↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生したら最強ジョブだが最凶だった件 ~伝説の【神銃士】になったのに、一発も撃てない~  作者: 蝶野摩矢
鍛冶の街アルト編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
49/68

素材の価値

地竜を。


倒してから。


数日。


俺たちは。


ダンジョンへ。


行かなかった。


行く理由が。


なかった。


傷を。


治す。


身体を。


休める。


それに。


待っているものが。


あった。


ギルドが。


出した。


回収隊。


深層域に。


残してきた。


地竜の。


死体。


あれが。


どうなったのか。


まだ。


分からない。


「……遅いね」


セリアが。


呟く。


「深層域だからな」


「分かってるけど」


「気になる?」


「そりゃ」


セリアが。


自分の腰を見る。


今。


そこに。


剣はない。


老人から。


借りた剣は。


返してある。


正確には。


返したというより。


「置いてけ」


と。


言われた。


亀裂が。


入っている。


このまま。


使わせる気は。


ないらしい。


だから。


今のセリアは。


剣を。


持っていない。


「……暇」


「休めって」


「言われただろ」


「休んでる」


「すごく」


「休んでる」


「ならいいだろ」


「もう」


「飽きた」


「……」


元気に。


なった証拠。


なんだろう。


隣では。


リーナが。


いつもの短剣を。


手入れしている。


布で。


ゆっくり。


刃を。


拭く。


「リーナは」


「暇じゃないの?」


セリアが。


聞く。


「……私は」


「大丈夫です」


「それ」


「ずっと」


「やってない?」


「はい」


「楽しい?」


「……」


リーナが。


短剣を見る。


「落ち着きます」


「そっか」


その時。


宿の。


一階から。


声が。


聞こえた。


「レンさん!」


俺は。


顔を。


上げる。


宿の人が。


階段の。


下から。


呼んでいる。


「ギルドから」


「連絡ですよ!」


三人。


同時に。


動いた。


◇


ギルドへ。


入る。


受付の女性が。


俺たちを。


見つける。


「お待ちしていました」


「回収隊」


「戻ったんですか?」


「はい」


少し。


間を置いて。


「全員」


「無事に」


「帰還しています」


「……よかった」


まず。


それだった。


俺たちが。


地竜を。


倒した場所。


深層域。


あそこまで。


行った人たちが。


無事に。


戻った。


それだけで。


少し。


安心する。


「ただ」


受付の女性が。


困ったように。


笑う。


「想定より」


「かなり」


「大変だったようです」


「何か」


「出たんですか?」


「いえ」


「戦闘は」


「ほとんど」


「なかったそうです」


「では?」


「地竜です」


「……?」


「大きすぎました」


「……ああ」


それは。


そうだ。


戦っていた時は。


そんなこと。


考えている。


余裕なんて。


なかった。


でも。


あの身体。


三人で。


運べるはずがない。


「現地で」


「解体できる部分は」


「解体して」


「何度かに分けて」


「運んでいます」


「何度か?」


「はい」


「今回」


「戻ったのは」


「最後の隊です」


知らない間に。


そんなことに。


なっていたらしい。


「こちらへ」


案内される。


ギルドの。


奥。


普段は。


入らない場所。


倉庫。


大きな。


扉が。


開く。


「……」


セリアが。


止まった。


俺も。


止まる。


リーナが。


俺の横から。


中を。


覗く。


「……すごい」


黒。


最初に。


そう思った。


大きな。


甲殻。


何枚も。


重ねられている。


俺たちが。


持ち帰ったものより。


ずっと。


大きい。


爪。


牙。


太い。


骨。


それ以外にも。


解体された。


いくつもの。


部位。


地竜。


一体。


あの巨大な。


身体が。


素材として。


並んでいる。


「こんなに……」


セリアが。


