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転生したら最強ジョブだが最凶だった件 ~伝説の【神銃士】になったのに、一発も撃てない~  作者: 蝶野摩矢
東方編 ― 古代文字の導く先

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盾の後ろで

森へ。


入ってから。


しばらく。


俺たちは。


八人で。


細い道を。


歩いていた。


「……思ったより」


「普通の道だな」


俺が。


言う。


「だろ?」


ダンが。


振り返る。


「こっちなら」


「かなり」


「時間を短縮できる」


「本当に?」


セリアが。


聞いた。


「ああ」


「地図によればな」


「地図によれば?」


「……多分」


「怪しいな」


「大丈夫だって!」


ダンが。


笑う。


その後ろで。


ルークが。


小さく。


ため息をついた。


「ダン」


「何だ?」


「少し」


「速度を落とせ」


「何で?」


「道が狭くなってる」


「後ろが」


「離れる」


言われて。


振り返る。


確かに。


先頭のダンと。


最後尾のエリスでは。


少し。


距離が開いていた。


「おっと」


「悪い悪い」


ダンが。


歩く速度を。


落とす。


「相変わらず」


「細かいな」


「必要なことだ」


「はいはい」


そんな。


やり取りを。


聞きながら。


俺は。


ルークを見る。


大きな。


身体。


背中には。


巨大な盾。


あれだけの。


装備を。


背負っているのに。


足取りは。


安定していた。


「なあ」


俺は。


声をかける。


「ルーク」


「何だ?」


「その盾」


「ずっと」


「背負ってるのか?」


「ああ」


「疲れない?」


「疲れる」


「……だよな」


「だが」


ルークが。


続ける。


「必要な時に」


「持っていなければ」


「意味がない」


「……なるほど」


真面目だ。


かなり。


真面目な奴だ。


「ルークはね」


横から。


ミナが。


口を挟む。


「いつも」


「こんな感じなの」


「こんな感じ?」


「そう」


「ずっと」


「周りを見てる」


「私たちが」


「喋ってても」


「一人だけ」


「森の方を」


「見てたりするし」


「仕事だからな」


ルークが。


答える。


「仕事?」


「仲間を」


「守ることだ」


ミナが。


笑った。


「ほらね」


「こういう人」


「……」


俺は。


少し。


感心した。


自分の。


役割が。


はっきりしている。


俺は。


どうだろう。


剣を。


使う。


神銃を。


撃つ。


でも。


神銃は。


一発しか。


装填できない。


撃つべき時まで。


生き残る。


それが。


今の俺の。


戦い方だ。


ルークとは。


違う。


でも。


何となく。


気になる。


男だった。


◇


さらに。


森を。


進む。


木々が。


増えてきた。


日差しが。


枝葉に。


遮られる。


少し。


薄暗い。


「……静かだね」


セリアが。


呟いた。


「ああ」


鳥の。


声は。


聞こえる。


風で。


葉が揺れる。


音も。


する。


でも。


それ以外は。


ほとんど。


何もない。


その時。


「止まれ」


ルークが。


言った。


低い。


声。


それだけで。


ダンたちの。


足が。


止まった。


「……何?」


ミナが。


小さく。


聞く。


ルークは。


答えない。


代わりに。


盾を。


背中から。


外した。


――ガコン。


大きな。


盾が。


地面へ。


下ろされる。


「ルーク?」


俺が。


聞く。


「何か」


「いる」


「魔物?」


「ああ」


ルークが。


前方を。


見ていた。


「数は」


「まだ分からない」


「ただ」


「一体じゃない」


ダンが。


剣を。


抜く。


「分かった」


「全員」


「準備しろ」


ミナが。


後方へ。


下がる。


トッドが。


武器を。


構える。


エリスも。


杖を。


握った。


セリアが。


俺を見る。


「レン」


「ああ」


俺も。


腰の。


剣を抜く。


リーナは。


少し。


後ろへ。


下がった。


その瞬間。


――ガサッ。


茂みが。


揺れた。


飛び出してきたのは。


狼に。


似た。


魔物。


ただし。


普通の。


狼より。


一回り。


大きい。


背中には。


硬そうな。


突起。


牙も。


長い。


「森牙狼か」


ダンが。


言った。


「知ってるのか?」


「ああ」


「この辺りじゃ」


「珍しくない」


「ただ」


ルークが。


続ける。


「群れで動く」


一体。


二体。


三体。


さらに。


茂みの。


奥。


「……六体」


ルークが。


呟いた。


「いや」


「七体だ」


「結構いるな」


俺が。


言う。


「問題ない」


ダンが。


笑った。


「いつもどおりだ」


「ルーク!」


「ああ」


二人の。


やり取りは。


短かった。


でも。


それだけで。


ダンたちが。


動き始めた。


◇


最初の。


一体が。


飛びかかる。


狙いは。


ダン。


「右」


ルークが。


言った。


ダンが。


迷わず。


右へ。


動く。


その瞬間。


――ガンッ!


