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転生したら最強ジョブだが最凶だった件 ~伝説の【神銃士】になったのに、一発も撃てない~  作者: 蝶野摩矢
鍛冶の街アルト編

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47/68

撃つべき瞬間

次で。


あの甲殻を。


破壊する。


「グルルルル……!」


地竜が。


低く。


唸る。


俺を。


見ている。


いや。


違う。


俺だけじゃない。


セリアも。


見ている。


そして。


傷のある。


右側を。


俺たちに。


見せない。


「…………」


分かってる。


こいつも。


俺たちが。


何を。


狙っているのか。


「レン」


セリアが。


剣を。


握る。


「いける?」


「やる」


それしか。


ない。


借りた剣にも。


亀裂。


もう。


何度も。


打ち込めるとは。


思えない。


必要なのは。


一度。


一度だけ。


セリアが。


あそこへ。


届けばいい。


俺は。


剣を。


構える。


そして。


走った。


地竜の。


左へ。


「グルル……!」


目が。


俺を。


追う。


でも。


身体は。


動かない。


「…………」


やっぱり。


もう。


同じ手には。


乗らない。


俺が。


さらに。


左へ。


回る。


地竜は。


首だけを。


動かす。


右側は。


見せない。


だったら。


「レン?」


俺は。


止まった。


地竜の。


正面。


そこから。


一歩。


前へ。


「レン!?」


セリアの。


声。


近い。


地竜の。


頭が。


大きく。


見える。


黄色い。


目。


黒い。


牙。


息が。


かかる。


それくらい。


近い。


「グォォォォォッ!!」


地竜が。


口を。


開く。


来る。


俺は。


ぎりぎりまで。


動かない。


「レンさん!」


まだ。


もう少し。


地竜の。


頭が。


迫る。


今。


横へ。


飛ぶ。


――ガァン!!


牙が。


床へ。


ぶつかる。


石が。


砕ける。


「っ……!」


着地。


すぐに。


立つ。


地竜が。


頭を。


上げる。


俺は。


離れない。


「こっちだ!」


剣を。


振る。


――ガキン!!


黒い。


甲殻。


傷すら。


つかない。


でも。


それでいい。


「グォォォッ!!」


怒った。


前脚が。


上がる。


巨大な。


爪。


「レン!」


振り下ろされる。


――ドォン!!


避ける。


床が。


砕ける。


石片が。


頬を。


掠める。


熱い。


でも。


まだ。


足りない。


地竜の。


身体は。


傷を。


隠したまま。


だったら。


もう一度。


俺は。


地竜の。


懐へ。


走る。


「何してるの!?」


セリアの。


声。


分かってる。


危ない。


でも。


剣じゃ。


こいつを。


倒せない。


俺は。


剣士じゃない。


だったら。


剣で。


倒す必要は。


ない。


俺の。


剣は。


誰かに。


勝つための。


剣じゃない。


神銃を。


撃つべき時まで。


立っているための。


剣だ。


だったら。


今。


この剣で。


その瞬間を。


作る。


「来い!」


地竜が。


吠える。


頭。


前脚。


俺を。


追う。


一歩。


二歩。


後ろへ。


下がる。


地竜が。


踏み込む。


まだ。


もう一歩。


「グォォォォォッ!!」


来た。


地竜の。


右前脚が。


大きく。


前へ。


出る。


巨体が。


捻れる。


その瞬間。


今まで。


隠されていた。


右側。


亀裂。


見えた。


「セリア!!」


「っ!」


セリアが。


走る。


地竜も。


気づく。


身体を。


戻そうとする。


でも。


遅い。


セリアが。


踏み込む。


借りた剣。


その刃にも。


亀裂。


それでも。


迷わない。


「…………」


一瞬。


セリアが。


剣を。


見た。


――壊すなよ。


あの。


老人の。


声。


「……大丈夫」


小さく。


セリアが。


呟いた。


剣に。


言ったのか。


自分に。


言ったのか。


分からない。


でも。


次の瞬間。


セリアの。


目が。


地竜だけを。


見た。


「はぁぁぁぁぁっ!!」


剣が。


振り抜かれる。


何度も。


何度も。


叩き続けた。


亀裂。


その。


中心へ。


刃が。


入る。


――バキィンッ!!