呟く。


「俺たち」


「ほんの少ししか」


「持って帰れて」


「なかったんだな」


「ですね……」


リーナも。


驚いている。


受付の女性が。


一つの。


甲殻を。


示す。


「調べてもらいました」


「通常の地竜の素材より」


「かなり」


「硬質化しているそうです」


やっぱり。


「原因は?」


「正確には」


「分かっていません」


「ただ」


「内部まで」


「魔力の影響を」


「強く受けています」


視線が。


別の。


素材へ。


移る。


割れた。


甲殻。


その内側。


青白い。


細い筋。


今は。


光っていない。


それでも。


跡だけは。


はっきり。


残っている。


「長期間」


「魔力の濃い環境で」


「生きていたためではないか」


「という話です」


深層域。


頭に。


浮かぶ。


壁を。


流れていた。


魔力。


そして。


――ゴウン。


あの音。


地竜の中を。


魔力が。


流れた。


瞬間。


何度も。


見た。


偶然。


なのか。


それとも。


あの場所と。


地竜に。


何か。


関係が。


あるのか。


まだ。


分からない。


「レンさん」


リーナが。


小さく。


呼ぶ。


「ん?」


「これ」


リーナが。


一つの。


素材を。


見ている。


地竜の。


身体の。


内側に。


近かったらしい。


黒い。


素材。


表面の。


甲殻ほど。


厚くない。


でも。


青白い筋が。


いくつも。


走っている。


「触っても」


「いいですか?」


受付の女性が。


頷く。


「もちろんです」


リーナが。


手を。


伸ばす。


指先が。


触れる。


「……」


目を。


閉じる。


しばらく。


何も。


言わない。


「どう?」


俺が。


聞く。


「……あります」


「何が?」


「流れてた」


「跡が」


リーナの。


指が。


ゆっくり。


動く。


「こっちから」


「こっちへ」


青白い筋を。


なぞる。


「戦ってた時と」


「同じです」


今は。


もう。


流れていない。


それでも。


リーナには。


分かる。


そこを。


何かが。


通っていた。


ことが。


「これ」


「老人にも」


「見せた方が」


「いいかもな」


「……はい」


俺たちが。


話していると。


受付の女性が。


書類を。


取り出した。


「それでは」


「素材について」


「ご説明します」


「はい」


「今回」


「回収したものについては」


「討伐者である」


「皆さんが」


「必要なものを」


「優先して」


「確保できます」


「ただし」


「回収にかかった費用は」


「残りの素材の」


「買い取り額から」


「差し引かせていただきます」


「分かりました」


それで。


十分だ。


むしろ。


あそこまで。


取りに行って。


もらった。


それだけでも。


ありがたい。


「必要なものは」


「決まっていますか?」


俺と。


リーナが。


セリアを見る。


「……」


セリアが。


少しだけ。


困る。


「私を見ても」


「分からないよ」


「だよな」


地竜の。


素材。


どの部分が。


剣に。


向いているのか。


俺には。


分からない。


セリアにも。


分からない。


リーナは。


魔力の流れなら。


分かる。


でも。


どれが。


剣に。


向いているかは。


別だ。


だったら。


聞く相手は。


一人しかいない。


「決める前に」


「一人」


「見てもらいたい人が」


「いるんですが」


◇


しばらくして。


倉庫の。


扉が。


開いた。


「……」


老人が。


入ってくる。


受付の女性が。


呼びに。


行ってくれた。


老人は。


俺たちには。


ほとんど。


目も向けない。


並んだ。


素材。


それだけを。


見る。


「……全部か」


「回収できたものは」


「これで」


「ほぼ全てです」


受付の女性が。


答える。


老人が。


歩く。


甲殻。


爪。


牙。


骨。


一つずつ。


見る。


触る。


叩く。


時々。


持ち上げる。


俺たちは。


黙って。


待つ。


「……これは」


老人が。


大きな。


