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転生したら最強ジョブだが最凶だった件 ~伝説の【神銃士】になったのに、一発も撃てない~  作者: 蝶野摩矢
湖に眠る記憶編

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故郷への道

翌朝。


俺たちは。


アルトの。


門の前に。


立っていた。


「……行くか」


振り返る。


鍛冶の街。


アルト。


ここへ。


来た時とは。


随分。


変わった。


俺の腰には。


新しい剣。


セリアの腰には。


地竜から作られた。


黒い剣。


防具にも。


地竜の甲殻が。


使われている。


リーナも。


調律を。


取り戻した。


それどころか。


前より。


もっと深く。


武器の流れを。


感じられるように。


なっている。


「なんか」


セリアが。


街を見ながら。


言った。


「結構」


「長くいた気がする」


「実際」


「それなりに」


「いたからな」


「いろいろ」


「ありましたから」


リーナが。


小さく笑う。


本当に。


いろいろあった。


剣を。


作るだけの。


つもりだった。


それが。


ダンジョンへ。


潜って。


地竜と。


戦って。


リーナが。


調律を失って。


そして。


取り戻した。


その奥では。


古い。


遺跡まで。


見つけた。


「結局」


俺は。


街の向こう。


遠くに見える。


山を見る。


「あの地下」


「何だったんだろうな」


セリアが。


同じ方向を見る。


「分かんない」


「変な場所だったよね」


「……はい」


リーナが。


少し。


考える。


「あの文字も」


「光も」


「まだ」


「分からないことばかりです」


「また」


「行きたいか?」


聞くと。


リーナは。


少しだけ。


驚いた。


それから。


頷く。


「いつか」


「もっと」


「分かるようになったら」


「行ってみたいです」


「そっか」


俺も。


もう一度。


山を見る。


――ゴウン。


あの。


低い音。


今でも。


覚えている。


俺たちが。


辿り着けなかった。


さらに奥。


あそこには。


まだ。


何かがある。


でも。


今は。


行けない。


だったら。


進むしかない。


「行こう」


「うん」


「はい」


俺たちは。


アルトを。


後にした。


◇


アルトを出て。


半日。


街道を。


歩いていた。


「で」


セリアが。


聞いてくる。


「結局」


「どこ行くの?」


「まだ」


「決めてない」


「昨日」


「次行くって」


「言ったじゃん」


「行くとは」


「言ったけど」


「行き先まで」


「決めたとは」


「言ってない」


「適当だなあ」


「昨日」


「旅なんだから」


「そんなもんだって」


「言ったの」


「お前だろ」


「そうだっけ?」


「言ってました」


リーナが。


答える。


「リーナ!」


「そこは」


「覚えてなくていいの!」


「……すみません」


謝りながら。


笑っている。


俺も。


少し。


笑った。


こうして。


三人で。


歩いていると。


アルトの。


地下で。


地竜と。


戦っていたのが。


随分。


前のことみたいに。


感じる。


でも。


身体には。


まだ。


少し。


疲れが残っている。


無理は。


しない方がいい。


次の目的地も。


急いで。


決める必要は。


ないだろう。


「……その前に」


俺は。


言った。


「一回」


「帰らないか?」


「え?」


セリアが。


俺を見る。


「帰るって」


「故郷?」


「ああ」


セリアが。


少しだけ。


目を丸くする。


「レンから」


「帰ろうって」


「言うんだ」


「なんだよ」


「いや」


「別に」


「珍しいなって」


「俺だって」


「帰る時くらいある」


それに。


理由もある。


ガルドから。


借りた剣。


新しい剣を。


手に入れた以上。


いつまでも。


借りたままに。


しておくわけには。


いかない。


今は。


荷物と一緒に。


持っている。


あの剣が。


なかったら。


俺は。


ここまで。


来られなかった。


ちゃんと。


自分の手で。


返したい。


