの心臓が、どこにも見当たらなかったから。
妖魔だから、死ぬ時は塵になって死ぬから、跡形も残っていないのは当然。
しかしそれは、ただ塵になるのではない。体を構成する霊力が散って行くのであり、上級妖魔ともなれば泡のように弾けて消えたりはしない。それだけ、体を構成する霊力が潤沢であるから。であるならば、風雨にさらされるようにして長い年月をかけて風化していくように、じっくりと時間をかけて消えていくはず。だと言うのに、もう既に跡形も残っていない。そして霊力が散漫していく感覚を、永恋の五感は捉えていなかったからこそ、違和感を覚えたのであった。
「まだ……、生きてる――ッ!!」
人形使いは、死んだふりをした。
そう結論付けるには十分すぎる程の証拠が出揃った以上、永恋の行動は早かった。
幸いにも、この場における霊力の残存量が最も多いのは、永恋である。故に、人形使いを探し出すには十分余力が残っており、人形使いがまだ遠く離れていない事を確信している状態で探し始める事が出来ていた。
ギョロリ、と眼球を動かし、仰ぎ見るは、人形使いの体の上部。
木の根が巨大な人形使い全身を作り出したとは言え、永恋が見たのは、その巨大な身体の腰部分に人形使いの体が収められていた事。そしてこの人形使いの心臓が、霊力の核となる部分が置かれているのは、人間でいうところの下腹部、臍の下にある、丹田の位置。であるならば、人形使いが息を殺し、隠れ潜んでいる場所は此処よりもさらに上部に位置する、胸部――。
と、そこまで考えた結果、差し込む光を頼りに人形使いの空洞となる身体を隅々まで探した結果、永恋の眼球は小さくなった人形使いの体を捉えるに至る。
「――見つけた……ッ!!!!」
「キヒッ……!?」
瞬間、永恋は残りの全ての霊力を振り絞るかのような勢いで地面を蹴って、人形使いの元へと跳躍する。それはまるで、射出される弩のようで、衝撃を受けた木の根の地面が大きく破壊される。
差し迫る永恋の鬼気迫る勢いを前に、同じく霊力が残り少ない人形使いは、永恋に背を向けて逃げる事だけを考える。
満月の夜の力を薬によって手にした人形使いは、己の中に眠る力がダムの放流の如く勢いよく湧き出てくるがために、調子に乗った。そうして図に乗った結果、一人一人始末する必要など無い羽虫の如き倶利伽羅達に恐怖を覚える事が無くなったおかげで、態度が大きくなってしまった。力に溺れた結果、冷静な判断を下す事が出来なくなってしまっていた。臆病である事こそが、人形使いが上級妖魔にまで上り詰める事と成った全てであると言うのに、満月の夜を超える力の奔流を前に増長した人形使いは油断し、その結果、今こうして追い詰められていた。
死にたくない、まだ生きていたい、と言う欲求を叶えるべく、人形使いはあらゆる手段を弄して彼らの道を阻み、最後には自らの死を偽造するような真似までして見せる程に追い詰められた人形使いは、それでも最後まで必死に逃げ延びる事だけを考えていた。
この状況から逃げ延びさえすれば、また何度だって人形を補充して戦えるようになる。そう確信していた人形使いは、疲弊し切った身体でそれでも追い付こうと血眼になって後を追ってくる永恋に対して、生まれて初めて覚えた根源的な恐怖を抱かずにはいられなかった。
「キヒヒッ……!!」
「――甘奈ッ!!!!」
人形使いの足は、速い。護符によって足場を作らなければならない永恋に対して人形使いは、人の足では小さすぎる木の根を足場に、外へ外へと向かって逃げ回る。お陰で永恋の最期の太刀に掠りもしなかったのだが、そこで永恋は一枚の護符を取り出し、詠唱を口にせずに人形使いの進行方向先に放り投げた。
直後、「人使いが荒いですね」と言う溜め息を吐く声が永恋の耳にだけ聞こえたかのように思うと、皇龍火を両断したのと同じように人形使いの目の前に火の鏡が出現する。
「キヒャハッ……!?」
霧矢の道を切り拓く、と言う約束を果たすかのように大技を連発せしめた甘奈は、恐らくこの最後の一閃で霊力に限界が訪れるだろう。そう読んでいた永恋は、人形使いが鏡より飛び出す霊力の一閃を避けた光景を目の当たりにして、硬く奥歯を噛み締める。
一度受けた技を通用しない、とでも言うかのような振る舞いであるが、人形使いはその回避行動すら、命がけであった。その証拠に、万全な人形使いであれば今の一瞬で敵を挑発するような物言いをして見せるはずだが、今はそれがない。
