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咆哮のグレーテル  作者: 胡桃ヌイ
★第二章 『魔女の家』――Kapitel 2:Das Hexenhaus――
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Ⅰ 『森の中の子ども達』

激しい衝突音が地面を揺らし、森の中に硝煙が立ち籠る。


「くっ……まだやれるか!?」

「ああ。ここだけは……『ホーム』だけは、絶対に守り通すぞ!」


小屋の裏手から年端のいかない子どもが数人。傷ついた身体に鞭を打ち、

今しがた粉砕された樹木を目指し、決死の覚悟で飛び出していく。

彼らが駆ける周辺の木々は、まるで重機にでも潰されたかのように粉々になっていた。


「エリク! ギーナを連れて〈次男〉を挟み込め!! ダニロは負傷者の介抱、ヒンツは

〈三男〉と交戦しているデニスの援護に向かってくれ! 俺は……〈長男〉をやる!!」


両手で『カタナ』と呼ばれる長剣を構え、リーダー格の少年が疾駆する。

交戦している相手は三人。頭数では圧倒的にこちらが有利だったものの、

厄介なのは屈強な肉壁と、木々すら砕く大力無双。同年代とは思えぬ力の差に、

仲間達は次々と地面に沈んでいた。


「これ以上、お前達に奪われてたまるかあぁああ!!」


正面に〈長男〉を捉え、少年の剣が空を切る。

まるで東洋の剣豪を想わせる、隙のない鮮やかな太刀筋だ。が、

何度目かの斬撃で、カタナは屈強な肉体に弾かれ、無残にも鉄くずと化して飛び散った。

少年はあまりの驚愕に目を見開いて動揺するも、瞬く間に折れたカタナで身構える。


「くっ……そおおおお!」

「ルディ!!」


そして刹那。仲間の声を遠くに、少年は屈折姿勢で吹き飛んだ。

周囲の草木を巻き込みながら数メートルほど宙を舞い、バウンドを繰り返したのち静止する。

一瞬、何が起こったのか理解に時間を要したが、やがて地べたに這いつくばる自身を見て、

〈長男〉の体当たりを喰らったのだと認識した。


少年は途切れる意識の果てに、〈長男〉を含む三人組が仲間を蹂躙し、

自分達の『ホーム』を破壊する姿を見とがめた。


「俺達の……俺達の『ホーム』が……」


暴虐の限りを尽くす三人組は、『被験体』にして『藁の家』をホームに生活する子ども達。

名をシュヴァイン三兄弟……またの名を〈三匹の子豚〉と呼んだ――

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