黒い。


甲殻が。


砕けた。


「…………!」


破片が。


飛ぶ。


地竜が。


大きく。


身体を。


仰け反らせる。


「グォォォォォォォッ!!」


「やった!」


セリアが。


叫ぶ。


剣。


折れていない。


亀裂は。


残っている。


刃も。


傷だらけ。


それでも。


一本の。


剣として。


セリアの。


手に。


残っている。


「レンさん!!」


リーナの。


声。


見る。


砕けた。


甲殻。


その。


奥。


青白い。


光。


何本もの。


細い筋が。


集まり。


脈打っている。


「そこです!!」


リーナが。


指す。


「さっきの!」


「魔力が!」


「集まってた場所です!」


「分かった!」


もう。


迷わない。


俺は。


剣から。


手を。


離す。


呼ぶ。


応える。


空間が。


僅かに。


震えた。


黒。


金。


そして。


青白い。


光。


巨大な。


神器が。


現れる。


重い。


でも。


もう。


慣れた。


肩へ。


担ぐ。


目の前に。


文字が。


浮かぶ。


【神器情報】


【使用者:レン】


【接続状態:低】


【使用可能弾種:魔力弾】


【装填数:1】


【残弾数:1/1】


一発。


ずっと。


残していた。


撃てなかった。


わけじゃない。


撃たなかった。


どこを。


撃てばいいか。


分からなかった。


いつ。


撃てばいいか。


分からなかった。


でも。


今は。


違う。


「グォォォォォッ!!」


地竜が。


暴れる。


砕かれた。


右側を。


大きく。


振る。


「レン!」


セリアが。


離れる。


俺は。


神銃を。


向ける。


狙う。


砕けた。


甲殻。


その。


奥。


青白い。


光。


「…………」


動く。


照準が。


ずれる。


地竜が。


こちらを。


向く。


「レンさん!」


リーナが。


地竜を。


見る。


その時。


――ゴウン。


床を。


青白い。


光が。


走った。


地竜の。


身体。


残った。


筋が。


一瞬。


強く。


光る。


「……見えます!」


リーナの。


目が。


動く。


「右!」


照準を。


動かす。


「もう少し!」


地竜の。


身体が。


捻れる。


追う。


「そこです!!」


止める。


照準。


青白い。


光が。


集まる。


場所。


そこへ。


重なる。


【第一術式・魔力弾】


【残弾数:1/1】


一発。


だから。


撃たなかった。


そして。


一発。


だから。


今。


撃つ。


引き金へ。


指を。


かける。


「これで――」


引く。


――カチッ。


次の瞬間。


白。


いや。


青白い。


光が。


視界を。


埋めた。


――ドォォォォォォン!!


「っ……!」


轟音。


空気が。


弾ける。


魔力弾が。


砕けた。


甲殻の。


奥へ。


突き刺さる。


地竜の。


身体。


その。


青白い筋が。


一斉に。


光った。


「グォ――」


声が。


途中で。


消える。


光が。


地竜の。


身体を。


走る。


いや。


違う。


中を。


貫いている。


「…………!」


次の瞬間。


地竜の。


反対側。


無傷だった。


黒い甲殻。


それが。


内側から。


膨らんだ。


――バガァァァン!!


「え……!?」


セリアの。


声。


黒い。


甲殻が。


吹き飛ぶ。


魔力弾が。


地竜の。


身体を。


貫通した。


それでも。


止まらない。


地竜の。


向こう。


古い。


巨大な。


壁。


そこへ。


光が。


突き刺さる。


――ドォォォォォン!!