ルークの。


盾が。


魔物の。


身体を。


受けた。


いや。


違う。


真正面から。


止めたわけじゃない。


盾を。


少し。


傾けていた。


魔物の。


突進が。


横へ。


流れる。


「ダン」


「おう!」


――ザシュッ!


体勢を。


崩した。


魔物を。


ダンが。


斬り伏せる。


一瞬。


だった。


「……おお」


思わず。


声が出た。


「感心してる場合?」


セリアが。


言う。


「来るよ!」


別の。


魔物が。


俺たちへ。


飛びかかる。


「分かってる!」


俺は。


剣を。


構えた。


――ギンッ!


牙を。


受ける。


重い。


でも。


剣は。


びくともしない。


アルトで。


作ってもらった。


俺の剣。


衝撃を。


受けても。


刃が。


欠ける気配は。


ない。


「よし!」


力を。


横へ。


逃がす。


魔物が。


地面へ。


着地した。


その瞬間。


セリアが。


踏み込む。


――ザンッ!


黒い。


剣が。


魔物を。


斬り裂いた。


「一体!」


セリアが。


言う。


「こっちも!」


ダンが。


返す。


だが。


魔物は。


まだ。


残っている。


一体が。


木の。


陰へ。


回り込んだ。


狙いは。


後方。


リーナたち。


「まずい!」


俺が。


動こうとした。


その時。


「レン」


ルークの。


声。


「左へ」


「え?」


「左だ!」


反射的に。


動く。


すると。


――ドンッ!


ルークが。


盾を。


地面へ。


突き立てた。


回り込んだ。


魔物が。


盾へ。


突っ込む。


だが。


ルークは。


真正面から。


受け止めない。


盾の。


角度を。


変える。


魔物の。


身体が。


横へ。


流れた。


俺の。


目の前。


「……なるほど!」


剣を。


振る。


――ザシュッ!


魔物が。


倒れる。


「助かった!」


「次が来る」


「休ませてくれよ!」


「後で休め」


「厳しいな!」


だが。


その指示は。


正しかった。


次の。


魔物が。


すでに。


迫っていた。


◇


戦闘は。


続いた。


「ミナ」


「下がれ」


「分かった!」


「トッド」


「前に出すぎるな」


「おう!」


「エリス」


「右側を」


「頼む」


「任せて!」


ルークの。


声が。


響く。


大きくは。


ない。


怒鳴っても。


いない。


それでも。


全員が。


動く。


魔物が。


ダンへ。


飛びかかれば。


盾で。


進路を。


変える。


トッドが。


囲まれそうになれば。


自分が。


一歩。


前へ出る。


ミナが。


狙われれば。


盾を。


割り込ませる。


そのたびに。


誰かが。


攻撃する。


ダン。


トッド。


セリア。


そして。


俺。


「……すごいな」


思わず。


呟いた。


ルークは。


ただ。


攻撃を。


受けているわけじゃない。


敵の。


動きを。


変えている。


仲間が。


戦いやすい。


場所へ。


魔物を。


誘導している。


盾で。


守る。


それだけじゃない。


味方の。


位置。


敵の。


数。


攻撃の。


方向。


全部を。


見ている。


「レン!」


ルークが。


呼ぶ。


「今度は」


「何だ!?」


「前の二体」


「セリアに任せろ」


「え?」


見る。


セリアが。


二体の。


魔物と。


向き合っていた。


だが。


ルークは。


落ち着いている。


「お前は」


「後ろを見ろ」


「……!」


振り返る。


リーナへ。


近づく。


最後の。


一体。


「くそっ!」


走る。


魔物が。


飛びかかった。


「リーナ!」


「はい!」


リーナが。


身を。


引く。


俺は。


その前へ。


割り込んだ。


――ギンッ!


