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転生したら最強ジョブだが最凶だった件 ~伝説の【神銃士】になったのに、一発も撃てない~  作者: 蝶野摩矢
鍛冶の街アルト編

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54/68

アルトで得たもの

翌日。


俺たちは。


黒い。


甲殻を。


抱えていた。


正確には。


俺と。


セリアが。


抱えている。


「……重い」


「お前」


「地竜と」


「戦ってた時より」


「弱そうだぞ」


「だって」


「あの時は」


「持ってなかったもん」


「当たり前だろ」


隣を。


歩く。


リーナが。


小さく。


笑う。


昨日。


老人に。


言われた。


残った。


地竜の。


甲殻。


俺たちが。


持っている。


防具に。


使えるらしい。


ただし。


老人は。


一言。


「俺は」


「剣を打つ」


「防具なら」


「防具屋に」


「持ってけ」


そう言って。


一枚の。


紙を。


渡してきた。


そこに。


書かれていた。


店へ。


向かっている。


「ここ?」


セリアが。


足を。


止める。


「多分」


「看板」


「合ってます」


リーナが。


紙と。


店を。


見比べる。


鍛冶の街。


アルト。


武器を。


扱う店は。


多い。


防具も。


同じ。


でも。


老人が。


わざわざ。


指定した。


店。


「入るか」


「うん」


扉を。


開ける。


◇


「……なんだ」


中にいた。


男が。


こちらを見る。


老人よりは。


若い。


それでも。


俺たちの。


父親より。


上だろう。


壁には。


革鎧。


胸当て。


籠手。


金属鎧。


いろいろな。


防具が。


並んでいる。


「これ」


「見てもらえって」


「言われて」


紙を。


渡す。


男が。


受け取る。


見る。


そして。


嫌そうな。


顔をした。


「……あの爺か」


「知ってるんですか?」


「知りたくもねえ」


何が。


あったんだ。


「それで」


「持ってきたのは?」


俺と。


セリアが。


抱えていた。


甲殻を。


下ろす。


――ゴトッ。


男の。


顔が。


変わった。


「……おい」


近づく。


触る。


表面を。


見る。


裏側を。


見る。


「これ」


「地竜か?」


「はい」


「黒いな」


「ちょっと」


「特殊みたいです」


「ちょっとで」


「済む色じゃ」


「ねえだろ」


やっぱり。


そうなるか。


男が。


紙を。


もう一度。


見る。


「……なるほどな」


「何て」


「書いてあるんですか?」


セリアが。


覗こうとする。


男が。


紙を。


折った。


「見るな」


「なんで?」


「爺からの」


「注文だ」


「注文?」


男が。


俺たち。


三人を。


順番に。


見る。


「とりあえず」


「今の装備」


「見せろ」


◇


最初は。


セリア。


男が。


今の。


防具を見る。


腕。


肩。


胸。


そして。


腰の。


新しい剣。


そこで。


少し。


止まった。


「……その剣も」


「あの爺か?」


「うん」


「地竜で」


「作ってもらった」


「……」


男が。


もう一度。


甲殻を見る。


「贅沢な」


「使い方しやがる」


「いい剣?」


「俺は」


「防具屋だ」


「剣のことは」


「知らねえ」


そう。


言いながら。


ずっと。


見ている。


多分。


分かってる。


「嬢ちゃん」


「はい」


「動く方だろ」


「うん」


「なら」


「固めすぎるな」


男が。


甲殻の中から。


薄いものを。


選ぶ。


「胸」


「肩」


「前腕」


「この辺で」


「十分だ」


「もっと」


「付けたら?」


「動きが」


「鈍る」


「……じゃあ」


「いらない」


即答。


やっぱり。


セリアだ。


「それと」


男が。


左肩を見る。


地竜との。


戦いで。


傷めた場所。


もう。


かなり。


治っている。


「こっちは」


「少し」


「厚くする」


「重くならない?」


「ならねえように」


「作るんだよ」


「おお」


「だから」


「任せろ」


次。


俺。


男が。


革鎧を見る。


「お前が」


「レンか」


「はい」


「でかい神器を」


「担ぐ奴」


「……なんで」


「知ってるんですか?」


男が。


紙を。


振る。


「あの爺が」


「書いてる」


「何て?」


「肩を」


「殺すな」


「腕も」


「動かせ」


「急所は」


「守れ」


「……」


それだけで。


俺の。


戦い方が。


分かる。


「注文」


「多くないですか?」


「多い」


即答だった。


「あと」


「こいつは」


「剣で勝つ奴じゃねえ」


「とも」


「……」


そこまで。


書くのか。


セリアが。


笑っている。


「ちゃんと」


「分かってるね」


「うるさい」


男が。


俺の。


肩を。


動かす。


腕も。