それと。


もう一つ。


「確認したいこともある」


「確認?」


セリアが。


首を傾げる。


「湖だよ」


「……湖?」


「ああ」


故郷の。


すぐそばにある。


巨大な湖。


俺と。


セリアが。


子供の頃から。


何度も。


見てきた。


そこに。


あるのが。


当たり前だった。


湖。


「王都で」


「古い地図を」


「見つけたんだ」


「古い地図?」


「ああ」


「前の神銃士について」


「リーナと」


「調べてた時に」


セリアが。


リーナを見る。


「そうなの?」


「はい」


リーナが。


頷く。


「かなり」


「古い地図でした」


「それが」


「どうしたの?」


俺は。


少し。


間を置く。


「あの湖が」


「なかった」


「……え?」


セリアの。


足が。


止まった。


「なかったって」


「どういうこと?」


「そのままだよ」


「今」


「湖がある場所に」


「湖がなかった」


「……」


セリアが。


黙る。


俺も。


王都で。


あの地図を。


見た時。


すぐには。


信じられなかった。


「本当に?」


「ああ」


「今の地図とも」


「比べた」


「山も」


「川も」


「位置が合ってた」


「だから」


「場所は」


「ほぼ間違いない」


セリアが。


少し。


考える。


「じゃあ」


「あの湖って」


「後から」


「できたってこと?」


「多分な」


「いつ?」


「分からない」


「どうやって?」


「それも」


「分からない」


「……何も」


「分かってないじゃん」


「だから」


「調べるんだよ」


「それだけじゃ」


「ありません」


リーナが。


続ける。


「その周辺では」


「前の神銃士が」


「戦っていた可能性が」


「あります」


セリアの。


表情が。


変わった。


「前の」


「神銃士?」


「ああ」


消えた。


北方戦役の記録。


前任の。


神銃士。


そして。


地図にはなかった。


巨大な湖。


まだ。


全部が。


繋がっているとは。


限らない。


偶然かも。


しれない。


でも。


「一回」


「ちゃんと」


「調べてみたい」


セリアが。


しばらく。


何も言わない。


それから。


湖があるはずの。


方角を見る。


もちろん。


ここからじゃ。


見えない。


それでも。


その先を。


見ている。


「……変な感じ」


「何が?」


「だって」


セリアが。


言う。


「あの湖」


「ずっと」


「あるものだと」


「思ってた」


「俺もだよ」


俺と。


同じ街で。


育った。


生まれた時から。


そこにあった。


湖。


だから。


いつ。


できたのかなんて。


考えたことも。


なかった。


「分かった」


セリアが。


俺を見る。


「私も」


「調べる」


「ああ」


これで。


帰る理由が。


もう一つ。


増えた。


「リーナは?」


俺が。


聞く。


「故郷に」


「寄ってもいいか?」


「もちろんです」


リーナは。


すぐに。


頷いた。


「私も」


「見てみたいです」


「湖を?」


「それも」


「ありますけど」


少し。


間を置く。


「レンさんと」


「セリアさんが」


「育った街」


「……」


そう言われると。


なんだか。


少し。


恥ずかしい。


「本当に」


「普通の街だぞ」


「それでも」


リーナが。


少しだけ。


笑う。


「見てみたいです」


「レンさんと」


「セリアさんが」


「育った場所」


「じゃあ」


セリアが。


嬉しそうに。


リーナを見る。


「私が」


「案内してあげる」


「なんで」


「お前だけなんだよ」


「いいでしょ」


「レンより」


「私の方が」


「詳しいかもしれないし」


「同じ街で」


「育っただろ」


「だから」


「勝負ね」


「何の勝負だよ」


リーナが。


小さく。


笑った。


そんな。


話を。


していた時だった。


――ガサッ。


「……ん?」


街道の。


横。


森の中。


何かが。


動いた。


俺たち。


三人の。


足が。


止まる。


「魔物?」


セリアの。


手が。


腰へ。


伸びる。


俺も。


同じ。


リーナが。


一歩。


後ろへ。


下がった。


――ガサガサッ!