剣で。


牙を。


受ける。


そして。


踏み込む。


――ザシュッ!


魔物が。


倒れた。


「……ふう」


息を。


吐く。


前を見る。


――ザンッ!


セリアが。


最後の。


一体を。


斬り伏せていた。


「終わり!」


「……みたいだな」


周囲を。


確認する。


七体。


すべて。


倒れていた。


「全員」


「無事か?」


ルークが。


聞く。


「問題なし!」


ダンが。


答える。


「こっちも!」


ミナ。


トッド。


エリス。


セリア。


リーナ。


俺も。


頷く。


誰も。


怪我を。


していない。


ルークが。


ようやく。


盾を。


下ろした。


◇


「いやあ!」


ダンが。


笑いながら。


近づいてくる。


「なかなか」


「いい連携だったな!」


「そうだな」


俺が。


答える。


「初めて」


「一緒に戦ったとは」


「思えなかった」


「だろ?」


ダンが。


得意げに。


笑う。


「うちの」


「ルークは」


「すごいんだぞ」


「お前が」


「自慢することか?」


ルークが。


言う。


「いいだろ」


「仲間なんだから」


「……」


ルークは。


何も。


言わなかった。


でも。


少し。


困ったように。


見えた。


「本当に」


「すごかったよ」


セリアが。


言う。


ルークが。


顔を。


向ける。


「何が?」


「盾の使い方」


「ただ」


「受け止めるだけじゃ」


「ないんだね」


「ああ」


ルークが。


頷く。


「全部を」


「受ける必要はない」


「避けられる攻撃は」


「避ければいい」


「流せるなら」


「流す」


「その方が」


「仲間も」


「動きやすい」


「なるほどね」


セリアが。


自分の。


黒い剣を。


見る。


「確かに」


「攻撃しやすかった」


「お前の剣も」


ルークが。


言う。


「いい動きだった」


「本当?」


「ああ」


「踏み込みが速い」


「それに」


「無駄が少ない」


「へえ」


セリアが。


嬉しそうに。


笑う。


「分かるんだ」


「見ていればな」


「……」


俺は。


二人を。


見ていた。


ルーク。


こいつ。


思った以上に。


周りを。


見ている。


「なあ」


俺は。


聞いた。


「ルーク」


「何だ?」


「お前」


「いつも」


「あんな感じなのか?」


「あんな感じ?」


「戦いながら」


「全員の動きを」


「見てるだろ」


「……ああ」


「疲れない?」


「疲れる」


「またそれか」


「事実だからな」


ダンが。


笑った。


「こいつ」


「昔から」


「こうなんだよ」


「俺たちが」


「好き勝手に」


「動いても」


「全部」


「見てくれてる」


「全部ではない」


ルークが。


訂正する。


「見落とすことも」


「ある」


「でも」


ミナが。


言う。


「ルークが」


「いるから」


「安心して」


「戦えるんだよ」


「そうそう」


トッドも。


頷いた。


「俺なんか」


「何回」


「助けられたか」


「数え切れないぞ」


「それは」


「前に出すぎるからだ」


「うっ」


「ほら!」


エリスが。


笑う。


「また」


「怒られてる!」


みんなが。


笑った。


ルークも。


少しだけ。


口元を。


緩める。


その顔を。


見て。


俺は。


思った。


こいつら。


本当に。


仲がいいんだな。


何度も。


一緒に。


戦ってきた。


そういう。


空気が。


ある。


「でもさ」


ダンが。


ルークの。


肩を。


叩いた。


「俺たちが」


「安心して」


「戦えるのは」


「お前の」


「おかげだぞ」


「……違う」


ルークが。


首を。


振る。


「俺だけじゃ」


「何もできない」


「皆が」


「動いてくれるから」


「守れる」


「……」


「俺が」


「どれだけ」


「指示しても」


「誰も」


「動かなければ」


「意味がない」


ダンが。


一瞬。


黙る。


それから。


笑った。


「だから」


「俺たちは」


「お前を」


「信じてるんだよ」


「……そうか」


「ああ!」


ルークは。


少し。


照れたように。


視線を。


逸らした。


◇


倒した。


魔物の。


確認を。


終える。


ダンたちは。


慣れた。


手つきで。


素材を。


回収していた。


「そういえば」


ダンが。


俺を見る。


「レンたちも」


「結構」


「やるんだな」


「まあ」


「それなりには」


「それなり?」


