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転生したら最強ジョブだが最凶だった件 ~伝説の【神銃士】になったのに、一発も撃てない~  作者: 蝶野摩矢
鍛冶の街アルト編

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43/68

もう一度、繋ぐ

翌朝。


俺たちは。


すぐには。


ダンジョンへ。


向かわなかった。


昨日。


俺たちは。


第三層の。


さらに奥で。


【深層域】


そこへ続く。


入口を。


見つけた。


でも。


入らなかった。


あの判断は。


間違っていない。


深層域。


第三層より。


さらに。


危険な場所。


何がいるのか。


分からない。


どこまで。


続いているのかも。


分からない。


だから。


行くなら。


今。


できる準備を。


全部。


してからだ。


「水は」


「昨日より」


「多めに」


「持っていこう」


「そうだね」


セリアが。


頷く。


「食料も」


「少し」


「増やした方が」


「いいかも」


「はい」


リーナも。


荷物を。


確認している。


俺も。


腰の剣を。


確かめる。


そして。


ふと。


セリアの腰にある。


剣が。


目に入った。


ドワーフの老人から。


借りた剣。


俺の剣より。


ずっと。


いいものだ。


それでも。


借り物。


セリアのために。


作られた剣じゃない。


「セリア」


「剣は?」


「昨日」


「使ってみて」


「どうだった?」


「うーん」


セリアが。


剣を。


少しだけ。


抜く。


「やっぱり」


「前のより」


「ずっといいよ」


「第三層の魔物にも」


「ちゃんと」


「通ったし」


でも。


少しだけ。


考えて。


「ただ」


「まだ」


「私の剣って」


「感じじゃないかな」


「……そっか」


その時。


「……あの」


リーナが。


口を開いた。


「セリアさん」


「その剣」


「もう一度」


「見せてもらっても」


「いいですか?」


セリアが。


リーナを見る。


それから。


すぐに。


笑った。


「もちろん」


剣を。


鞘ごと。


リーナへ。


渡す。


リーナが。


受け取る。


そして。


ゆっくり。


剣を抜いた。


「…………」


刃に。


指を。


添える。


俺と。


セリアは。


何も言わなかった。


リーナの。


古い短剣。


あれだけは。


少しずつ。


声が。


聞こえるようになっていた。


この剣も。


昨日までとは。


何か。


違うのか。


「…………」


リーナが。


目を閉じる。


しばらく。


何も。


起きない。


それでも。


リーナは。


手を離さない。


そして。


――キィン。


「…………!」


リーナの。


指が。


僅かに。


動いた。


「リーナ?」


「……聞こえました」


小さな。


声。


でも。


はっきりと。


「本当?」


セリアが。


身を乗り出す。


「はい」


リーナが。


剣を見る。


「前より」


「ずっと」


「分かります」


ゆっくり。


指を。


滑らせる。


そして。


ある場所で。


止まった。


「ここ……」


「何かある?」


「はい」


「少しだけ」


「流れが」


「引っかかってます」


その場所。


前に。


ドワーフの老人が。


言っていた。


鍛える時にできた。


小さな。


癖。


あの時のリーナは。


何かがある。


そこまでしか。


分からなかった。


でも。


今は。


「直せそう?」


セリアが。


聞く。


リーナは。


すぐには。


答えなかった。


剣を見る。


自分の手を見る。


それから。


「……やってみます」


もう一度。


剣に。


触れる。


リーナの。


表情が。


変わった。


静かに。


集中する。


「…………」


微かな。


魔力が。


リーナの手から。


剣へ。


流れていく。


俺には。


何をしているのか。


分からない。


でも。


これは。


知っている。


何度も。


見た。


リーナの。


調律。


武器を。


強くする。


力じゃない。


武器と。


使い手。


その二つを。


繋ぐ。


今の使い手が。


扱える範囲で。


その武器の力を。


引き出せるようにする。


そして。


使い手の力が。


武器へ。


ちゃんと。


伝わるようにする。


それが。


調律。


「…………」


長い。


沈黙。


そして。


――キィン。


剣が。


微かに。


鳴った。


リーナが。


