↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生したら最強ジョブだが最凶だった件 ~伝説の【神銃士】になったのに、一発も撃てない~  作者: 蝶野摩矢
鍛冶の街アルト編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
52/68

私の剣

翌日。


昼を。


少し。


過ぎた頃。


宿に。


伝言が。


届いた。


工房へ。


来い。


それだけ。


誰からかなんて。


聞くまでも。


なかった。


「行こう!」


伝言を。


聞いた瞬間。


セリアが。


立ち上がる。


「早いな」


「だって」


「完成したって」


「言ってないぞ」


「呼ばれたんだから」


「完成したんでしょ?」


「多分」


「ほら!」


「多分って」


「言っただろ」


もう。


聞いていない。


セリアは。


先に。


宿を。


出ていく。


「……元気ですね」


リーナが。


小さく。


笑う。


「昨日まで」


「暇って」


「ずっと」


「言ってたからな」


俺たちも。


その後を。


追った。


◇


工房へ。


入る。


今日は。


槌の音が。


しない。


炉の火も。


昨日より。


小さい。


老人が。


奥に。


座っている。


「来たか」


「できた!?」


「うるせえ」


「……できた?」


声を。


小さくする。


「聞こえてる」


老人が。


立ち上がる。


そして。


奥へ。


向かう。


戻ってきた。


その手には。


一本の。


剣。


「……」


セリアが。


黙った。


俺も。


剣を見る。


昨日まで。


見ていた。


黒い。


地竜の素材。


それが。


完全に。


姿を。


変えている。


大きすぎない。


太すぎない。


セリアが。


今まで。


使ってきた。


剣と。


大きさは。


それほど。


変わらない。


でも。


刃は。


違う。


銀色では。


ない。


黒。


ただ。


真っ黒でもない。


光を。


受けると。


深い。


黒鉄のような。


色が。


浮かぶ。


そして。


その奥。


よく。


見なければ。


分からない。


青白い。


細い筋。


昨日。


リーナと。


老人が。


繋いだ。


道。


それが。


刃の中に。


残っている。


「……これ」


セリアが。


剣から。


目を離さない。


「私の?」


「他に」


「誰がいる」


老人が。


剣を。


差し出す。


セリアが。


両手で。


受け取る。


「……」


柄を。


握る。


ゆっくり。


持ち上げる。


一度。


構える。


「……振っていい?」


「外でやれ」


「はい」


珍しく。


素直だ。


俺たちも。


工房の外へ。


出る。


少し。


開けた場所。


セリアが。


剣を。


構える。


息を。


吐く。


そして。


――ヒュン。


一閃。


「……」


もう一度。


――ヒュン。


横。


返す。


斜め。


止める。


動きに。


引っ掛かりが。


ない。


「どう?」


俺が。


聞く。


セリアは。


すぐには。


答えない。


剣を。


見ている。


もう一度。


握り直す。


振る。


「……振りやすい」


「そうか」


「うん」


少し。


嬉しそう。


でも。


何か。


引っ掛かる。


そんな。


顔。


「でも?」


「……」


セリアが。


俺を見る。


「分かる?」


「顔に」


「出てる」


「……そっか」


剣を見る。


「すごいよ」


「前の剣より」


「ずっと」


「いい」


「でも」


言葉を。


探す。


「なんか」


「まだ」


「遠い」


「遠い?」


「うまく」


「言えないけど」


剣を。


握る。


「私が」


「剣に」


「届いてない感じ」


「……」


後ろから。


老人が。


歩いてくる。


「当たり前だ」


「え?」


セリアが。


振り返る。


「今のお前に」


「ぴったりの剣なんぞ」


「打ってねえ」


「……?」


「言っただろ」


老人が。


剣を見る。


「次は」


「お前が」


「強くなっても」


「ついてくる剣を」


「打つってな」


セリアが。


黙る。


老人は。


続ける。


「前の剣は」


「お前が」


「先に」


「強くなった」


第28話。


折れた。


セリアの。


剣。


長い間。


セリアと。


一緒に。


戦ってきた。


あの剣。


老人は。


あの時。


言った。


剣が。


弱くなったんじゃない。


セリアが。


剣より。


先に。


強くなった。


「今のお前だけで」


「いっぱいになる剣を」


「打ったところで」


「また」


「同じだ」