壁が。


抉れた。


石。


黒い。


金属片。


何か。


分からない。


破片が。


飛び散る。


「…………」


俺も。


言葉が。


出なかった。


ここまで。


とは。


思ってなかった。


地竜が。


立っている。


まだ。


倒れない。


「……レン」


セリアが。


剣を。


構え直す。


俺も。


神銃を。


握る。


でも。


地竜は。


動かなかった。


青白い。


筋。


一度。


光る。


消える。


また。


光る。


弱い。


そして。


――ゴウン。


施設が。


脈打った。


床を。


青白い。


光が。


走る。


今までなら。


それに。


呼応するように。


地竜の。


身体にも。


光が。


広がっていた。


でも。


今度は。


広がらない。


「…………」


地竜の。


前脚が。


揺れる。


「グ……ォ……」


小さな。


声。


そして。


脚が。


崩れた。


巨体が。


傾く。


「下がれ!」


三人で。


離れる。


地竜の。


身体が。


床へ。


落ちる。


――ズゥゥゥゥン……。


地面が。


震えた。


砂埃が。


舞う。


しばらく。


誰も。


動かなかった。


「…………」


地竜は。


動かない。


青白い。


筋も。


もう。


光らない。


「……倒した?」


セリアが。


呟く。


「多分」


「多分って……」


「確認する」


俺は。


神銃を。


向けたまま。


少し。


待つ。


動かない。


リーナも。


じっと。


見ている。


「……魔力」


「流れてません」


その言葉で。


やっと。


息を。


吐いた。


「……終わった」


神銃の。


文字を見る。


【残弾数:0/1】


ゼロ。


もう。


撃てない。


でも。


今回は。


それでいい。


撃てるから。


撃ったんじゃない。


撃つ。


場所を。


見つけた。


撃つ。


瞬間を。


作った。


リーナが。


見つけて。


セリアが。


破壊して。


俺が。


撃った。


三人で。


作った。


一発。


だから。


撃った。


「…………」


神器を。


消す。


重さが。


肩から。


なくなった。


その時。


「…………レン」


セリアの。


声。


「何だ?」


セリアが。


地竜を。


見ている。


正確には。


地竜の。


反対側。


内側から。


吹き飛んだ。


甲殻。


さらに。


その先。


大きく。


抉れた。


壁。


それから。


自分の。


剣。


亀裂の。


入った。


借り物の。


剣。


「…………」


嫌な。


予感がする。


「これ」


「うん」


「私が」


「うん」


「あんなに」


「頑張って」


「甲殻」


「壊さなくても……」


「…………」


セリアが。


俺を見る。


「倒せたんじゃない?」


「…………」


俺も。


地竜を見る。


反対側の。


甲殻まで。


完全に。


吹き飛んでいる。


「……リーナ」


「え?」


「どう思う?」


「私ですか!?」


リーナが。


困ったように。


地竜を見る。


砕けた。


右側。


貫通した。


身体。


吹き飛んだ。


左側。


抉れた。


壁。


「…………」


少し。


考えて。


「……多分」


「はい」


「そのままでも」


「抜けてたと」


「思います」


「…………」


セリアが。


黙った。


「…………」


俺も。


黙った。


「…………」


リーナも。


黙った。


「……私」


セリアが。


自分の。


剣を見る。


「これ」


「壊れかけるまで」


「頑張ったんだけど」


「…………」


「でも」


俺は。


地竜を見る。


「撃つ前には」


「分からなかった」


「…………」


「一発しか」


「なかった」


もし。


甲殻で。


止まっていたら。


終わっていた。


次は。


ない。


「だから」


「これでいい」


セリアが。


少しだけ。


黙る。


それから。


息を。


吐いた。


「……まあ」


「そうだけど」


借りた剣を。


見る。


「…………」


「折れてないし」


「それは」


「本当に」


「よかったな」


「うん」


一拍。


「…………怒られるかな」


「怒られるだろ」


「即答しないでよ」


「亀裂入ってるぞ」


「見えてるよ!」


リーナが。


小さく。


笑った。


俺も。


少しだけ。


笑う。


張り詰めていた。


ものが。


ようやく。


切れた。


*


それでも。


ここは。


深層域。


長く。


休んでは。


いられない。


水を。


飲む。


傷を。


確認する。


俺。


打撲。


細かい。


切り傷。


セリア。


左肩。


剣。


亀裂。


リーナ。


大きな。


怪我は。


ない。


帰れる。


まだ。


帰れる。


「……レン」


セリアが。


地竜を。


見ている。


「どうした?」


「これ」


「持って帰ったら」


「どうかな」


「これ?」


「素材」


その言葉で。


思い出す。


老人の。


言葉。


――持ってこい。


――お前が。


――自分で。


――持ち帰れるものをな。


地竜。


黒い。


甲殻。


巨大な。


爪。


牙。


どれも。


今まで。


見てきた。


素材とは。


違う。


「……分からない」


俺は。


答える。


「俺たちじゃ」


「判断できない」


「うん」


「だから」


地竜を見る。


「持って帰って」


「聞いてみよう」


セリアが。


頷く。


「うん」


「リーナ?」


「……はい」


リーナが。


地竜へ。


近づく。


「気をつけろよ」


「はい」


動かないことを。


確認して。


黒い。


甲殻へ。


手を。


伸ばす。


触れる。


「…………」


目を。


閉じる。


少し。


待つ。


「どうだ?」


「……流れては」


「ないです」


やっぱり。


死んでいる。


「でも」


リーナが。


甲殻へ。


触れたまま。


続ける。


「残ってます」


「何が?」


「魔力が」


目を。


開く。


「すごく」


「濃いです」


「この中に」


「まだ」


「残ってます」


セリアが。


甲殻を見る。


俺も。


見る。


黒い。


鉱石のような。


表面。


その。


内側。


砕けた。


断面には。


僅かに。


青白い。


筋が。


残っている。


戦っていた時。


リーナが。


追っていた。


魔力の。


流れ。


「……これ」


セリアが。


しゃがむ。


砕け落ちた。


甲殻の。


一つを。


持ち上げる。


重い。


「全部は」


「無理だね」


「当たり前だ」


地竜。


一頭。


持って帰れる。


大きさじゃない。


欲張る。


必要も。


ない。


帰ることが。


最優先。


使えるか。


どうかも。


俺たちには。


分からない。


甲殻。


牙。


爪。


持ち帰れる。


もの。


そして。


帰りの。


邪魔に。


ならない。


量。


それだけで。


いい。


セリアが。


もう一度。


甲殻を見る。


「……これなら」


小さく。


呟く。


「どうかな」


答えは。


分からない。


でも。


老人が。


言った。


自分で。


持ち帰れる。


もの。


俺たちは。


深層まで。


来た。


戦った。


そして。


倒した。


だったら。


持って帰る。


答えは。


あの老人に。


聞けばいい。


セリアが。


立ち上がる。


その手には。


亀裂の入った。


借り物の。


剣。


「…………」


じっと。


見る。


「どうした?」


「いや」


セリアが。


少しだけ。


笑った。


「返せそう」


「怒られるとは」


「思うけどな」


「…………」


笑顔が。


消えた。


「それ」


「今」


「言わなくて」


「よくない?」


「事実だろ」


「帰ってから」


「考えたかった……」


リーナが。


また。


小さく。


笑う。


俺も。


地竜を見る。


倒した。


でも。


まだ。


終わりじゃない。


ここは。


深層域。


持ち帰って。


初めて。


俺たちの。


ものになる。


だから。


帰ろう。


三人で。


地上へ。



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