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十ニ話 先輩とナナと碧と+α

 碧が来るまで、とりあえず5人で会話をしつつ昼食を食べ始める。


「シナリンってーどう風見くんとしりあったんですかー?」

「あっ私も知りたい。まだ高一始まったばっかなのに副生徒会長の立候補手伝いって、何か不思議ー」

 そんな二人の台詞にナナは同意するように首をコクコクと降っている。


「し、しなりん?えーと、特に特別なことはないのだけれど、たまたま?会う機会が多くて、会話の流れでお手伝いお願いすることになった、みたいな感じよ。ほら、ケイスケさんって頼りになるし」

 距離感の近いギャル達に若干戸惑いを見せる。頼りになると言われるのは嬉しい。もっと頑張りたくなる。

 

「!へぇー。ケースケってばミス海波で有名なシナリン先輩と入学早々名前呼びされるくらい仲良くなるなんて、意外とナンパ君なんー?」

 名前で呼ばれただけで何やらジト目でナンパ君扱いされてしまった。


「いやそんなことはないと思うが」

 とりあえず否定しておく。


「そうですね。むしろ面倒な人たちにナンパされて困っていた私を、身体を張って助けてくれるくらいイイ人ですよ。誠実で、軟派な方ではないと思いますよ」

 何か今日の先輩はめっちゃ俺のこと褒めてくれる。嬉しいが、照れてしまう。

 

「えーなにそのイベント。うらやましい。」

 ナナがつぶやく。うらやましいって、ナンパされたいってことだろうか。「私もナンパされたところを……」良く聞こえないが、やはりナンパされたいのだろうか。男に慣れたいみたいに言っていたし、その一環かな。


「ナナはナンパされやすそうな見た目してるから、変なのに絡まれないよう気を付けないと危ないぞ」

 この前の駅のナンパ野郎達みたいに面倒なナンパに引っ掛かると危ないので注意はしておく。

 

「!赤西さんとケイスケさんも、お名前で呼び合うくらい仲がよろしいのですね」

「えっ、ま、まぁアタシとケースケは中学の頃からの付き合いだからね。仲良し小好しですよ」

 仲良し小好しらしい。まぁ確かに良好な関係ではあるだろう。彼女が男へ苦手意識があったって知らなければ、多分惚れていたと思うね。可愛いし。


 そんな会話をしていると、生徒会室のドアがノックされる。碧が到着したようだ。


「失礼します」

 碧が入ってきて俺のとなりに座る。俺の作った弁当を持っているので多分、一緒に食べに来たのだとは思うが。

「碧、今日はどうしたんだ?いつもは友達と一緒に食べてるのに」

「ケー君と食べに来た」

 やはりそうらしい。とりあえず彼女にも飯の後に先輩の手伝いをする件について説明する。


「わかった。手伝う」

 彼女も手伝ってくれるらしい。そんな彼女に先輩が話しかける。


「碧さん、と言うのですね。先月はゴミ拾いお手伝いいただきありがとうございました」

 そういえば、そんなこともあった気がする。


「無問題」

 碧は答えるが、モーマンタイって何語だっけ。中国語?気にするなって言いたかったんだろうけど、使い方間違ってる気がする。


「あれー、みどっぴのおべんと、風見くんのと一緒だねー」

 白金さんが俺と碧の弁当が同じなことに気付いたようだ。すごい目敏いな。まぁ同じのは両方俺が作ってるのだから当たり前な訳だが。別々の中身なんて毎朝作るのは面倒すぎる。

 ちなみに、碧とギャルトリオはちょっと前に碧が教室に来たときに挨拶し、既にお知り合いである。というか、そのときにも白金さんと二黒さんの名前聞いた気がするが、完全に忘れていた。明日になったらまた忘れてるかもしれん。すまん、と心のなかで謝っておく。


「ケー君が作ったお弁当だから、当たり前」

 同じで当たり前、と言いたいのだろう。何故か胸を張って得意そうにしている。何故か無性におでこをはたきたくなる表情だ。


「えっケースケが作ってんの!」「ケイスケさんが作ってるのですか!」「えっ風見が作ってんのこれ?」


 3人同時に突っ込みをいれてくる。俺は碧の親代わりに弁当を作っていることをざっくり説明する。ナナは中学の頃に碧の弁当みたことあったと思うが、俺と同じ中身だったことは気がついていなかったようだ。


「ん、ケー君。料理すこぐ美味しい」

 またしても、何故か碧が自慢げにドヤ顔をしている。何だろう、やっぱりひっぱたきたくなる表情だ。いや、やらないけども。


「・・・そうだ。みどっぴオカズ交換してよ。そんな美味しい自慢するくらいなんだから、風見のお手前、品評してしんぜよう。ナナっちもシナリンも交換したいよね?」

 二黒さんの提案にナナと九先輩が賛同する。

 

「えぇ……」

「うわっこの子すっごい嫌そうな顔しよった」

 なんとも言えない表情をする碧に二黒さんが突っ込む。多分自分の弁当が減るのが嫌なんだろう。交換なんだから良いじゃないかと思う。俺の作ったものが減るのが嫌だってことなら、まぁ嬉しいな。作ったものを美味しく食べてもらえることは非常にありがたいことである。


 渋々とおかずの交換を始める碧。とはいえ彼女はそんなに多く食べるタイプではないので、弁当は小さく、そんなにオカズの数と種類はない。

 

「あたしはーこの唐揚げもーらーい」

「じゃあアタシはこの卵焼きで」

 白金さんとナナがおかずを交換する。

「あっ私もその卵焼きがよかった・・・」

 先輩がぽそりつぶやく。卵焼きは二つしか入ってなく、ひとつはもう碧が食べてしまっていたようだ。


「あ、じゃあ俺の弁当からあげますよ。どうぞ」

 俺は弁当箱を先輩に差し出した。


「ぇ。ありがとうございます。では私の卵焼き代わりどうぞ」

 そう言って俺の卵焼きと先輩の卵焼きを嬉しそうに交換する。先輩の卵焼きを食べるの2回目だか、前のも美味しかったから楽しみだ。


「あーじゃあ私も風見の弁当もらいー」

 ごそっとそぼろご飯の部分を持っていく。オカズじゃなくてそこもっていく?ご丁寧に錦糸玉子とひき肉の二色そぼろの二色部分をもっていかれた。


「そこ持っていく?あと二国さん交換するオカズなくない?」

 彼女は食べるのが早く、もう自分の弁当は空である。


「えーだって、このそぼろもたまごも手作りっしょ?うまそーじゃん。交換はもうないけど、細かいこと気にすんな!」

 みただけで手作りってわかるもんなんだな。彼女のお察しの通り、手作りで、実は味付けが今日のメニューでの一番自信作だったりする。交換は、なんか今のやり取りが嬉しかったので、まぁ気にしないことにする。


「「「「美味しい」」」」


 4人ともお口に合ったようで、何よりである。どうにも騒がしい昼食の時間が過ぎ、残った時間で選挙の資料準備や投票用紙の作成、先輩のポスターや演説内容の検討などを行う。人数がいるので仕事のペースも上がり、非常に有意義な昼休みが過ごせた。


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