「……」


「だから」


老人が。


黒い刃を。


指す。


「先を」


「残した」


「先……」


「ああ」


「今のお前には」


「まだ」


「全部は」


「使えねえ」


「だが」


「お前が」


「強くなれば」


「その分」


「こいつも」


「ついてくる」


セリアが。


剣を見る。


さっきとは。


少し。


違う目で。


「……じゃあ」


「この」


「遠い感じは」


「それだけじゃ」


「ねえ」


老人が。


言った。


「え?」


今度は。


老人が。


リーナを見る。


「嬢ちゃん」


「……はい」


「分かるか」


リーナが。


セリアの剣へ。


近づく。


じっと。


見る。


「触っても」


「いいですか?」


セリアが。


剣を。


差し出す。


「もちろん」


リーナの。


指先が。


黒い刃ではなく。


柄の近くへ。


触れる。


「……」


目を。


閉じる。


しばらく。


沈黙。


そして。


「……あります」


「何が?」


「ずれです」


セリアが。


首を。


傾げる。


リーナが。


目を。


開く。


「昨日」


「剣の中の」


「道は」


「全部」


「繋がりました」


根元から。


切っ先まで。


地竜だった時とは。


違う。


一本の。


剣としての。


道。


「でも」


「今は」


リーナが。


セリアを見る。


「セリアさんと」


「剣が」


「まだ」


「ちゃんと」


「繋がってません」


「……そっか」


セリアが。


小さく。


呟く。


そして。


すぐに。


リーナを見る。


「できる?」


「……はい」


迷いは。


なかった。


「調律します」


リーナが。


答える。


老人は。


何も。


言わない。


ただ。


腕を組んで。


見ている。


セリアが。


剣を。


構える。


リーナが。


その剣へ。


手を。


添える。


「セリアさん」


「はい」


「魔力を」


「流してください」


「分かった」


セリアが。


目を。


閉じる。


魔力を。


流す。


剣へ。


少しずつ。


「……」


リーナの。


表情が。


変わる。


集中。


している。


でも。


苦しそうでは。


ない。


「そのまま」


「……うん」


「もう少し」


「ゆっくり」


セリアの。


魔力。


リーナの。


魔力。


そして。


剣の中に。


残された。


道。


三つが。


重なる。


「……ここ」


リーナが。


呟く。


「少し」


「ずれてます」


指先が。


動く。


「セリアさん」


「少しだけ」


「弱く」


「うん」


魔力が。


弱まる。


「……そのまま」


リーナの。


魔力が。


重なる。


――キィン。


小さな。


音。


黒い刃の。


奥。


青白い。


光が。


一つ。


灯る。


「……」


まだ。


終わらない。


リーナの。


指が。


少しずつ。


動く。


「ここも」


「……」


「今度は」


「少し」


「強く」


「分かった」


セリアの。


魔力が。


強くなる。


リーナが。


それを。


追う。


重ねる。


合わせる。


剣を。


強くする。


わけじゃない。


剣を。


弱くする。


わけでもない。


武器と。


使い手。


その二つを。


繋ぐ。


今の。


使い手が。


扱える。


範囲で。


武器の力を。


引き出せるように。


そして。


使い手の力が。


武器へ。


ちゃんと。


伝わるように。


それが。


調律。


「……」


リーナが。


一度。


息を。


吐く。


「全部を」


「使おうと」


「しなくて」


「大丈夫です」


「え?」


「この剣には」


「まだ」


「先があります」


リーナが。


剣の奥を。


感じながら。


言う。


「だから」


「今の」


「セリアさんが」


「使えるところまで」


「ちゃんと」


「繋ぎます」


「……うん」


セリアが。


頷く。


もう一度。


魔力を。


流す。


今度は。


無理に。


奥まで。


届かせようと。


しない。


今の。


自分。


今の。


力。


それを。


剣へ。


流す。


リーナが。


合わせる。


そして。


――キィィン。


黒い刃。


その奥。


根元から。


青白い。


光が。


走った。


切っ先へ。


真っ直ぐ。


一瞬。


だけ。


でも。


昨日とは。


違う。


昨日。


繋がったのは。


剣の中。


今。


繋がったのは。


剣と。


使い手。


リーナが。


手を。


離す。


「……できました」


セリアが。


目を。


開く。


剣を見る。


「……」


何も。


言わない。


