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転生したら最強ジョブだが最凶だった件 ~伝説の【神銃士】になったのに、一発も撃てない~  作者: 蝶野摩矢
鍛冶の街アルト編

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俺に必要な剣

数日後。


セリアの。


傷も。


だいぶ。


良くなった。


まだ。


ダンジョンへ。


行くことは。


老人に。


止められている。


そのせいで。


「……暇」


朝から。


セリアが。


呟いている。


「昨日も」


「聞いた」


「昨日より」


「暇」


「増えるのかよ」


「増えるよ」


何が。


増えるんだ。


隣では。


リーナが。


小さく。


笑っている。


「でも」


「もう少しですから」


「分かってるけど」


セリアが。


腰の剣へ。


手を。


置く。


あれから。


何度。


見たか。


分からない。


自分の剣。


よほど。


嬉しいらしい。


「……振りたい」


「昨日も」


「振ってただろ」


「もっと」


「振りたい」


「休めって」


「言われただろ」


「……暇」


戻った。


その時。


宿の。


扉が。


開いた。


「レンって」


「どいつだ?」


宿の人が。


こちらを見る。


「俺ですけど」


「工房から」


「呼んでるぞ」


「工房?」


俺は。


首を。


傾げる。


セリアが。


立ち上がった。


「行こう!」


「なんで」


「お前が」


「一番」


「嬉しそうなんだよ」


◇


工房へ。


入る。


老人は。


いつものように。


奥にいた。


「来たか」


「はい」


「今日は」


「何ですか?」


老人が。


俺を見る。


いや。


俺じゃない。


腰。


俺の。


剣を。


見ている。


「お前」


「はい?」


「その剣」


「見せろ」


「……これですか?」


腰から。


剣を。


抜く。


老人へ。


差し出す。


ずっと。


使ってきた。


剣。


ガルドから。


借りた。


剣。


老人が。


受け取る。


鞘から。


抜く。


刃を見る。


指で。


なぞる。


「……」


何も。


言わない。


ひっくり返す。


もう一度。


見る。


「ずいぶん」


「使い込んでやがるな」


「まあ」


「長いこと」


「使ってるので」


「お前のか?」


「……いや」


少し。


迷って。


答える。


「借り物です」


老人の。


眉が。


動く。


「誰からだ」


「故郷の」


「知り合いから」


「最初は」


「本当に」


「何もなかったので」


神器は。


あった。


でも。


撃てなかった。


どれだけ。


魔力を。


込めても。


――カチッ。


それだけ。


神銃士なのに。


神銃が。


撃てない。


そんな。


俺に。


ガルドが。


貸してくれた。


剣。


「ずっと」


「これで」


「戦ってきました」


老人が。


剣を見る。


「なら」


「返せ」


「……え?」


思わず。


聞き返す。


老人は。


俺を見る。


「借り物なんだろ」


「……そうですけど」


「なら」


「いつか」


「返すもんだ」


「それは」


「そうですけど」


返したくない。


わけじゃない。


ただ。


この剣には。


思い入れが。


ある。


神器が。


撃てなかった頃。


何度も。


俺を。


守ってくれた。


初めて。


魔物と。


戦った時も。


リーナと。


出会った時も。


王都へ。


向かった時も。


アルトへ。


来てからも。


ずっと。


俺の。


腰にあった。


簡単に。


手放す気には。


なれなかった。


「……別に」


老人が。


言う。


「捨てろとは」


「言ってねえ」


「え?」


「返すんだろ」


「だったら」


「返せるように」


「しとけ」


「……」


老人が。


剣を。


鞘へ。


戻す。


そして。


俺へ。


差し出した。


受け取る。


「自分の剣を」


「持て」


その言葉に。


俺は。


黙った。


隣で。


セリアが。


自分の。


新しい剣へ。


手を。


置いている。


私の剣。


昨日。


そう。


言った。


俺は。


腰の剣を見る。


これは。


大切な。


剣だ。


でも。


俺のものじゃない。


「……そうですね」


「で」


老人が。


言う。


「どんな剣が」


「欲しい」


「え?」


「自分の剣だ」


「お前は」


「何が」


「欲しい」


何が。


欲しい。


そう。


聞かれて。


すぐには。


答えられなかった。


強い。


剣。


よく。


斬れる。


剣。


地竜の。


甲殻さえ。


斬れる。


剣。


違う。


俺は。


剣士じゃない。


セリアみたいに。


剣で。


敵を。


倒すわけじゃない。


思い出す。


黒い。


地竜。