確認する。


「神器」


「どっちで」


「担ぐ」


説明する。


構え方も。


簡単に。


見せる。


男が。


頷く。


「なら」


「肩は」


「ここを」


「空ける」


「胸と」


「脇」


「前腕」


「必要なところだけ」


「甲殻を」


「入れる」


「それで」


「お願いします」


「全身」


「覆わなくて」


「いいのか?」


聞かれて。


少し。


考える。


でも。


答えは。


決まっていた。


「動けない方が」


「困るので」


「だろうな」


最後。


リーナ。


「……私も」


「ですか?」


「当たり前だ」


「でも」


「私は」


「そんなに」


「前に」


「出ないので」


男が。


リーナを見る。


「だからだ」


「……え?」


「前に出る奴は」


「殴られるのも」


「分かってる」


「避ける」


「受ける」


「そういう動きを」


「する」


男が。


リーナの。


軽い。


胸当てを見る。


「お前は?」


「……」


「何かする時」


「止まるだろ」


リーナが。


少し。


驚く。


「調律」


男が。


言った。


「爺から」


「聞いた」


「……はい」


「武器に」


「触って」


「集中する」


「その時に」


「一発」


「もらって」


「終わりじゃ」


「意味ねえだろ」


「……」


リーナが。


自分の。


胸当てを見る。


「重いのは」


「いらねえ」


男が。


薄い。


甲殻を。


手に取る。


「胸」


「脇」


「それと」


「少しだけ」


「腕」


「動きを」


「邪魔しねえ」


「最低限だ」


リーナが。


俺を見る。


俺は。


頷く。


セリアも。


「付けとこう」


「……はい」


リーナが。


小さく。


頷いた。


◇


完成まで。


数日。


かかった。


そして。


俺たちは。


もう一度。


防具屋へ。


来た。


「……おお」


セリアが。


自分の。


腕を見る。


黒い。


甲殻。


でも。


地竜の。


あの姿とは。


全然。


違う。


薄く。


加工され。


今までの。


防具へ。


組み込まれている。


肩。


前腕。


胸。


必要な。


場所だけ。


「動ける?」


俺が。


聞く。


セリアが。


腕を。


回す。


腰を。


捻る。


軽く。


踏み込む。


「うん」


「全然」


「邪魔じゃない」


「なら」


「暴れるな」


男が。


止める。


「まだ」


「店の中だ」


「……はい」


次は。


俺。


革鎧を。


着る。


胸。


肩。


前腕。


黒い。


甲殻が。


部分的に。


加わっている。


腕を。


動かす。


肩を。


回す。


問題ない。


神銃を。


構える時の。


動きも。


邪魔しない。


前より。


少し。


重い。


でも。


それ以上に。


守られている。


感覚がある。


「これなら」


男が。


俺を見る。


「一発くらい」


「余計に」


「耐えられるかもな」


「一発だけ?」


「地竜に」


「殴られてみるか?」


「遠慮します」


最後。


リーナ。


今までの。


服。


軽い。


革の胸当て。


そこへ。


薄い。


黒い甲殻。


俺たちより。


ずっと。


少ない。


見た目も。


大きくは。


変わらない。


でも。


胸や。


急所。


必要な場所は。


守られている。


リーナが。


腕を。


動かす。


「……大丈夫です」


「重くない?」


セリアが。


聞く。


「はい」


「これなら」


「調律も」


「できます」


「なら」


「よし」


三人。


並ぶ。


セリアの。


腰には。


地竜から。


作った。


黒い剣。


俺の。


腰には。


新しい。


自分の剣。


リーナの。


腰には。


ずっと。


一緒だった。


古い短剣。


そして。


三人の。


防具には。


黒い。


地竜の。


甲殻。


アルトへ。


来た時とは。


少し。


違う。


派手に。


変わった。


わけじゃない。


でも。


剣も。


防具も。


俺たちが。


ここで。


戦った。


証。


「……なんか」


セリアが。


俺たちを見る。


「強そう」


「実際」


「前よりは」


「強くなっただろ」


「そうじゃなくて」


「見た目」


「そっちかよ」


リーナが。


笑った。


◇


その足で。


俺たちは。


ギルドへ。


向かった。


受付へ。


行く。


俺たちを。


見つけた。


受付の人が。


「あ」


「ちょうど」


「良かったです」


奥から。


書類を。


持ってくる。


「地竜の」


「素材について」


「精算が」


「終わりました」


「おお」


セリアが。


前へ。


出る。


「まず」


「皆さんが」


「使用された」


「素材」


セリアの。


剣。


俺の。


剣。


そして。


三人の。


防具。


その分を。


除く。


残った。


甲殻。


牙。


爪。


骨。


その他。


使わなかった。


素材。


それらは。


ギルドが。


買い取った。


「そこから」


「回収隊の」


