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第20話

「一体いつになったら帰れるのさー!!」


「叫んでも仕方ありません。体力を温存しないと。」


「わかってる!わかってるけどさ!」


アランとケイトは、黄色の砂漠を歩き続けている。

1晩中歩き続けて、ヘロヘロだ。


「あーっ!お腹空いたよ!!」


「そうですね、お腹が空きました。」


「お昼も抜いちゃったし、夜も抜いちゃったし。

 もうすぐ朝ごはんだし。」


明るくなっていく空。朝焼けはキレイだが気分は、あまり良くない。


水筒の中身を飲もうとするアラン。

しかし、空っぽだった。


「日が昇れば喉も乾きやすくなりますね。」


「ドラゴンフルーツ、食べちゃおう。」

そう言ってオレンジサボテンの実を取り出すケイト。


「クエストより、生き延びる事が大事だよ。」


「それは、最後の手段に取っておきましょう。」






バオの宿屋2階。


「アラン、まだ帰ってないのかな?」

アフロのロッキー・エフモンドが心配そうに言った。


「そうみたいね。」

とランラン。


「拙者が助けに行くべきか。」

タス・チャンが考えている。


「でも、なんか未来のわかるって子が、ちゃんと帰ってくるって言ったんでしょ。

 心配いらないんじゃないの。」

ベイカ・モニークがクールに言った。



「アラン、って誰?」

ベールをつけた女の子。


「最近冒険を始めた子ね。3階に泊まってるわ。」

ランランが教えてあげる。


「わたし、知らないその子。」

ベールの女の子、ムーエ・カリナが言った。


「おいらもあんまり知らないけど、金髪で剣を持っているんだよ。」

ロッキーが詳しく伝える。


「金髪ってロッキーみたいな?」

とムーエ。


「そうそう、そういう色ね・・・形は全然違うけど。」

ベイカが言った。






「もぐもぐもぐ・・・。」


アランとケイトの2人はドラゴンフルーツを食べていた。

お腹が空きすぎて倒れてしまいそうな状態だったからだ。



「あんまり美味しくないですね。」


それなりの空腹時に食べる物は、普通美味しいと感じるはずだったが

味は正直、微妙であった。



「ねぇアラン、ボク達もう帰れないのかな。」


「諦めてはいけません。頑張りましょう。」



なんとか立ち上がり、再び歩きだす。


遠くにブー・フブーブが見えた。


「あ、あの木は。」


「あそこまで行けば、帰れるよね!」

ケイトは疲れ切っていたはずなのにピョンピョコ跳ねながら

ブー・フブーブに向かっていった。



「クエストをクリアするには、食べてしまったドラゴンフルーツを

 補充しないといけませんね!」


「探しながら戻ろう。今度は迷わないように!」






「ちょっと遅すぎはしませんか?

 クエストに昨日の夜までに、って書いてあったはずですよ?」


赤いレンガの小路でオレンジ色のターバンを巻いた依頼人が

不満そうな顔をしている。


「実も、小さいのが混ざっていますね。」

袋を確認して、ますます不満げな顔になる依頼人。



「すみませんでした。」

アランは頭を下げる。


「すみません。」

ケイトも頭を下げる。


「報酬は半分にさせてもらいますよ。」

そう言うと、依頼人は1ゴールドだけ2人に渡した。


クエストには、時間制限のある場合もある。

時間制限を過ぎた場合、依頼人は報酬を減らす事が出来る。



「失敗しちゃったね。」


「・・・はい。」


うなだれる2人。


「甘く考えすぎていましたね。」


「そうだね、今度はもっと情報を手に入れて下準備をやってからにしよう!」






ガチャっと宿の戸を開けて、中に入る2人。

もう昼食が始まっている時間だ。



「ただいま・・・。」

ピョコっと食堂に顔を出したケイト。


「あら、ケイト。帰ってきたのね。」

ランランが1番に気がついた。


「おかえり~。」


「おかえり。」


「おかえりっ。」


食堂に居る皆が、一斉に席を立ち、ケイトの元へ駆け寄る。



「もう、心配したのよ!」

とレミ・ファ。


「あ、ありがとう。心配してくれて。」



「・・・で、なんで1人なの?アランは??」


「それが、その・・・なんか変な人に捕まっちゃって。」


「へ?変な人か?」


ロビーの方へ、ベガルが向かう。



「ユーのファッションセンス、とても奇抜だネー。

 それじゃ人気は出ないネー。ミーに少しでも追いつくには改善が必要ネー。」

ナルシストのミック・キャロメルがアランの前に居る。


「あの、すみません。私は、そういうの興味ありません。」


「いや、なんとかするべきだと思うネー。」



「おいおい、どうしたんだ?」

ベガルが2人に尋ねる。


「地味かもしれませんが、気に入っているんですよ。」


「どこが地味なんだネー!!」


ベガルに気が付かないアランとミック。


「おいっ!無視するな!!」



ケイトが食堂から出てきた。


「アラン。もうほっといて、早くご飯食べちゃおうよ!」



「こうなったら、ミーの鏡を特別に貸してあげるネー。」

鏡を差し出すミック。



一応鏡を覗き込んでみるアラン。


「・・・・・・あっ!!」

驚くアラン。


「何?どうしたのアラン!」

ケイトも鏡を覗き込んでみる。


「・・・・・・ああっ!!」


なんと、アランとケイトの歯が、蛍光オレンジ色になっていたのだ。


「ドラゴンフルーツ食べた時の!?」


「ですよね!」


「斬新なファッションだけど、それじゃタダの変な人ネー。

 ミーみたいに輝く白い歯が1番ネー。」

キラーンと歯を輝かせて笑うミック。



「とにかく、歯を磨いてこい。2人とも。」

ベガルが笑いをこらえながら言った。

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