甲殻を。


置く。


「駄目だ」


「え?」


セリアが。


思わず。


声を出す。


あれだけ。


硬そうなのに。


「硬すぎる」


「硬い方が」


「いいんじゃないんですか?」


「硬けりゃ」


「いいなら」


「岩でも」


「振り回してろ」


「……」


セリアが。


黙る。


老人が。


次へ。


移る。


爪。


「悪くねえ」


牙。


「これも」


「使い道はある」


骨。


「違う」


また。


甲殻。


「これも」


「違う」


次々。


見ていく。


俺には。


違いが。


分からない。


全部。


地竜の。


素材。


全部。


強そうに。


見える。


でも。


老人には。


違うらしい。


そして。


足が。


止まった。


リーナが。


さっき。


触れていた。


素材。


青白い筋が。


いくつも。


残る。


部位。


老人が。


手に取る。


「……」


長い。


沈黙。


指で。


表面を。


なぞる。


断面を見る。


軽く。


叩く。


――コン。


今までの。


甲殻とは。


少し。


違う音。


「嬢ちゃん」


「……はい?」


リーナが。


顔を上げる。


「来い」


リーナが。


老人の。


横へ行く。


素材を。


渡される。


「どうだ」


「……」


リーナが。


触れる。


目を。


閉じる。


「ここです」


すぐに。


指が。


動いた。


「ここから」


「こっちへ」


「それから」


「分かれてます」


「こっちと」


「こっち」


老人が。


その指を。


追う。


「途中は?」


「……ここで」


「少し」


「細くなってます」


「その先は」


「また」


「広がってます」


「そうか」


老人が。


素材を。


返してもらう。


そして。


別の。


似た部位を。


持ってくる。


「これは」


リーナが。


触れる。


「……違います」


「どう違う」


「途中で」


「止まってます」


老人が。


断面を見る。


「……」


鼻を。


鳴らす。


「なるほどな」


俺には。


何が。


なるほどなのか。


全然。


分からない。


セリアも。


同じらしい。


「ねえ」


小声で。


俺に。


聞く。


「分かる?」


「全然」


「だよね」


老人が。


こっちを見る。


「うるせえ」


「喋ってないけど」


「顔が」


「うるせえ」


「そんなことある?」


あるらしい。


老人が。


最初の。


素材を。


机へ。


置く。


「これだ」


セリアの。


表情が。


変わる。


「これが?」


「ああ」


「お前の剣に」


「使う」


セリアが。


近づく。


素材を見る。


黒い。


地竜の。


一部。


自分が。


何度も。


斬った。


あの甲殻とは。


少し。


違う。


身体の。


内側に近い。


部分。


「一番」


「硬いところじゃ」


「ないんですね」


セリアが。


聞く。


「ああ」


老人が。


答える。


「剣は」


「硬さだけで」


「決まらねえ」


素材を。


指で。


叩く。


「こいつは」


「外側ほど」


「馬鹿みてえに」


「硬くねえ」


「だが」


「十分に」


「強い」


そして。


青白い。


筋。


「何より」


「魔力の」


「通り道が」


「残ってる」


リーナが。


それを見る。


「道……」


「ああ」


老人が。


リーナを見る。


「お前が」


「分かるっていう」


「流れだ」


「……はい」


「これを」


「殺さず」


「剣にする」


セリアが。


老人を見る。


「できるんですか?」


老人の。


眉が。


動いた。


「誰に」


「聞いてやがる」


「……すみません」


でも。


老人は。


少しだけ。


口元を。


上げた。


気がした。


「簡単じゃ」


「ねえ」


「だが」


「やる」


老人が。


素材を。


持ち上げる。


「今のお前が」


「振れるだけの」


「剣じゃねえ」


セリアが。


黙る。


「前にも」


「言ったな」


「お前は」


「まだ」


「強くなる」


「……はい」


「なら」


「そのたびに」


「剣を」


「折ってたんじゃ」


「話にならねえ」


「……」


セリアが。