目を開ける。


「……できました」


「本当に?」


「多分……」


「多分?」


「久しぶりなので……」


セリアが。


笑う。


「じゃあ」


「試してみる」


剣を。


受け取る。


少し。


離れる。


そして。


振った。


――ヒュン。


一度。


もう一度。


――ヒュッ。


セリアの。


表情が。


変わる。


「……違う」


「どう?」


「軽い……」


「いや」


「違うな」


何度か。


剣を。


振る。


「重さは」


「変わってない」


「はい」


リーナが。


頷く。


「剣そのものが」


「強くなったわけじゃ」


「ないです」


「ただ」


「セリアさんの力が」


「ちゃんと」


「この剣に」


「伝わるように」


「整えました」


セリアが。


剣を見る。


もう一度。


振る。


――ヒュン。


さっきより。


自然に。


刃が。


走る。


「……だから」


「振りやすいんだ」


「はい」


「今の」


「セリアさんが」


「この剣を」


「使いやすいように」


「合わせました」


「……うん」


セリアが。


もう一度。


剣を。


握り直す。


「前より」


「ずっと」


「ついてくる感じがする」


それから。


少しだけ。


笑った。


「でも」


「まだ」


「私の剣って感じでは」


「ないかな」


「…………」


「ごめん」


「悪い意味じゃないよ」


「分かってます」


リーナも。


小さく。


笑う。


「この剣は」


「借り物ですから」


「うん」


セリアが。


剣を。


鞘へ戻す。


そして。


リーナを見る。


「ありがとう」


「…………」


リーナの。


口元が。


ほんの少し。


緩んだ。


「……はい」


でも。


その顔は。


まだ。


何かを。


気にしている。


リーナの。


視線が。


俺へ。


いや。


俺の。


さらに。


奥へ。


俺は。


その意味が。


分かった。


「……神器か」


「…………」


リーナが。


小さく。


頷く。


普通の武器は。


できた。


でも。


あれは。


違う。


今までだって。


ずっと。


違った。


俺は。


何も言わず。


右手を。


前へ。


魔力を。


流した。


青白い。


光。


その中から。


巨大な。


黒い神器が。


姿を現す。


金色の。


装飾。


表面を走る。


見たこともない。


文字。


そして。


【神器情報】


【使用者:レン】


【接続状態:低】


【使用可能弾種:魔力弾】


【装填数:1】


【残弾数:0/1】


ゼロ。


あの日から。


変わっていない。


リーナが。


神器を。


見つめる。


「リーナ」


「無理は」


「しなくていい」


「…………」


「セリアの剣が」


「できただけでも」


「十分――」


「レンさん」


遮られた。


リーナが。


俺を見る。


少し。


怖そうな。


顔。


それでも。


目は。


逸らさなかった。


「神器も」


「やらせてください」


「…………」


「大丈夫か?」


「分かりません」


正直な。


答えだった。


「でも」


リーナが。


自分の手を。


見る。


「やりたいです」


「…………」


「無理は」


「しません」


その言葉に。


俺は。


少しだけ。


驚いた。


前なら。


できるまで。


やります。


そんなことを。


言っていたかもしれない。


自分が。


壊れても。


繋ごうと。


したかもしれない。


でも。


今は。


「分かった」


俺は。


神器を。


構え直した。


「無理だと思ったら」


「すぐやめるぞ」


「はい」


リーナが。


神器へ。


近づく。


そして。


そっと。


手を。


置いた。


「…………」


俺も。


覚えている。


王都で。


この手が。


神器に。


触れていた。


「レンさん」


「はい」


「魔力を」


「流してください」


「分かった」


ゆっくり。


神器へ。


魔力を。


流す。


「…………」


リーナが。


目を閉じる。


少しずつ。


少しずつ。


「……あれ」


「どうした?」


「前と」


「少し」


「違います」


「違う?」


「はい」


リーナが。


神器から。


手を離さないまま。


「レンさんの」


「魔力が」


「前より」


「安定してます」


「俺の?」


「はい」


言われても。


自分じゃ。


分からない。


ただ。


アルトへ来てから。


神器を。


使えない分。


剣を。


振った。


戦った。


魔力だって。


何度も。


使った。