「費用」


「現地での」


「解体費用」


「運搬費」


「その他の」


「必要経費を」


「差し引きまして」


受付の人が。


金額を。


言った。


「……」


セリアが。


固まった。


「もう一回」


「言ってください」


「はい?」


「金額」


「もう一回」


受付の人が。


もう一度。


言う。


「……」


セリアが。


俺を見る。


「多くない?」


「俺に」


「聞くなよ」


俺も。


驚いてる。


「地竜ですよ?」


受付の人が。


少し。


笑う。


「しかも」


「今回の個体は」


「通常のものより」


「素材の質が」


「かなり高いです」


そうか。


あの。


異常な。


硬さ。


長い間。


濃い魔力に。


晒されていた。


地竜。


素材としても。


普通じゃない。


「三人で」


「分けても」


「しばらく」


「旅には」


「困らないと」


「思いますよ」


「……」


セリアが。


黙る。


「どうした?」


「いや」


「地竜」


「すごいなって」


「感想」


「それでいいのか」


でも。


分からなくもない。


俺たちは。


素材を。


手に入れた。


剣を。


手に入れた。


防具を。


手に入れた。


そして。


これから。


旅を。


続けるための。


金も。


手に入れた。


でも。


一番。


大きかったものは。


多分。


それじゃない。


俺は。


一発を。


撃たない。


戦い方を。


覚えた。


そして。


撃つべき。


瞬間を。


待つことを。


覚えた。


セリアは。


自分の。


成長に。


ついてくる。


剣を。


手に入れた。


リーナは。


失っていた。


調律を。


取り戻した。


それだけじゃない。


前より。


もっと。


深く。


流れを。


感じられるように。


なった。


そして。


三人で。


地竜を。


倒した。


誰か。


一人じゃない。


三人で。


作った。


一発。


それが。


俺たちが。


アルトで。


得たもの。


◇


その夜。


宿で。


食事を。


していると。


セリアが。


突然。


言った。


「で」


「次は?」


「何が?」


「次の街」


「……」


やっぱり。


来たか。


「もう」


「行く気なのか?」


「だって」


「傷も」


「ほとんど」


「治ったし」


新しい。


剣へ。


手を。


置く。


「装備も」


「できた」


俺を見る。


「レンの剣も」


「できた」


リーナを見る。


「リーナも」


「調律」


「戻った」


「……はい」


「だったら」


セリアが。


笑う。


「次」


「行けるでしょ」


俺は。


少し。


考える。


アルトへ。


来た。


目的。


セリアの。


剣。


リーナの。


調律。


俺自身も。


神器を。


もう一度。


繋げた。


目的は。


果たした。


それ以上のものまで。


手に入れた。


「……そうだな」


「じゃあ」


「決まり!」


「まだ」


「行き先」


「決めてないだろ」


「それは」


「これから」


「決めればいい」


「適当だな」


「旅なんだから」


「そんなもんでしょ」


そうなのか?


リーナが。


小さく。


笑っている。


「リーナは?」


俺が。


聞く。


「……私も」


少し。


考える。


そして。


頷いた。


「行きたいです」


「もっと」


「いろんな」


「武器を」


「見たいです」


リーナの。


手が。


腰の。


古い短剣へ。


触れる。


「それに」


「もっと」


「分かるように」


「なりたいので」


「そっか」


俺は。


頷く。


なら。


決まりだ。


アルトを。


出る。


次へ。


進む。


ただ。


一つだけ。


頭に。


残っている。


地下。


深く。


俺たちが。


辿り着いた。


あの場所。


青白い。


光。


人工的な。


通路。


地竜の。


身体を。


流れていた。


魔力。


そして。


何度も。


聞いた。


あの音。


――ゴウン。


結局。


あれが。


何なのか。


分からなかった。


あの遺跡が。


何のために。


作られたのかも。


まだ。


知らない。


でも。


今は。


それでいい。


いつか。


もっと。


強くなって。


また。


あの場所へ。


戻ることが。


あれば。


その時は。


もっと。


先まで。


行けるかもしれない。


◇


同じ頃。


アルトの。


地下。


深く。


さらに。


深く。


俺たちが。


辿り着かなかった。


場所。


誰もいない。


暗闇。


長い。


長い。


時間。


止まっているように。


見える。


古い。


施設。


――ゴウン。


低い。


音。


壁を。


走る。


青白い。


光。


一本。


二本。


そして。


さらに。


奥。


暗闇の中。


何かが。


一瞬だけ。


青白く。


灯った。


そして。


また。


闇へ。


沈んだ。



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