少しだけ。


気まずそうな。


顔をする。


借りた剣にも。


亀裂を。


入れたばかりだ。


「次は」


老人が。


言う。


「お前が」


「強くなっても」


「ついてくる剣を」


「打つ」


セリアの。


目が。


素材へ。


戻る。


「……お願いします」


頭を。


下げる。


老人は。


返事を。


しなかった。


ただ。


選んだ素材を。


横へ。


分けていく。


一つ。


二つ。


爪も。


少し。


別の部位も。


その中から。


必要なものだけ。


選んでいく。


やがて。


老人が。


手を止めた。


「これで」


「足りる」


俺は。


残った。


素材を見る。


「……」


多い。


かなり。


多い。


というか。


ほとんど。


残っている。


セリアも。


同じことを。


思ったらしい。


「これだけで」


「いいの?」


「剣一本に」


「地竜一頭」


「使う気か」


「……それは」


「贅沢かも」


「贅沢以前に」


「邪魔だ」


老人が。


吐き捨てる。


俺は。


残った。


黒い甲殻を見る。


爪。


牙。


骨。


まだ。


山ほど。


ある。


「これ」


「どうする?」


セリアが。


聞く。


「必要ない分は」


「ギルドに」


「買い取ってもらえるけど」


「……」


俺は。


自分の。


腰へ。


手をやる。


そこにある。


剣。


ずっと。


使ってきた。


ガルドから。


借りた。


剣。


第一層。


第二層。


第三層。


深層域。


何度も。


俺を。


守ってくれた。


でも。


地竜を。


前にした時。


何も。


できなかった。


いや。


違う。


あの剣の。


役目は。


地竜を。


斬ることじゃない。


俺が。


神銃を。


撃つ瞬間まで。


立っていること。


そのために。


使った。


だから。


十分。


役目を。


果たした。


それでも。


これから。


もっと。


深い場所へ。


行くなら。


「……」


老人の。


視線が。


俺の腰へ。


向いた。


「なんだ」


「いや」


「何でも」


「ねえなら」


「剣から」


「手を離せ」


「……」


気づけば。


柄に。


触れていた。


老人が。


俺を見る。


それから。


残った。


地竜の素材。


もう一度。


俺の剣。


「……ふん」


「?」


「まあ」


「いい」


何が。


いいんだ。


聞こうと。


した。


でも。


老人は。


もう。


セリアの素材を。


まとめ始めていた。


「いつ」


「できますか?」


セリアが。


聞く。


老人の。


手が。


止まる。


「お前」


「地竜の素材を」


「今日持ってきて」


「明日」


「剣になってると」


「思ってんのか」


「……思ってません」


「顔が」


「思ってる」


「顔で」


「決めないでよ」


老人が。


鼻を鳴らす。


「数日は」


「かかる」


「それまでは」


「大人しく」


「してろ」


「……はい」


「ダンジョンにも」


「潜るな」


「え」


「剣もねえのに」


「何しに」


「行くんだ」


「……」


「休め」


「……はい」


セリアが。


明らかに。


残念そうな。


顔をする。


俺は。


少し。


笑う。


「ちょうどいいだろ」


「怪我も」


「治ってないし」


「レンまで」


「そっち側に」


「行かないで」


「そっち側って」


「休めって」


「言う側」


「いや」


「休めよ」


「……」


セリアが。


頬を。


膨らませる。


その横で。


リーナが。


小さく。


笑った。


老人が。


選んだ。


地竜の素材を。


持ち上げる。


黒い。


素材。


その内側に。


残る。


青白い。


道。


地竜の。


身体を。


巡っていた。


魔力。


それが。


今度は。


剣になる。


セリアの。


新しい。


剣に。


「じゃあ」


老人が。


言った。


「始めるぞ」


――カン。


まだ。


何も。


打っていない。


なのに。


なぜか。


その音が。


聞こえた。


ような。


気がした。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。