一体。


飛び出してくる。


四本脚。


低い身体。


背中から。


肩にかけて。


硬そうな。


外皮。


その後ろから。


もう一体。


さらに。


もう一体。


「三……」


リーナが。


周囲を見る。


「いえ」


「五体です」


森の。


奥。


さらに。


二つ。


気配。


「ちょうどいいな」


俺は。


腰へ。


手を伸ばす。


「何が?」


セリアが。


聞く。


「こいつ」


鞘から。


剣を抜く。


新しい。


俺の剣。


アルトで。


作ってもらった。


初めての。


自分の剣。


「まだ」


「まともに」


「使ってなかった」


「……あ」


セリアも。


自分の。


腰を見る。


そして。


笑った。


「私も」


魔物が。


地面を蹴った。


「来ます!」


リーナの声。


一体。


正面。


俺へ。


向かってくる。


速い。


でも。


地竜ほどじゃない。


剣を。


構える。


踏み込む。


振る。


――ザンッ!


「……お」


斬れた。


硬い。


外皮。


そこへ。


刃が。


食い込んだ。


そのまま。


抜ける。


魔物が。


地面へ。


倒れる。


手を見る。


違う。


前の剣とは。


明らかに。


違う。


軽い。


いや。


違うな。


ただ。


軽いんじゃない。


動かしたい。


ところへ。


剣が。


ついてくる。


振り始め。


止める時。


切り返す時。


全部。


少しずつ。


俺に。


合っている。


「……いいな」


思わず。


声が出た。


もう一体。


横から。


飛び込んでくる。


身体を。


捻る。


剣を。


返す。


――ガッ!


硬い。


背中の。


外皮。


でも。


止まらない。


力を。


込める。


――ザンッ!


刃が。


抜けた。


「レンさん!」


「大丈夫!」


一歩。


下がる。


剣を見る。


刃こぼれも。


ない。


ちゃんと。


強い。


神器みたいな。


異常な。


武器じゃない。


でも。


これなら。


戦える。


俺が。


神銃を。


撃たない時。


これから。


ずっと。


使っていける。


「……気に入った?」


セリアの声。


「まあな」


「顔」


「ちょっと」


「嬉しそう」


「うるさい」


「ふふっ」


笑った。


次の瞬間。


セリアの。


後ろ。


魔物が。


飛び出した。


「後ろ!」


「分かってる!」


セリアが。


振り返る。


そして。


初めて。


黒い剣を。


抜いた。


黒。


ただの。


黒じゃない。


光を。


受けると。


深い。


黒鉄のような。


色が。


浮かぶ。


そして。


その奥。


細い。


青白い筋。


地竜の。


素材から。


作られた。


セリアの。


新しい剣。


魔物が。


飛びかかる。


セリアが。


一歩。


踏み込んだ。


剣を。


振る。


――スッ。


「……え?」


俺は。


思わず。


声を出した。


魔物が。


セリアの。


横を。


通り過ぎる。


そして。


地面へ。


落ちた。


硬い。


外皮。


俺の剣でも。


少し。


抵抗があった。


そこを。


セリアの剣は。


まるで。


何もなかったみたいに。


通っていた。


セリア自身も。


動きを。


止めている。


「……なに」


黒い剣を見る。


「これ」


もう一体。


魔物が。


来る。


今度は。


正面。


セリアが。


剣を構える。


「……もう一回」


踏み込む。


――ザンッ!