何度。


斬っても。


傷一つ。


つけられなかった。


俺の剣。


それでも。


最後まで。


握っていた。


剣じゃ。


あいつを。


倒せない。


それでも。


必要だった。


俺が。


立っているために。


セリアが。


甲殻を。


砕くまで。


リーナが。


道を。


見つけるまで。


そして。


俺が。


神銃を。


撃つべき。


その瞬間まで。


「……折れない剣」


老人が。


眉を。


上げる。


「あ?」


「折れない」


「剣が」


「欲しいです」


「……」


「いや」


「絶対に」


「折れないとか」


「そういう意味じゃ」


「ないですけど」


「分かってる」


老人が。


少し。


面倒そうに。


答える。


俺は。


続ける。


「地竜を」


「斬れる剣じゃ」


「なくていい」


セリアが。


俺を見る。


「俺は」


「剣で」


「勝つわけじゃない」


腰ではなく。


背中。


そこに。


今は。


召喚していない。


もう一つの。


武器。


「俺が」


「神銃を」


「撃つ瞬間まで」


「俺の手に」


「残ってくれる」


「そんな剣が」


「欲しいです」


沈黙。


老人が。


俺を見る。


しばらく。


何も。


言わない。


そして。


「……ふん」


鼻を。


鳴らした。


「やっと」


「自分の戦い方が」


「分かってきた」


「……」


「お前は」


「剣で勝つ奴じゃ」


「ねえんだろ」


「はい」


「だったら」


「切れ味なんぞ」


「欲張るな」


老人が。


工房の。


奥へ。


歩いていく。


俺たちも。


ついていく。


奥には。


まだ。


いくつか。


残っている。


地竜の。


素材。


セリアの。


剣に。


使われなかった。


甲殻。


爪。


牙。


そして。


いくつかの。


素材。


老人が。


その中から。


一つ。


黒い。


爪を。


持ち上げる。


「セリアの剣に」


「一番いいところは」


「使った」


「うん」


セリアが。


頷く。


「こいつで」


「同じもんは」


「打てねえ」


「別に」


「同じものは」


「いらないです」


「だろうな」


老人が。


俺を見る。


「だから」


「残してある」


「……え?」


老人は。


爪を。


作業台へ。


置く。


続いて。


薄い。


甲殻の。


一部。


それも。


横へ。


置いた。


「こいつらは」


「剣一本を」


「全部」


「作るには」


「向いてねえ」


「だが」


「使い方は」


「ある」


「使い方?」


「ああ」


老人が。


爪を。


軽く。


叩く。


硬い。


音が。


響く。


「折れにくく」


「欠けにくい」


「それでいて」


「お前の動きを」


「邪魔しねえ」


「そんな剣なら」


「こいつらで」


「十分だ」


セリアが。


横から。


覗き込む。


「私のより」


「強い?」


老人が。


セリアを見る。


「比べんな」


「でも」


「気になる」


「お前の剣は」


「お前が」


「斬るための剣だ」


老人が。


俺を見る。


「こいつのは」


「違う」


黒い。


爪へ。


手を。


置く。


「斬ることだけを」


「考えた剣じゃねえ」


「受けて」


「逸らして」


「耐えて」


「最後まで」


「手に残る」


「そのための」


「剣だ」


「……」


セリアが。


俺を見る。


「レンっぽいね」


「どういう意味だよ」


「しぶとい」


「褒めてる?」


「褒めてる」


多分。


褒めてない。


老人が。


ため息を。


吐く。


「それで」


「打つんですか?」


俺が。


聞く。


老人が。


こっちを見る。


「誰に」


「聞いてやがる」


どこかで。


聞いた。


答えだった。


◇


それから。


数日。


俺たちは。


ダンジョンへは。


入らなかった。


セリアの。


傷を。


治すため。


そして。


俺の。


剣を。


待つため。


工房から。


槌の音が。


響く。


――カン。


――カン。


――カン。


セリアの剣を。


打った時ほど。


長くは。


かからなかった。


使う。


地竜の素材も。


違う。


目的も。


違う。


そして。


数日後。


俺は。


もう一度。


工房に。


呼ばれた。


「……これが」


作業台の上。


一本の。


剣。


見た目は。


セリアの剣ほど。


目立たない。


黒を。


基調にした。


刃。


でも。


セリアの剣より。


黒は。


薄い。


普通の。


金属と。


地竜の素材。


その両方が。


使われているのが。


分かる。


派手じゃない。


大きくもない。


俺が。


今まで。


使ってきた剣と。


長さも。


それほど。


変わらない。


「持て」


老人に。


言われる。


柄を。


握る。


持ち上げる。


「……」


重くない。


