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転生したら最強ジョブだが最凶だった件 ~伝説の【神銃士】になったのに、一発も撃てない~  作者: 蝶野摩矢
湖に眠る記憶編

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湖底に眠るもの

冷たい。


水。


身体が。


沈んでいく。


息が。


できない。


苦しい。


どっちが。


上だ?


分からない。


暗い。


何も。


見えない。


ただ。


青白い。


光だけが。


遠くに。


見える。


――ゴウン。


また。


あの音。


神銃が。


光っている。


手には。


何かを。


掴んでいる。


離すな。


そう思った。


でも。


力が。


入らない。


意識が。


遠くなる。


そして――


◇


「……っ!」


目を。


開けた。


「はっ……!」


息を。


吸う。


空気が。


肺へ。


入ってくる。


「……?」


もう一度。


息を吸う。


できる。


普通に。


呼吸できる。


「なん……」


身体を。


起こす。


頭が。


痛い。


身体も。


重い。


服は。


濡れている。


髪から。


水が。


落ちた。


「……ここ」


どこだ?


周囲は。


暗い。


でも。


完全な。


闇じゃない。


青白い。


光。


どこからか。


漏れている。


その光に。


照らされて。


地面が。


見えた。


石。


いや。


違う。


「……石畳?」


手を。


つく。


確かに。


石畳だ。


古い。


ところどころ。


割れている。


苔のようなものも。


生えている。


でも。


ここは。


湖の。


底のはずだ。


「……セリア?」


返事は。


ない。


「リーナ!」


身体を。


起こす。


足元が。


ふらつく。


周囲を。


見る。


「セリア!」


少し。


離れた場所。


何かが。


倒れている。


「……!」


走る。


「セリア!」


地面に。


倒れていた。


「おい!」


肩を。


掴む。


「セリア!」


「……ん」


動いた。


「セリア!」


「……うるさい」


「……」


「起きてるなら」


「返事しろよ!」


「今」


「起きたの……」


セリアが。


ゆっくり。


目を開ける。


「……レン?」


「ああ」


「大丈夫か?」


「……多分」


身体を。


起こす。


その瞬間。


「げほっ!」


「おい!」


「大丈夫……」


セリアが。


咳をする。


何度か。


息をして。


ようやく。


落ち着いた。


「……何」


「ここ」


「分からない」


「湖は?」


「それも」


「分からない」


セリアが。


周囲を見る。


そして。


「リーナは?」


「まだ」


「見つけてない」


二人で。


立ち上がる。


「リーナ!」


「リーナ!」


声が。


響く。


思ったより。


広い。


「……レン」


「何?」


「あそこ」


セリアが。


指を差した。


崩れた。


石壁。


その向こう。


白い。


何かが。


見える。


「リーナ!」


走る。


倒れている。


「リーナ!」


身体を。


抱き起こす。


「おい!」


「リーナ!」


「……」


反応が。


ない。


「リーナ!」


「……ん」


小さな。


声。


「……レン」


「大丈夫か?」


ゆっくり。


目が。


開く。


「レン……さん?」


「ああ」


「よかった」


リーナが。


何度か。


瞬きをする。


「……ここは?」


「俺たちも」


「今」


「起きたところ」


セリアが。


横へ。


しゃがむ。


「身体」


「痛いところない?」


「……大丈夫です」


リーナが。


ゆっくり。


身体を。


起こす。


服は。


俺たちと。


同じように。


濡れている。


でも。


怪我は。


なさそうだ。


「舟は?」


セリアが。


聞いた。


「……ない」


周囲を。


見る。


舟どころか。


木片すら。


見当たらない。


「じゃあ」


セリアが。


少し。


間を置く。


「ここ」


「どこ?」


「だから」


「分からないって」


「でも」


「私たち」


「湖に」


「落ちたよね?」


「ああ」


「それで」


「沈んで……」


リーナが。


言葉を。


止める。


三人で。


顔を。


見合わせる。


そうだ。


沈んだ。


巨大な。


渦に。


巻き込まれた。


湖の。


中央。


そのまま。


水の中へ。


引きずり込まれた。


なのに。


「……水」


セリアが。


呟く。


「ないね」


「ないな」


地面は。


濡れている。


俺たちも。


濡れている。


でも。


水の中じゃない。


普通に。


息ができる。


「地下……?」


リーナが。


周囲を見る。


「湖の下に」


「空洞が」


「あったんでしょうか」


「分からない」


俺も。


見回す。


青白い。


光。


古い。


石畳。


崩れた。


壁。


その向こうにも。


何か。


続いている。


「とりあえず」


俺は。


立ち上がる。


「周りを――」


その時。


セリアが。


俺の。


袖を掴んだ。


「レン」


「何?」


「……上」


「上?」


セリアが。


指を差す。


俺も。


見る。


そして。


言葉が。


止まった。


「……は?」


頭上。


そこに。


あった。


水。


大量の。


水。


暗い。


湖の水が。


俺たちの。


遥か上を。


覆っている。


「……何」


「これ」


セリアが。


呟く。


俺も。


分からない。


水が。


ある。


間違いなく。


ある。


でも。


落ちてこない。


俺たちの。


周囲だけ。


巨大な。


何かに。


押し退けられたように。


水が。


避けている。


「……壁?」


セリアが。


手を。


伸ばす。


「触るな」


「触らないよ!」


「今」


「触ろうとしただろ」


「見てただけ!」


「レンさん」


リーナが。


上を。


見たまま。


呟く。


「これ……」


「丸く」


「なっています」


「丸く?」


俺も。


目を凝らす。


青白い。


光。


その向こう。


水と。


空間の。


境目。


確かに。


曲がっている。


俺たちを。


中心に。


しているわけじゃない。


もっと。


広い。


巨大な。


半球。


その内側だけ。


水が。


ない。


「……嘘だろ」


どれくらい。


広い?


