もう一度
あれから。
さらに。
数日。
俺たちは。
同じように。
第一層域。
第二層域。
そして。
第三層域の。
入口。
何度も。
行き来していた。
急がない。
一度。
戻って。
また。
潜る。
倒せる。
魔物でも。
続けて。
戦えば。
疲れる。
剣は。
傷む。
水も。
減る。
それを。
俺たちは。
少しずつ。
覚えていった。
「レン!」
「そっち行った!」
「分かってる!」
走ってくる。
魔物。
俺は。
剣を。
振らない。
一歩。
横へ。
魔物の。
進む先へ。
剣を。
置く。
――ガッ!
魔物が。
止まる。
「今!」
――ザンッ!
横から。
セリアの。
剣。
魔物が。
倒れる。
「……よし」
息を。
吐く。
「今の」
「よかったんじゃない?」
「だろ?」
「前よりは」
「一言」
「余計なんだよ」
セリアが。
笑う。
俺も。
少しだけ。
笑った。
前なら。
自分で。
倒そうとしていた。
今は。
違う。
俺が。
止める。
セリアが。
斬る。
それで。
いい。
後ろを見る。
リーナが。
短剣を。
持っている。
その前には。
小さな。
魔物。
――ザシュッ!
短剣が。
入る。
一撃。
魔物が。
倒れた。
「……ふぅ」
リーナが。
息を。
吐く。
「大丈夫か?」
「はい」
短剣を。
見る。
「まだ」
「この子だけですけど」
そう言って。
少し。
笑う。
リーナの。
調律は。
まだ。
戻っていない。
俺の剣。
セリアの剣。
触れても。
何も。
聞こえない。
神銃も。
同じ。
でも。
あの短剣だけ。
少しずつ。
聞こえるように。
なっていた。
完全じゃない。
それでも。
以前より。
短剣の。
動きが。
良くなっている。
リーナ自身も。
少しずつ。
戦えるように。
なっていた。
「よし」
セリアが。
剣についた。
汚れを。
払う。
「今日は」
「ここまで?」
「いや」
俺は。
前を見る。
石の。
階段。
その先。
第三層域。
「今日は」
「もう少し」
「行ってみよう」
セリアが。
俺を見る。
リーナも。
俺を見る。
「前のところまで?」
「ああ」
俺は。
頷く。
「無理はしない」
「少しでも」
「危ないと思ったら」
「戻る」
「うん」
「はい」
前とは。
違う。
強くなった。
なんて。
まだ。
言えない。
でも。
何が。
足りなかったのか。
少しは。
分かった。
だから。
もう一度。
行ってみる。
◇
第三層域。
空気が。
変わる。
自然に。
削れた。
岩。
そこへ。
混じる。
まっすぐな。
石の壁。
柱。
床。
何度見ても。
変な場所だ。
誰かが。
作った。
それだけは。
分かる。
でも。
何のために。
作ったのか。
分からない。
「右」
リーナが。
地図を見る。
「この先」
「前にも」
「通りました」
「ああ」
覚えている。
ここから。
少し先。
岩みたいな。
皮膚をした。
大きな。
魔物。
前は。
俺の剣が。
ほとんど。
通らなかった。
「来るよ」
セリアが。
剣を。
構える。
低い。
唸り声。
暗い。
通路から。
一体。
出てくる。
大きな。
熊のような。
魔物。
岩みたいな。
皮膚。
前と。
同じ。
俺は。
剣を。
握る。
「俺が」
「引きつける」
「任せた」
魔物が。
走る。
速い。
でも。
一度。
見ている。
真正面から。
斬らない。
剣を。
当てても。
通らない。
だったら。
必要なのは。
倒すことじゃない。
俺へ。
向かせる。
「こっちだ!」
横へ。
走る。
魔物が。
追う。
爪。
下がる。
かわす。
もう一度。
来る。
剣で。
逸らす。
――ガンッ!
重い。
腕が。
痺れる。
でも。
止まらない。
「レン!」
セリアの。
声。
俺は。
横へ。
飛ぶ。
その瞬間。
セリアが。
魔物の。
横へ。
入る。
狙うのは。
前と。
同じ。
脚の。
付け根。
――ザシュッ!
入った。
魔物が。
崩れる。
「もう一回!」
俺が。
反対側へ。
回る。
魔物の。
顔が。
俺を。
追う。
その隙に。
――ザンッ!