少しは。


俺も。


前へ。


進んでいるのかもしれない。


「そのまま」


「お願いします」


「ああ」


リーナの。


魔力が。


俺の魔力へ。


重なる。


そして。


神器の。


奥へ。


「…………」


長い。


沈黙。


「少し」


「弱くしてください」


「分かった」


魔力を。


落とす。


「もう少し……」


さらに。


少し。


「そこで」


「止めてください」


維持する。


リーナの。


指が。


僅かに。


動いた。


――キィン。


「……一つ」


その声。


聞き覚えが。


あった。


王都で。


何度も。


聞いた。


「繋がったのか?」


「はい」


リーナが。


小さく。


頷く。


「次」


「いきます」


「ああ」


再び。


魔力を。


流す。


一つ。


また。


一つ。


焦らない。


あの時とは。


違う。


敵は。


いない。


誰かが。


時間を。


稼いでいるわけでもない。


リーナの。


鼻から。


血が出ることも。


手が。


震えることも。


ない。


少し疲れれば。


止める。


水を。


飲む。


休む。


そして。


また。


始める。


そうやって。


一つずつ。


――キィン。


「……繋がりました」


また。


一つ。


しばらくして。


「次は」


「少し」


「強くしてください」


俺は。


魔力を。


強める。


「はい」


「そのままです」


――キィン。


さらに。


奥へ。


また。


「レンさん」


「次は――」


その声で。


何となく。


分かった。


さっきと。


同じ。


少し。


強める。


「……これくらいか?」


「…………」


リーナが。


目を。


開いた。


「違ったか?」


「いえ」


少しだけ。


笑った。


「それで」


「合ってます」


「そっか」


俺には。


神器の中なんて。


分からない。


何が。


繋がっているのかも。


どこが。


切れているのかも。


何一つ。


分からない。


でも。


リーナが。


何を求めているのか。


それだけは。


前より。


少し。


分かる。


「続けます」


「ああ」


そして。


さらに。


奥へ。


リーナの。


表情が。


少しずつ。


険しくなる。


「…………」


「どうした?」


「ここからです」


「ここから?」


「前に」


一度。


息を。


吸う。


「私が」


「繋いだ」


「深いところです」


王都で。


リーナが。


限界を。


超えて。


繋いだ場所。


「いけそうか?」


「…………」


リーナは。


すぐには。


答えなかった。


でも。


手を。


離さない。


「やってみます」


魔力を。


重ねる。


ゆっくり。


奥へ。


奥へ。


「…………」


俺には。


何も。


見えない。


ただ。


神器を。


支える。


魔力を。


流す。


それだけ。


「少し」


「弱くしてください」


弱める。


「そのまま……」


リーナが。


探す。


「…………」


長い。


沈黙。


その時。


――キィン。


今までとは。


少し。


違う音。


リーナの。


肩が。


僅かに。


動いた。


「……今」


「どうした?」


「光りました」


「光?」


「はい」


リーナが。


目を閉じたまま。


「ほんの」


「少しだけ」


「奥で」


「神器が」


「光って」


一度。


言葉を。


止める。


「……教えて」


「くれました」


俺には。


何も。


見えなかった。


でも。


リーナには。


見えた。


あの日と。


同じように。


神器が。


道を。


ただ。


「…………」


リーナが。


小さく。


息を。


吐く。


「前とは」


「違います」


「何が?」


「前は」


「もっと」


「はっきり」


「教えてくれました」


「今回は?」


「少しだけです」


それじゃ。


駄目なのか。


そう。


思った。


でも。


リーナは。


神器から。


手を。


離さなかった。


「でも」


その声は。


さっきより。


少しだけ。


強かった。


「大丈夫です」


「分かります」


「今ので」


「十分です」


そして。


リーナの。


魔力が。


動いた。


神器が。


示した。


ほんの。


僅かな。


光。


その先を。


今度は。


リーナ自身が。


探していく。


――キィン。


一つ。


――キィン。


また。


一つ。


「少し」


「強くしてください」


強める。


「はい」


――キィン。


「そのまま」