少なくとも。


数十歩。


そんな。


程度じゃない。


遠くまで。


続いている。


「湖の中に」


セリアが。


呟く。


「空気が」


「あるってこと?」


「多分」


「どうやって?」


「俺に」


「聞くなよ」


「だって」


「レンの神器が」


「光ってたじゃん」


「……」


そうだ。


神銃。


「神銃は?」


リーナが。


聞く。


見る。


ない。


さっきまで。


消せなかった。


神器。


今は。


どこにも。


ない。


手を。


前へ。


伸ばす。


意識する。


「……来い」


青白い。


光。


空間が。


揺れる。


次の瞬間。


ずしりとした。


重さ。


「出た」


神銃。


いつも通り。


召喚できる。


表面の。


古い文字。


でも。


今は。


光っていない。


「普通に」


「戻ってますね」


「ああ」


解除を。


意識する。


神銃が。


光へ変わる。


消えた。


「……さっきだけ」


「おかしかったのか」


誰も。


答えられない。


◇


俺たちは。


周囲を。


調べ始めた。


そこで。


ようやく。


気づいた。


最初は。


ただの。


石壁だと。


思っていた。


でも。


違う。


「……これ」


セリアが。


触れる。


「家?」


崩れている。


半分以上。


形を。


失っている。


でも。


分かる。


壁。


窓。


扉が。


あったような。


跡。


「こっちにも」


リーナが。


呼ぶ。


行く。


そこにも。


ある。


建物。


いや。


建物だったもの。


さらに。


その向こう。


石畳が。


続いている。


道だ。


「……街?」


セリアが。


言った。


その言葉が。


妙に。


響いた。


俺は。


周囲を見る。


崩れた。


建物。


石畳。


倒れた。


柱。


遠く。


青白い。


光の。


向こうにも。


何かが。


ある。


「これ」


「もしかして……」


言葉が。


出ない。


リーナが。


ゆっくり。


言った。


「湖が」


「できる前の……」


「街?」


誰も。


すぐには。


答えられなかった。


でも。


他に。


思いつかない。


王都で。


見た。


古い地図。


湖が。


なかった時代。


そこには。


平地があった。


そして。


街があった。


役所で。


見つけた。


湖が。


できた頃の。


記録。


『夜』


『大地』


『光』


『湖』


その。


湖の。


底。


今。


俺たちは。


そこにいる。


「……待てよ」


俺は。


石畳を。


見る。


「じゃあ」


「ここ」


セリアが。


俺を見る。


「うん」


「昔は」


「地上だったって」


「ことだよね」


「多分」


二百年以上。


前。


ここには。


水なんて。


なかった。


人が。


歩いて。


建物が。


並んで。


街が。


あった。


その場所が。


今は。


巨大な。


湖の。


底。


「何が」


「あったんだよ」


思わず。


口から。


出た。


こんな。


地形になるほどの。


何か。


それが。


二百年以上。


前。


この場所で。


起きた。


そして。


その時代の。


記録だけが。


不自然に。


消えている。


「レンさん」


リーナが。


呼ぶ。


「これ」


「何?」


近づく。


リーナが。


見ている。


石壁。


表面に。


何かが。


刻まれている。


古い。


文字。


読めない。


アルトの。


地下で。


見たものと。


少し。


似ている。


でも。


同じかどうかは。


分からない。


「読める?」


セリアが。


聞く。


「無理」


「リーナは?」


「……分かりません」


リーナが。


指先を。


近づける。


触れる。


でも。


何も。


起きない。


「何か」


「感じるか?」


俺が。


聞く。


リーナは。


そのまま。


壁に。


触れていた。


少し。


目を閉じる。


「……いえ」


「何も」


「感じません」


「そうか」


ただの。


文字なのか。


それとも。


今の俺たちには。


分からないだけなのか。


「進もう」


俺は。


言った。


「どこに?」


セリアが。