いや。


軽い。


わけでもない。


一度。


振る。


――ヒュン。


もう一度。


「どうだ」


「……邪魔に」


「ならない」


老人が。


少しだけ。


口元を。


上げる。


「それでいい」


切れ味が。


すごい。


そんな。


感じじゃない。


圧倒的な。


力を。


感じるわけでもない。


ただ。


手に。


残る。


振って。


止めて。


構えて。


次へ。


動ける。


俺の。


戦いを。


邪魔しない。


「レンさん」


リーナが。


剣を見る。


「調律」


「しますか?」


「頼む」


「はい」


俺は。


剣を。


構える。


リーナが。


そっと。


手を。


添える。


この光景も。


何度目だろう。


最初の頃。


リーナは。


俺に。


何度も。


言った。


少し。


弱く。


少し。


強く。


俺自身も。


どれくらい。


魔力を。


流せばいいのか。


分からなかった。


でも。


今は。


「レンさん」


「魔力を」


「流してください」


「分かった」


ゆっくり。


魔力を。


流す。


一定に。


急がず。


強く。


しすぎず。


剣へ。


流す。


「……」


リーナが。


目を。


閉じる。


少し。


待つ。


「……そのままで」


「え?」


思わず。


聞き返した。


リーナが。


少し。


笑う。


「そのままで」


「大丈夫です」


昔は。


何度も。


変えた。


でも。


今は。


違う。


俺も。


少しずつ。


魔力の。


扱い方を。


覚えている。


そして。


リーナも。


あの頃とは。


違う。


リーナの。


魔力が。


重なる。


俺から。


剣へ。


剣から。


俺へ。


道が。


合う。


――キィン。


一度。


澄んだ。


音。


リーナが。


手を。


離した。


「……できました」


「もう?」


「はい」


「早くない?」


セリアが。


聞く。


リーナも。


少し。


驚いたように。


自分の手を見る。


「……前より」


「分かるので」


その言葉に。


俺は。


笑った。


「そっか」


「はい」


俺も。


リーナも。


前とは。


違う。


少しずつ。


だけど。


ちゃんと。


前へ。


進んでいる。


もう一度。


剣を。


振る。


――ヒュン。


さっきより。


自然。


力が。


そのまま。


刃へ。


伝わる。


でも。


セリアの剣とは。


違う。


敵を。


斬り伏せるための。


剣じゃない。


俺が。


戦い続けるための。


剣。


老人が。


腕を組む。


「いいか」


「はい」


「そいつで」


「勝とうとすんな」


「……」


「お前には」


「もっと」


「馬鹿みてえな武器が」


「あるだろ」


思わず。


背中へ。


手を。


伸ばしかける。


そこには。


何もない。


今は。


召喚していない。


それでも。


分かる。


俺の。


本当の。


武器。


一発しか。


撃てない。


最強で。


最凶の。


神器。


「……はい」


老人が。


頷く。


「なら」


「そいつは」


「そこまで」


「連れていくための」


「剣だ」


俺は。


手の中の。


新しい剣を見る。


強い剣が。


欲しかった。


わけじゃない。


誰よりも。


斬れる。


剣が。


欲しかった。


わけでもない。


必要なのは。


俺が。


撃つべき。


その瞬間まで。


折れずに。


欠けずに。


俺の手に。


残ってくれる。


剣。


ガルドの剣を。


腰から。


外す。


二本を。


並べる。


「……帰ったら」


小さく。


呟く。


「ちゃんと」


「返さないとな」


借り物の剣。


ずっと。


俺を。


守ってくれた。


だからこそ。


最後は。


ちゃんと。


返したい。


そして。


新しい剣を。


腰へ。


差す。


少しだけ。


違和感。


でも。


嫌な。


違和感じゃない。


これから。


俺が。


慣れていく。


俺の。


剣。


「……よし」


顔を。


上げる。


老人が。


もう。


次の。


作業へ。


戻ろうとしていた。


その時。


足を。


止める。


「そうだ」


「?」


老人が。


工房の。


隅を見る。


そこには。


まだ。


残っている。


地竜の。


黒い甲殻。


それを。


顎で。


示した。


「そいつも」


「忘れんな」


「まだ」


「何かに」


「使うんですか?」


「ああ」


老人が。


俺たち。


三人を見る。


「だが」


「そいつは」


「俺の仕事じゃねえ」


「?」


「防具屋に」


「持ってけ」


俺たちは。


黒い甲殻を見る。


地竜から。


持ち帰ったものは。


まだ。


終わっていない。



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