維持する。


リーナの。


呼吸は。


乱れていない。


手も。


震えていない。


それでも。


額には。


汗が。


滲んでいる。


簡単じゃない。


でも。


前とは。


違う。


「レンさん」


「なんだ?」


「次」


「少しだけ」


「弱く――」


言われる前に。


少し。


落とした。


「…………」


「これくらいか?」


リーナが。


ほんの少し。


笑った。


「はい」


「それで」


「大丈夫です」


そして。


最後。


リーナの。


魔力が。


神器の奥へ。


届く。


「…………」


静かだった。


誰も。


何も。


言わない。


俺も。


セリアも。


ただ。


待った。


やがて。


リーナが。


小さく。


呟いた。


「……見つけた」


次の瞬間。


――キィィィン!!


神器の。


内部を。


青白い。


光が。


一気に。


走った。


「……っ」


俺の腕にも。


その振動が。


伝わる。


そして。


目の前に。


文字が。


浮かんだ。


【外部経路からの接続を確認】


【接続深度――上昇】


【第一術式・魔力弾】


【再装填可能】


「…………」


リーナが。


ゆっくり。


神器から。


手を離した。


倒れない。


膝も。


つかない。


ちゃんと。


そこに。


立っている。


「リーナ」


「…………」


「できたな」


リーナが。


表示を見る。


それから。


自分の手を見る。


「……はい」


小さく。


でも。


はっきりと。


「繋がりました」


その言葉を。


また。


聞けた。


俺は。


神器を見る。


まだ。


終わってない。


【残弾数:0/1】


リーナが。


繋いでくれた。


なら。


ここからは。


俺の仕事だ。


「じゃあ」


神器を。


握り直す。


「今度は」


「俺の番だな」


「はい」


リーナが。


一歩。


下がる。


俺は。


魔力を。


神器へ。


流した。


さっきまでとは。


違う。


今度は。


弾を。


作るために。


魔力を。


集める。


神器の中で。


少しずつ。


形に。


していく。


繋がっている。


リーナが。


繋いだ。


道。


そこを。


俺の魔力が。


通っていく。


そして。


――キィン。


【第一術式・魔力弾】


【魔力弾生成完了】


【残弾数:1/1】


「…………」


一発。


たった。


一発。


でも。


ゼロじゃない。


あの日から。


ずっと。


空だった。


そこに。


もう一度。


一発が。


入った。


「リーナ」


「…………はい」


リーナは。


表示を。


見つめていた。


その目が。


少しだけ。


潤んでいる。


でも。


泣かなかった。


ただ。


自分の手を。


見つめる。


「……私」


小さな。


声。


「また」


「繋げました」


「ああ」


セリアも。


隣で。


笑う。


「ちゃんと」


「戻ってきたね」


「…………」


リーナが。


少し。


黙った。


そして。


首を。


横に振った。


「……違います」


「え?」


「前と」


「同じじゃ」


「ないです」


リーナが。


神器を見る。


「前より」


「少しだけ」


「分かるように」


「なりました」


「…………」


「前は」


「最後まで」


「教えてもらわないと」


「分からなかった」


「でも」


「今日は」


自分の。


手を。


ぎゅっと。


握る。


「少しだけで」


「分かりました」


そう言って。


リーナが。


笑った。


小さな。


笑顔。


でも。


アルトへ来てから。


一番。


自信のある。


笑顔だった。


「私」


「前より」


「少しだけ」


「強くなれました」


「……そっか」


だったら。


言うことは。


一つだ。


「これからも」


「頼りにしてる」


「…………はい!」


その返事は。


今までより。


少しだけ。


大きかった。


セリアの腰には。


調律された。


借り物の剣。


リーナには。


戻ってきた。


調律。


そして。


俺の手には。


一発だけ。


撃てる。


神器。


【残弾数:1/1】


これで。


全部じゃない。


完璧でも。


ない。


それでも。


昨日とは。


違う。


今の俺たちに。


できる準備は。


できた。


なら。


次は。


あの先へ。


【深層域】


俺たちは。


今度こそ。


そこへ。


足を。


踏み入れる。




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