道中の出会い
東方へ。
向かって。
三日。
景色は。
少しずつ。
変わっていた。
「……遠い」
セリアが。
言った。
「言っただろ」
「東方は」
「遠いって」
「レンに」
「言われたくない」
「何でだよ」
「最初」
「私が遠いって」
「言った時」
「東方だからって」
「答えになってないって」
「言ったでしょ」
「……言ったな」
「ほら」
完全に。
返ってきた。
隣で。
リーナが。
小さく。
笑っている。
「リーナ」
「何ですか?」
「今」
「笑っただろ」
「笑ってません」
「絶対」
「笑った」
「気のせいです」
最近。
リーナまで。
セリアに。
似てきた気がする。
「何?」
「いや」
「何でもない」
言ったら。
二人から。
何を言われるか。
分からない。
俺は。
前を向く。
街道が。
ずっと。
東へ。
伸びている。
故郷を。
出て。
三日。
まだ。
東方と。
呼ばれる地域には。
入っていない。
それでも。
旅人の姿は。
少しずつ。
増えていた。
馬車。
商人。
冒険者。
今までとは。
少し違う。
服を着た。
人間もいる。
「東方って」
セリアが。
前を見ながら。
言う。
「どんなところなんだろ」
「知らない」
「それは」
「知ってる」
「じゃあ」
「聞くなよ」
「予想くらい」
「あるでしょ?」
「古い文字を」
「調べてる奴が」
「いる」
「それ以外」
「……東にある」
「もういい」
セリアが。
呆れた。
「リーナは?」
「私ですか?」
「何か」
「知ってる?」
リーナが。
少し。
考える。
「本で」
「読んだことなら」
「あります」
「本?」
「はい」
「東方には」
「昔から残っている」
「遺跡が」
「多いそうです」
俺と。
セリアが。
同時に。
リーナを見る。
「それ」
「先に言ってくれよ」
「聞かれませんでしたので」
「いや」
「今回の目的に」
「めちゃくちゃ」
「関係あるだろ」
「そうですね」
「リーナ……」
少し。
楽しそうに。
見えるのは。
気のせいか。
「でも」
リーナが。
続ける。
「私が」
「読んだ本も」
「詳しいものでは」
「ありませんでした」
「古い遺跡が」
「多く残っている」
「それくらいです」
「十分だろ」
湖底で。
見つけた。
文字。
アルトの。
地下で。
見たものと。
似ていた。
そして。
東方には。
古い遺跡が。
多い。
偶然。
なのか。
それとも。
何か。
繋がっているのか。
まだ。
分からない。
でも。
少なくとも。
来た意味は。
ありそうだ。
「レンさん」
「ん?」
リーナが。
俺の。
少し先を見る。
「人が」
「います」
「……ほんとだ」
街道の。
脇。
何人か。
集まっている。
四人。
いや。
五人。
全員。
装備を。
身につけている。
冒険者。
みたいだ。
一人が。
地図を。
広げている。
「何してるんだろ」
セリアが。
言う。
「さあ」
近づく。
向こうも。
俺たちに。
気づいた。
「お」
地図を。
持っていた。
男が。
顔を上げる。
「旅人か?」
「まあ」
「そんな感じ」
俺が。
答える。
「東へ?」
「ああ」
「なら」
「ちょうどいい」
「……何が?」
男が。
苦笑する。
「この先の」
「道」
「知ってるか?」
「知らない」
「即答だな」
「初めて」
「来たから」
「なるほど」
男が。
地図を。
見せてくる。
街道。
その先で。
道が。
二つに。
分かれている。
「俺たちも」
「東へ向かってる」
「ただ」
「こっちの道が」
「通れるか」
「分からなくてな」
指を。
差す。
片方は。
大きく。
迂回する。
街道。
もう片方は。
森の近くを。
抜ける。
細い道。
「近道?」
セリアが。
聞く。
「ああ」
「ただ」
「最近」
「魔物が」
「増えてるらしい」