聞く。


「……奥」


「理由は?」


「何か」


「ありそうだから」


「また」


「それ?」


「じゃあ」


「他に」


「どこ行くんだよ」


「戻る?」


「戻り方」


「分かるのか?」


「……分かんない」


「だろ」


セリアが。


ため息を。


つく。


「結局」


「進むしか」


「ないんじゃん」


「最初から」


「そう言ってる」


「言ってないよ」


「言ったような」


「気がする」


「言ってません」


リーナが。


静かに。


入ってきた。


「……」


「ほら」


セリアが。


勝ち誇る。


「なんで」


「お前が」


「得意げなんだよ」


「勝ったから」


「何にだよ」


リーナが。


少しだけ。


笑った。


こんな。


場所でも。


その笑い声を。


聞くと。


少しだけ。


いつも通りに。


戻れる。


◇


石畳を。


進む。


建物は。


どれも。


崩れている。


長い。


時間が。


経っている。


それだけじゃ。


ない。


「……これ」


俺は。


足を。


止めた。


壁。


いや。


建物の。


残骸。


その一部が。


大きく。


抉れている。


最初は。


崩れただけだと。


思った。


でも。


違う。


「どうしたの?」


セリアが。


近づく。


「ここ」


指を。


差す。


壁。


大きな。


穴。


その向こう。


さらに。


奥の壁にも。


穴。


その。


さらに。


向こう。


倒れた。


柱にも。


同じ方向に。


傷が。


続いている。


「……一直線」


リーナが。


呟く。


「ああ」


何かが。


ここを。


通った。


一つの。


建物だけじゃない。


何枚もの。


壁を。


まとめて。


貫いている。


俺は。


穴の。


近くへ。


行く。


石が。


溶けたように。


変色している。


表面。


そこに。


微かに。


残っている。


黒い。


跡。


「火?」


セリアが。


聞く。


「分からない」


でも。


胸の。


奥が。


妙に。


ざわつく。


見たことが。


ある。


全く。


同じじゃない。


規模も。


違う。


でも。


知っている。


何かが。


高速で。


撃ち抜いた。


その。


跡。


俺は。


穴の。


向こうを見る。


一直線。


遥か。


先まで。


続いている。


「……レンさん?」


リーナが。


俺を見る。


「どうしました?」


「これ」


俺は。


壁へ。


手を。


触れる。


冷たい。


石。


二百年以上。


前。


ここは。


地上だった。


そして。


この時代。


この周辺には。


前の。


神銃士が。


いた可能性がある。


北方戦役。


消えた。


記録。


突然。


現れた。


湖。


俺は。


もう一度。


壁に。


残った。


巨大な。


穴を見る。


「……まさか」


「何?」


セリアが。


聞く。


答える前に。


右手が。


熱くなった。


「……っ」


「レンさん?」


この感覚。


さっきと。


同じ。


俺は。


反射的に。


手を。


前へ出す。


青白い。


光。


空間が。


揺れる。


――神銃。


召喚した。


その瞬間。


――……ン。


神銃の。


表面。


古い文字が。


一つ。


また。


一つ。


青白く。


光り始めた。


「また……」


セリアが。


呟く。


俺は。


何も。


していない。


なのに。


神器は。


反応している。


そして。


今度は。


分かった。


湖の。


中央で。


感じたものとは。


少し。


違う。


下じゃない。


前。


崩れた。


街の。


さらに。


奥。


そこから。


呼ばれている。


神銃が。


何かを。


知っている。


俺は。


壁に残った。


巨大な。


痕跡を見る。


そして。


手の中の。


神銃を見る。


「……これ」


もう一度。


穴を見る。


その形。


その。


一直線に。


貫かれた。


跡。


「神銃の……?」


誰も。


答えなかった。


ただ。


神銃だけが。


青白い。


光を。


放ち続けていた。



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