今度は。


見えた。


硬い。


外皮。


その瞬間。


刃の奥。


青白い。


細い筋が。


一瞬だけ。


光った。


そして。


刃は。


止まらない。


「……すご」


セリアが。


自分の剣を。


見る。


嬉しそう。


というより。


少し。


引いている。


「おい」


俺も。


近づく。


「今」


「ほとんど」


「止まらなかっただろ」


「……うん」


「全然」


「硬くなかった」


「いや」


「俺が斬った奴」


「普通に硬かったぞ」


「じゃあ」


二人で。


黒い剣を見る。


「……これ?」


「だろうな」


その時。


残っていた。


魔物が。


逃げようとする。


「逃がさない!」


セリアが。


走り出す。


「おい!」


速い。


新しい。


防具も。


動きを。


邪魔していない。


一体。


そして。


もう一体。


すぐに。


戦いは。


終わった。


◇


「見せてください」


戦いが。


終わったあと。


リーナが。


言った。


最初に。


俺の剣を。


渡す。


リーナが。


両手で。


持つ。


目を閉じる。


「……うん」


「どう?」


「問題ありません」


リーナが。


目を開く。


「ちゃんと」


「レンさんに」


「合っています」


「ちゃんと?」


「はい」


「魔力も」


「流れています」


「前の剣より」


「ずっと」


「自然です」


「そっか」


良かった。


自分でも。


感じていた。


でも。


リーナに。


そう言われると。


少し。


安心する。


「次」


セリアが。


待ちきれないように。


黒い剣を。


差し出す。


「これ」


「見て」


「はい」


リーナが。


受け取る。


その瞬間。


「……?」


動きが。


止まった。


「どうした?」


「何か」


「変?」


セリアが。


心配そうに。


覗き込む。


「いえ」


リーナが。


黒い刃を見る。


指先で。


触れる。


青白い。


細い筋。


「昨日より」


「少し……」


「何?」


「流れが」


「馴染んでます」


「馴染む?」


「はい」


リーナも。


不思議そうだった。


「作った時より」


「今の方が」


「セリアさんの」


「魔力が」


「自然に」


「流れています」


セリアが。


黒い剣を。


見る。


「使ったから?」


「……多分」


リーナが。


少し。


考える。


「それだけじゃ」


「ないと思います」


「この剣」


「まだ」


「もっと」


「セリアさんに」


「合わせられるかも」


「本当?」


「はい」


セリアの。


顔が。


明るくなる。


「じゃあ」


「もっと」


「強くなる?」


「調律できれば」


「多分」


「おお……」


嬉しそうだな。


「でも」


俺は。


自分の剣を見る。


「俺のも」


「悪くないだろ?」


「もちろんです」


リーナが。


すぐに。


答える。


「レンさんの剣も」


「すごく」


「いい剣です」


「だよな」


「何」


「張り合ってるの?」


セリアが。


笑う。


「張り合ってない」


「私の方が」


「よく斬れたけど」


「……」


「張り合ってない」


「今」


「ちょっと」


「悔しそう」


「うるさい」


リーナが。


また。


笑った。


俺も。


剣を。


鞘へ戻す。


悪くない。


いや。


十分だ。


この剣なら。


戦える。


セリアの剣が。


少し。


おかしいだけだ。


「さて」


俺は。


街道の。


先を見る。


「行くか」


「故郷?」


「ああ」


セリアが。


黒い剣を。


鞘へ戻す。


「久しぶりだね」


「そうだな」


俺も。


少し。


懐かしくなる。


街。


ガルド。


湖。


俺が。


十五年間。


育った場所。


前に。


あの街を。


出た時。


俺は。


使えない。


神器の。


答えを。


探していた。


今は。


違う。


神銃は。


撃てる。


自分の。


剣もある。


仲間もいる。


それでも。


まだ。


分からないことは。


山ほどある。


前任の。


神銃士。


消えた。


記録。


北方戦役。


そして。


俺の故郷に。


突然。


現れた。


巨大な湖。


「……帰ろう」


俺は。


歩き出す。


今度は。


答えを。


探しに行くためじゃない。


答えが。


あるかもしれない。


場所へ。


一度。


帰るために。



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