そしてそれは、相手を煽る余裕すら無い程に人形使いが追い詰められている証拠であり、霧矢の言葉を借りるのであれば、本命は二発目。人形使いが回避行動を取る、と言う行動が故に彼我の距離は遂に、永恋の間合いにまで距離が縮む。
そうして放たれるは、新たな高みへと到達した永恋の、全身全霊を込めた、最後の一撃。
「――紅蓮一刀流、奥伝・灼花穿燿赫ッ! ――うぅう、あぁアァアァァァァァァァァァァァあっぁあっぁぁあぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
繰り出されるは、奥伝。
赤くて、紅くて、朱くて、赫い。紅蓮一刀流において最速の突き技。それこそが『灼花穿燿嚇』であり、背中を向けて逃げる人形使いに向けて放つには、これ以上ない程に最適かつ、確実に死に至らしめる霊技。
人形使いが命の危機を感知して咄嗟に防御の為に木の根を動かしたが――もう遅い。
迫る刀の先端は、赤と言うには黒すぎる一筋の線を描いて人形使いの背面より強襲し、一切の抵抗なくして人形使いの胸を穿った後に、ヒガンバナの如き花弁を開く。
「ぎっ、ぃ――。ぎゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
そして紡がれる、正真正銘の断末魔。
胸に刺さった刀から波濤する霊力は、人形使いの体を内側から破壊し尽くす。それこそが倶利伽羅の放つ霊技の真髄であり、逃げるしか選択肢の無い程までに衰弱した人形使いの霊力では、訪れる肉体の崩壊を止める術は持ち得ない。
故に訪れる、正真正銘の、死。
四肢の先端から崩れていく感覚に終わりを噛み締めたかのように笑った人形使いは、その身に刺さった刀と共に、重力に従って落ちていく。深い深い、闇の泥濘の底へと、どこまでもどこまでも、落ちていく。
――あぁ、クソッ。死にたく、無いなぁ……。俺は、まだ、何もしていない、って言うのに。妖魔の王に、なれるはずだったのに。なぁ、どうして、どこで俺は、間違えたんだろうなぁ。教えてくれよ、誠一郎――
「永恋ッ!!!!」
人形使いの独白も虚しく、べちゃっ、と肉だった物が木の根に激しく打ち付けられる音に遅れて、刀が転がる金属音で掻き消される。
しかし、誰もその音が鳴る方に目をくれる事は無く、人形使いに遅れて落下してきた永恋を晴也が受け止めた後、七星がその身を預かるようにして霊力を出し切った永恋を抱きとめる。
「永恋! 永恋、しっかりして!!! ねぇ、起きて!! 目を覚ましてよ、永恋!!!」
全身から力が抜けたような永恋の姿に、七星の銀河のような眼にたっぷりと涙を湛えてその身を揺さぶる。七星たちが居た場所からでは、永恋と人形使いの間に何が起こっていたのか、確認する術が無く、赤い閃光が暗闇に染まる天井に見えたかと思えば、人形使いが、力ない永恋が落ちてきたのだから、それはもう、慌てっぷりとしては凄いものだった。
「……ん、ぅ」
「永恋!!?」
「七星、ちゃん。これで、ほんとに、おわった、ね……」
「永恋!! 永恋、しっかり、しっかりして!!」
「ちょっと、寝かせ、て――」
「永恋!? 永恋!! 永れ――」
「霊力の消耗で休眠に入っただけだ、寝かせてやれ」
信じられない程の取り乱し様に、晴也も、獅子王も声を掛けるのに戸惑っていた中、キンキンと叫ぶ七星の口を塞ぐかのようにして霧矢が言葉を挟むと、七星は永恋が寝息を立てている事にようやく安堵して、永恋の体を抱きしめたまま、「良かったよぉ……!!」とその場でへたり込むのであった。
「――あぁ、これで本当に……。終わったんだな」
それと合わせるようにして、誰の目にも記憶にもとどまらぬ中で人形使いの体は崩壊していき、その体から霊力が抜けていく。その他にも、人形使いがストックしていたであろう多くの人形からも、その呪縛が解けるように霊力が抜け落ち、元の亡骸へと変わり果てていく。
人形使いが操っていた巨大な木の根もまた、人形使いの霊力で生成されたものであり、それら一つ一つから霊力が光となって抜け落ちていく様は、まるで星々が天に還って行くかのよう。
夕暮れの茜に染まる世界で、そんな幻想的な光景を前にした霧矢は、永恋の言葉を拾うようにして、終幕を告げる。
この光景は、外で待つ甘奈と千夏、外周班や作戦本部からも見える事だろう。
この光景こそ、上級妖魔の討伐の証であり、此度の討伐作戦が無事に遂行された証なのであった――。