「魔物?」
俺は。
聞き返す。
「この辺りで?」
「ああ」
男が。
地図を。
畳む。
「とはいっても」
「大した奴じゃ」
「ないらしいけどな」
その時。
男の。
後ろから。
声がした。
「油断するな」
低い。
声。
見る。
大きい。
男だった。
背も。
高い。
身体も。
でかい。
そして。
何より。
目に入るのは。
背負っている。
盾。
「……でか」
思わず。
口から。
出た。
男が。
俺を見る。
「盾が?」
「ああ」
「よく言われる」
普通に。
返された。
セリアが。
盾を見る。
「それ」
「重くないの?」
「重い」
「重いんだ」
「盾だからな」
「そういうもの?」
「多分」
何だ。
こいつ。
少し。
変だ。
「ルーク」
地図を。
持っていた男が。
呼ぶ。
「怖がらせるなよ」
「何もしてない」
「お前が」
「その盾背負って」
「黙って立ってるだけで」
「十分怖いんだよ」
「……そうか?」
「そうだよ」
他の。
仲間たちも。
笑う。
ルーク。
というらしい。
本人だけ。
よく分かっていない。
顔をしている。
「俺は」
地図を。
持っていた男が。
言う。
「ダン」
「こいつが」
「ルーク」
「あと」
「ミナ」
「トッド」
「エリス」
順番に。
軽く。
手を上げる。
五人。
パーティ。
らしい。
「俺は」
「レン」
「セリア」
「リーナです」
俺たちも。
簡単に。
名乗る。
「三人か」
ダンが。
俺たちを見る。
「前衛は?」
「私」
セリアが。
手を上げる。
ダンが。
セリアの。
腰の剣を見る。
「剣士か」
「うん」
次に。
俺を見る。
「お前は?」
「……」
少し。
迷う。
「一応」
「剣も使う」
「一応?」
「他にも」
「ある」
「何だよ」
「それ」
説明が。
面倒だ。
神銃を。
見せる必要も。
ないだろう。
「まあ」
ダンが。
笑う。
「言いたくないなら」
「いいけどな」
あっさり。
引いた。
「それで」
俺は。
地図を見る。
「結局」
「どっちへ」
「行くんだ?」
「俺は」
「近道を」
「通りたい」
ダンが。
答える。
「でも」
「魔物が」
「増えてる」
「だから」
「話してた」
「そういうことか」
「ただ」
ルークが。
口を開く。
「日が落ちる前には」
「森を抜けたい」
「夜は」
「危険だ」
「分かってるって」
ダンが。
笑う。
「心配性だな」
「お前が」
「心配しなさすぎる」
「だから」
「ルークがいるんだろ?」
「……」
ルークが。
黙る。
「違う?」
ダンが。
聞く。
「……違わない」
「だろ?」
他の。
三人も。
笑った。
「ルークがいれば」
「大丈夫だよ」
ミナと。
呼ばれた。
女の子が。
言う。
「何か来ても」
「全部」
「止めてくれるし」
「全部は」
「無理だ」
「でも」
「この前」
「オーガの突進」
「止めたじゃん」
「あれは」
「止められると」
「思った」
「普通」
「思わないから」
また。
笑いが。
起きる。
ルークだけ。
少し。
困ったような。
顔をしていた。
でも。
嫌そうでは。
なかった。
仲が。
いいんだろう。
そう。
思った。
「なあ」
ダンが。
俺たちを見る。
「よかったら」
「途中まで」
「一緒に行かないか?」
「俺たちと?」
「ああ」
「向かう方向は」
「同じだろ?」
俺は。
セリアを見る。
セリアが。
肩を。
すくめる。
次に。
リーナ。
「私は」
「構いません」
「……じゃあ」
俺は。
答える。
「途中まで」
「頼む」
「決まりだな」
ダンが。
笑う。
「よろしく」
こうして。
東方へ。
向かう道で。
俺たちは。
五人の。
冒険者と。
一緒に。
歩くことになった。
その中に。
いた。
一人の。
大盾使い。
ルーク。
この時は。
ただ。
それだけだった。




