Ⅰ 『森の中の子ども達』
激しい衝突音が地面を揺らし、森の中に硝煙が立ち籠る。
「くっ……まだやれるか!?」
「ああ。ここだけは……『ホーム』だけは、絶対に守り通すぞ!」
小屋の裏手から年端のいかない子どもが数人。傷ついた身体に鞭を打ち、
今しがた粉砕された樹木を目指し、決死の覚悟で飛び出していく。
彼らが駆ける周辺の木々は、まるで重機にでも潰されたかのように粉々になっていた。
「エリク! ギーナを連れて〈次男〉を挟み込め!! ダニロは負傷者の介抱、ヒンツは
〈三男〉と交戦しているデニスの援護に向かってくれ! 俺は……〈長男〉をやる!!」
両手で『カタナ』と呼ばれる長剣を構え、リーダー格の少年が疾駆する。
交戦している相手は三人。頭数では圧倒的にこちらが有利だったものの、
厄介なのは屈強な肉壁と、木々すら砕く大力無双。同年代とは思えぬ力の差に、
仲間達は次々と地面に沈んでいた。
「これ以上、お前達に奪われてたまるかあぁああ!!」
正面に〈長男〉を捉え、少年の剣が空を切る。
まるで東洋の剣豪を想わせる、隙のない鮮やかな太刀筋だ。が、
何度目かの斬撃で、カタナは屈強な肉体に弾かれ、無残にも鉄くずと化して飛び散った。
少年はあまりの驚愕に目を見開いて動揺するも、瞬く間に折れたカタナで身構える。
「くっ……そおおおお!」
「ルディ!!」
そして刹那。仲間の声を遠くに、少年は屈折姿勢で吹き飛んだ。
周囲の草木を巻き込みながら数メートルほど宙を舞い、バウンドを繰り返したのち静止する。
一瞬、何が起こったのか理解に時間を要したが、やがて地べたに這いつくばる自身を見て、
〈長男〉の体当たりを喰らったのだと認識した。
少年は途切れる意識の果てに、〈長男〉を含む三人組が仲間を蹂躙し、
自分達の『ホーム』を破壊する姿を見とがめた。
「俺達の……俺達の『ホーム』が……」
暴虐の限りを尽くす三人組は、『被験体』にして『藁の家』をホームに生活する子ども達。
名をシュヴァイン三兄弟……またの名を〈三匹の子豚〉と呼んだ――