セリアの。
剣。
首元。
岩の皮膚の。
隙間。
深く。
入る。
魔物が。
倒れた。
静かに。
なる。
「……倒した」
俺が。
息を。
吐く。
セリアが。
剣を見る。
刃。
また。
少し。
欠けている。
「大丈夫か?」
「まだ」
セリアが。
剣を。
鞘へ。
戻す。
「でも」
「長くは」
「使えないかな」
やっぱり。
この剣じゃ。
セリアの。
力に。
追いついていない。
「……セリアさん」
リーナが。
剣を。
見る。
一瞬。
手が。
動く。
でも。
止まった。
まだ。
聞こえない。
セリアが。
それに。
気づく。
「大丈夫」
「まだ」
「折れてないから」
「……はい」
リーナが。
頷く。
俺たちは。
先へ。
進んだ。
◇
何度か。
魔物と。
戦った。
一体。
二体。
前より。
戦える。
でも。
楽じゃない。
息も。
上がる。
腕も。
重くなる。
だから。
休む。
水を。
飲む。
地図を。
見る。
帰るための。
余力を。
残す。
そして。
「……ここ」
リーナが。
止まった。
俺も。
足を。
止める。
覚えている。
壁。
床。
通路。
そして。
地面に。
残った。
大きな。
傷。
前に。
あいつから。
逃げた。
場所。
俺たち三人では。
まともに。
戦うことすら。
できなかった。
あの。
巨大な。
魔物。
「前は」
「ここで」
「戻ったんだよな」
「戻ったというか」
セリアが。
苦笑する。
「逃げた」
「だけどね」
「……そうだな」
リーナが。
奥を見る。
暗い。
通路。
あの時。
ここから。
先へ。
行く余裕なんて。
なかった。
俺は。
腰の。
剣へ。
触れる。
神器は。
まだ。
撃てない。
リーナも。
完全には。
戻っていない。
セリアの。
剣だって。
万全じゃない。
だから。
勘違いは。
しない。
あの魔物を。
倒せるようになった。
わけじゃない。
「どうする?」
セリアが。
聞く。
俺は。
少し。
考える。
「少しだけ」
「この先を」
「見たい」
「でも」
奥を見る。
「何かいたら」
「すぐ戻る」
「戦わない?」
「ああ」
「今は」
「勝ちに来たんじゃない」
セリアが。
少し。
笑う。
「了解」
「リーナは?」
「行きます」
リーナが。
答える。
短剣を。
握る。
「私も」
「もう少し」
「先を見たいです」
「分かった」
三人で。
進む。
一歩。
また。
一歩。
前に。
逃げた。
場所を。
越える。
それだけ。
なのに。
妙に。
緊張する。
暗い。
通路。
壁には。
古い。
模様。
所々。
欠けている。
さらに。
進む。
その時。
「……待って」
セリアが。
手を。
上げた。
止まる。
「どうした?」
「聞こえない?」
耳を。
澄ます。
「……」
何か。
音。
低い。
一定の。
音。
魔物の。
唸り声じゃない。
――ゴウン。
「何だ?」
――ゴウン。
また。
奥から。
響く。
地面が。
僅かに。
震える。
リーナが。
壁へ。
手を。
触れる。
「……動いてる?」
「何が?」
「分かりません」
リーナが。
首を。
振る。
「でも」
「この奥から」
――ゴウン。
また。
音。
俺たちは。
顔を。
見合わせる。
魔物じゃない。
少なくとも。
俺には。
そう。
聞こえた。
「行く?」
セリアが。
聞く。
俺は。
奥を見る。
気になる。
でも。
今日の。
目的は。
深く。
潜ることじゃない。
「……いや」
首を。
振る。
「今日は」
「ここまでだ」
「いいの?」
「ああ」
「帰れるうちに」
「帰る」
前なら。
気になって。
進んだかもしれない。
でも。
今は。
分かる。
先へ。
進むことだけが。
前へ。
進むことじゃない。
「戻ろう」
「うん」
「はい」
三人で。
来た道を。
戻る。
その途中。
一度だけ。
振り返った。
暗い。
通路。
その。
ずっと。
奥。
――ゴウン。
また。
低い音が。
響いた。
このダンジョンには。
まだ。
俺たちが。
知らないものが。
ある。
でも。
それを見るのは。
今じゃない。
今日は。
前に。
逃げた場所を。
越えた。
それで。
十分だ。
次は。
もう少し。
先へ。
俺たちは。
また。
地上へ。
向かって。
歩き始めた。