ただ。


構える。


そして。


――ヒュン。


振る。


「……!」


さっきと。


同じ。


剣。


重さも。


長さも。


変わっていない。


なのに。


違う。


もう一度。


――ヒュン。


止める。


ぴたりと。


刃が。


止まる。


セリアが。


剣を。


見つめる。


その顔が。


少しずつ。


変わる。


「……これ」


小さく。


呟く。


柄を。


握る。


「今度は」


少し。


笑った。


「私の剣って」


「感じがする」


「……そっか」


俺も。


笑う。


リーナも。


嬉しそうに。


笑っている。


老人だけが。


いつもの。


顔。


「当たり前だ」


「お前のために」


「打ったんだからな」


「……うん」


セリアが。


剣を。


大事そうに。


見る。


「ありがとう」


老人が。


鼻を。


鳴らす。


「礼なら」


「使ってから」


「言え」


「じゃあ」


「使ってくる!」


「待て」


動こうとした。


セリアが。


止まる。


「何?」


「まだ」


「傷」


「治ってねえだろ」


「……」


「数日は」


「ダンジョン」


「行くな」


「……はい」


明らかに。


残念そうだ。


老人が。


ため息を。


吐く。


それから。


剣を見る。


「それと」


「勘違いすんな」


「?」


「今」


「嬢ちゃんが」


「繋いだのは」


「今のお前が」


「使えるところまでだ」


「……うん」


「剣には」


「まだ」


「先がある」


セリアが。


黒い刃を見る。


その奥。


今は。


届かない。


場所。


でも。


いつか。


届く。


「お前が」


「強くなれば」


「また」


「変わる」


老人が。


言う。


「今度は」


少し。


間を。


置く。


「その剣と」


「一緒に」


「強くなれ」


「……」


セリアが。


剣を。


握る。


強く。


でも。


すぐに。


笑った。


「もちろん」


迷いのない。


返事。


やっぱり。


セリアだ。


「それとな」


老人が。


工房の。


中へ。


戻る。


少しして。


一本の。


剣を。


持ってきた。


「……あ」


セリアの。


顔が。


固まる。


地竜と。


戦った。


借り物の。


剣。


刃には。


傷。


亀裂。


何度も。


地竜の甲殻へ。


叩きつけた。


跡。


でも。


折れてはいない。


老人が。


剣を見る。


「……」


セリアが。


少し。


姿勢を。


正す。


「……すみません」


「壊すなと」


「言ったよな」


「……はい」


「言ったよな?」


「……はい」


「まあ」


老人が。


刃を。


見る。


亀裂へ。


指を。


添える。


「折れて」


「ねえな」


「……はい」


「なら」


「いい」


「……え?」


セリアが。


顔を。


上げる。


「怒らないの?」


「もう」


「怒った」


「……あ」


確かに。


怒られた。


持って。


帰ってきた。


あの日に。


老人は。


もう。


十分。


怒っていた。


「それに」


老人が。


借り物の剣を。


持ち上げる。


「剣は」


「使うために」


「ある」


「……」


「こいつも」


「役目は」


「果たした」


地竜の。


甲殻を。


砕いた。


最後まで。


折れなかった。


そして。


セリアを。


守った。


「……ありがとう」


セリアが。


今度は。


借り物の剣へ。


小さく。


言った。


老人は。


何も。


言わない。


ただ。


その剣を。


工房の。


奥へ。


持っていった。


借り物の剣は。


老人の元へ。


戻った。


そして。


セリアの。


腰には。


新しい。


剣。


もう。


借り物じゃない。


間に合わせでも。


ない。


昔から。


使っていた。


剣でもない。


地竜を。


倒して。


自分で。


持ち帰った。


素材。


老人が。


選んで。


打った。


リーナが。


道を。


見つけ。


そして。


繋いだ。


セリアの。


ための。


剣。


俺たちは。


工房を。


出る。


セリアが。


何度も。


腰の剣へ。


目を。


落としている。


「そんなに」


「見る?」


「見る」


「だって」


「私のだよ?」


「分かったよ」


「レン」


「ん?」


セリアが。


前を。


向く。


新しい。


剣を。


腰に。


そして。


笑う。


「次」


「どこまで」


「行こうか」


「……」


やっぱり。


休む気は。


ないらしい。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。