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十三話 春の嵐と先生と

 今は5月の半ばが終わる頃。バイト先にしばらくお休みすることを伝え俺は机に向かう。うちの学校では5月の後半週が中間試験の期間である。一週間後の水曜に控えたテスト本番に備え、今日から一週間はバイトを休み勉強習慣にしようと意気込んでいるわけである。外では雨が降っており、雨音をBGMに俺はノートを広げた。



 

 19時になりいったん手を止め休憩する。休憩がてら食事の準備をしようとキッチンに向かうと、インターホンが鳴る。なにか宅配だろうか。心当たりはないが玄関に向かう。


「こんばんわ。ケースケちゃん勉強頑張ってる?」

 雨に濡れたにしては全身びっしょりと濡れすぎな、・・・良くみると泥も着いている。かなりひどい状態の一水先生が妖怪濡れ女のように立っていた。


「何か今失礼なこと考えたでしょう。くしゅん。」

 状況は良くわからないが、このままでは風邪を引くのは確実そうだ。タオルをとってきた俺は、先生を家のなかに招き入れた。


「ごめんなさいね、帰り道に転んでしまったのだけど、そのときに鍵を落として、あっ鍵は見つかったんだけどこんなことになっちゃってね」

 そう言って鞄の中からくの時に折れ曲がった鍵を見せてくる。


「えっ、これ、どうすればこんなことになったんですか」

 何でも転んだ拍子に鞄から転がった鍵が、運悪く車に轢かれてしまい、こんな形になってしまったらしい。


「もう、転んで泥だらけになるわ、鍵壊れるわ、鍵屋呼んでもすぐこれないだろうし、びしょびしょのまま待つのは嫌だし」

 頭や手を拭きながら愚痴る先生。濡れた美人かタオルを使って身体を拭く姿は、なんだかドキドキする。


「で、助けてもらおうとケースケちゃんのお家に来ちゃいました。まる」

 今はお酒入っていないのに、酔ってるときみたいな幼い口調になっている。ん?クンクンと匂いを嗅いでみる。


「えっちょっ嗅がないでよ~。エッチ」

 うん、アルコール臭がぷんぷんする。


「先生、お酒飲んで酔っぱらって転んだ感じですか?」

「・・・はいそうです。すみません」

 まだ19時なのに酔って帰ってくるって今日はお仕事、早上がりだったのだろうか。


「とりあえず、お風呂お貸ししますので使ってください。このままじゃ風邪引いてしまいます。服は・・・クリーニング出さないとダメそうですね。泥の染み抜きはやっておきますから、お風呂入ったら服まとめて、籠があるのでその中にいれておいて下さい」


「うぅありがとう。お世話になります。」

 先生を風呂へと連れていく。しばらく待ち、脱衣所の扉をノックする。


「先生、もう浴室入りましたか?開けて大丈夫ですか?」

 大丈夫よ~と浴室の中からの少し反響するような声が聞こえた。脱衣所に入り、洗剤を溶いた溶液を準備し、先生の脱いだ服の泥をもみ洗いし落としていく。応急措置的だが、なにもしないで乾いてしまうよりはましである。ジャケット、ワイシャツと作業し、スカートを手に取る。スカートのしたに大きなブラジャーが見えるが、俺は理性を総動員し、目線を反らす努力をする。

 ブラジャーのベースは白色で、薄ピンク色の細かい花のような模様のレースが縁にそって綺麗な形で編み込まれている。うん、視線そらせなかった。しっかり見ちゃっています。仕方ないよね。男の子だもん。自分に良くわからない言い訳をしながら、とにかく早く作業を終わろうとスカートに着いた泥をもみ洗いしていく。ん、スカートの中から何か白いものが出てきた。それが何かを確かめるため両手で広げる。うん、この時点でこれが何かは気付いてはいたよ。でも、誓ってやましい気持ちは無かったんだ。ほぼ無意識だったんだ。

 手の中には先生のパンツが広げられていた。しかも脱ぐときにスカート事一緒に脱いで引っ掛かったのか、裏返っており、見てはいけない部分の汚れまでバッチリと見えてしまっている。


「ケースケちゃん、まだ洗濯してる?あがっても良いかしら」

 先生の声で我に返る。ヤバい。こんなとこみられたら幻滅どころか通報されてしまう。


「あ、あと少しなので、もう少しだけシャワー浴びていてください」

 俺は急いで染み抜きを終わらせ、タオルと着替えを準備した。パンツとブラは洗濯機にぶちこんでおいた。



 

「ケースケちゃん、洗濯機回ってたけど、下着って洗っちゃった感じかしら?」

 お風呂から上がった先生が脱衣所から出てくる。

 

「すみません、ついでに洗濯機にいれちゃいました。うち乾燥機能着いてるので、二時間くらいしたら乾くと思います」

「そうなのね。ありがとう。でも、今この服ケースケちゃんのよね?イケナイところが直接触れちゃって恥ずかしいわ」

 くねっと変なシナを着けながら先生がからかってくる。

 

「ぅすみません。下着乾いたらすぐ声かけますんで」

 この話題はあまり長くしてはダメだ。からかい尽くされてしまう。


「で、見たのかしら?下着」

「み、みてないです」

 先生のにやにやとからかう表情が止まらない。信じてもらえてないね。うん、みたんだけども。バッチリと筋に沿ったような汚れまでバッチリと。


 外は嵐のように凄い雨と風の音がしている。春の嵐はすごいな、などと考えながら、この後の展開を想像して俺は心の中で頭を抱えるのだった。

 

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