ダンが。


笑う。


「セリアの」


「剣なんて」


「かなり」


「速かったぞ」


「ありがとう」


セリアが。


答える。


「それに」


ダンが。


俺の。


剣を見る。


「お前の剣も」


「変わってるな」


「そうか?」


「ああ」


「普通なら」


「牙を受けた時に」


「もう少し」


「刃が傷む」


「そういう」


「剣だからな」


「へえ」


ダンが。


興味深そうに。


見る。


「どこで」


「手に入れたんだ?」


「アルト」


「アルト!?」


「知ってるのか?」


「そりゃ」


「有名だろ!」


「鍛冶の街だぞ!」


「まあな」


セリアが。


横から。


笑う。


「私のも」


「アルトで」


「作ってもらったんだよ」


「何!?」


ダンが。


セリアの。


黒い剣を見る。


「お前ら」


「結構」


「いい装備」


「持ってるんだな」


「頑張って」


「手に入れたからな」


俺が。


言う。


地竜。


あの。


戦いを。


思い出す。


簡単に。


手に入れた。


ものじゃない。


「……なるほどな」


ダンが。


頷く。


「まあ」


「詳しい話は」


「後で聞かせてくれ」


「長いぞ?」


「旅は」


「長いからな!」


相変わらず。


明るい奴だ。


◇


それから。


しばらく。


森を。


歩いた。


途中。


何度か。


物音が。


聞こえた。


でも。


魔物が。


襲ってくることは。


なかった。


やがて。


木々の。


間から。


明るい。


光が。


見えてきた。


「……出口?」


セリアが。


言う。


「ああ」


ルークが。


答える。


「もうすぐ」


「森を抜ける」


「やった!」


ミナが。


声を。


上げた。


「ほらな!」


ダンが。


笑う。


「大したこと」


「なかっただろ?」


「魔物は」


「出ただろ」


ルークが。


返す。


「でも」


「全員」


「無事だった」


「それは」


「そうだが」


「心配しすぎなんだよ」


ダンが。


ルークの。


背中を。


軽く。


叩いた。


「結果」


「よければ」


「全部よし!」


「……」


ルークは。


少し。


考えた。


それから。


「何も」


「起きなかったなら」


「それでいい」


静かに。


言った。


「……」


俺は。


ルークを見る。


何だか。


妙に。


印象に。


残る言葉だった。


◇


森を。


抜ける。


目の前には。


再び。


街道が。


広がっていた。


遠くには。


小さな。


集落も。


見える。


「よし!」


ダンが。


伸びをする。


「今日は」


「あそこで」


「休むか!」


「賛成!」


ミナが。


答える。


「俺も」


トッドが。


頷く。


エリスも。


嬉しそうだった。


「レンたちは?」


ダンが。


聞いてくる。


「俺たち?」


「ああ」


「このまま」


「東へ行くんだろ?」


「そうだけど」


「なら」


ダンが。


笑った。


「もう少し」


「一緒に」


「行かないか?」


「……」


俺は。


セリアを見る。


セリアは。


特に。


嫌そうでは。


なかった。


リーナも。


小さく。


頷く。


「まあ」


「いいんじゃないか」


俺が。


答える。


「やった!」


ダンが。


笑う。


「人数が」


「多い方が」


「旅も」


「楽しいしな!」


「お前は」


「そればっかりだな」


ルークが。


呟く。


「いいだろ!」


「楽しい方が!」


「……そうだな」


ルークが。


頷いた。


少しだけ。


笑っていた。


俺は。


その様子を。


見ながら。


思う。


最初は。


ただ。


大きな盾を。


背負った。


無口な男だと。


思っていた。


でも。


違った。


ルークは。


仲間を。


守るために。


ずっと。


周りを。


見ている。


そして。


ダンたちは。


そんな。


ルークを。


信じている。


いい。


パーティだ。


素直に。


そう思った。


「レン!」


ダンが。


呼ぶ。


「早く行こうぜ!」


「ああ!」


俺は。


歩き出す。


セリア。


リーナ。


そして。


新しく。


出会った。


五人の。


冒険者。


八人の。


足音が。


街道へ。


響いていた。


東方までは。


まだ。


遠い。


でも。


少なくとも。


今日の。


道のりは。


少しだけ。


賑やかになっていた。



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