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転生したら最強ジョブだが最凶だった件 ~伝説の【神銃士】になったのに、一発も撃てない~  作者: 蝶野摩矢
鍛冶の街アルト編

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重なる旅路

王都を。


出る朝。


俺と。


リーナは。


大きな門へ向かって。


歩いていた。


背中には。


旅に必要な。


荷物。


腰には。


いつもの剣。


神器は。


呼び出していない。


アルト。


鍛冶の街。


そこに。


神器の手掛かりが。


あるとは限らない。


それでも。


王都で。


これ以上。


同じ記録を。


探し続けるより。


行ってみる。


価値はある。


「リーナ」


「忘れ物」


「ないか?」


「はい」


隣を歩く。


リーナが。


小さく頷く。


「たぶん」


「たぶん?」


「……たぶんです」


「まあ」


「俺も人のこと」


「言えないけど」


リーナが。


少しだけ。


笑った。


王都に来た時とは。


違う。


あの時は。


何が待っているのか。


分からなかった。


今も。


それは。


同じだけど。


少なくとも。


次に向かう場所は。


決まっている。


王都の門が。


見えてきた。


朝だというのに。


人は多い。


荷馬車。


商人。


冒険者。


王都へ入る者。


王都から。


出ていく者。


その間を。


俺たちは。


歩いていく。


「アルトまでは」


「何日くらいでしたっけ?」


「確か――」


「……レン?」


聞き慣れた。


声がした。


「ん?」


足を止める。


振り返る。


そこに。


一人の少女が。


立っていた。


「……セリア?」


旅装だった。


背中には。


荷物。


そして。


その横には。


細長い。


布包み。


あれは。


剣。


でも。


いつもの剣とは。


少し違う。


「二人とも」


「こんな朝早くに」


「どうしたの?」


「いや」


「王都を出ようと」


「思って」


「セリアこそ」


「その格好」


「どこか行くのか?」


「うん」


セリアが。


頷く。


「アルト」


「…………」


「…………」


俺は。


リーナを見る。


リーナも。


俺を見る。


「……アルト?」


「うん」


「鍛冶の街の」


「アルト」


間違いない。


「俺たちも」


「アルトなんだけど」


「……え?」


今度は。


セリアが。


固まった。


「レンたちも?」


「ああ」


「神器の」


「手掛かりが」


「あるかもしれないんだ」


「セリアは?」


そう聞くと。


セリアが。


背負っている。


布包みに。


手を伸ばした。


「剣」


「剣?」


「この前の戦いで」


「折れたでしょ?」


「あ……」


思い出す。


あの戦い。


巨大な魔物を。


俺たちの射線から。


逸らさないために。


セリアは。


何度も。


剣を振った。


そして。


最後には。


その剣が。


折れた。


「王都の鍛冶屋に」


「見てもらったの」


「直すことは」


「できるらしいんだけど」


セリアが。


布包みを見る。


「今の私には」


「もう」


「合ってないみたい」


「合ってない?」


「うん」


少しだけ。


寂しそうに。


でも。


どこか。


嬉しそうに。


セリアが言う。


「私の方が」


「この剣より」


「先に」


「強くなっちゃったんだって」


【上級剣士 Lv.35】


数日前に。


聞いた。


セリアの。


新しいジョブ。


そういうことか。


「それで」


「アルトなら」


「これからの私に」


「ついてこられる剣が」


「見つかるかもしれないって」


「なるほどな」


同じ街。


でも。


理由は。


全く違う。


俺は。


神器のため。


セリアは。


剣のため。


そして。


リーナは――


ちらりと。


隣を見る。


リーナは。


セリアの。


背中にある。


布包みを見ていた。


以前の。


リーナなら。


触れれば。


何かを。


感じたのかもしれない。


今は。


分からない。


何も。


聞こえない。


それでも。


リーナは。


ここにいる。


「……同じですね」


リーナが。


ぽつりと。


言った。


「え?」


「行くところ」


「三人とも」


「同じです」


セリアが。


少しだけ。


笑う。


「そうみたいね」


「だったら」


俺は。


二人を見る。


「一緒に行くか?」


「え?」


セリアが。


俺を見る。


「どうせ」


「同じところに」


「行くんだろ?」


「それなら」


「一緒の方が」


「安全だし」


「……まあ」


セリアが。


少し考える。


「そうね」


「アルトまでなら」


「一緒に行こうかな」


「決まりだな」


リーナも。


小さく。


頷いた。


「よろしくお願いします」


「こちらこそ」


こうして。


俺と。


リーナ。


そして。


セリア。


三人で。


アルトへ。


向かうことになった。


まだ。


誰かが。


仲間になったとか。


そんな。


大げさな話じゃない。


ただ。


目的地が。


同じだっただけ。


だから。


一緒に。


行く。


それだけだった。


この時は。


まだ。


そう思っていた。


俺たちは。


王都の門を。


抜ける。


振り返れば。


巨大な城壁。


この街で。


色々なことがあった。


前任の。


神銃士。


消された。


記録。


王国を。


襲った。


魔物たち。


そして。


二発の。


魔力弾。


分かったことも。


ある。


分からないことは。


それ以上に。


増えた。


だから。


進む。


「レン」


前を歩いていた。


セリアが。


振り返る。


「何してるの?」


「置いてくよ」


「あ」


いつの間にか。


二人は。


少し先へ。


歩いていた。


「今行く」


俺は。


王都から。


視線を外す。


そして。


二人の後を。


追った。


次に向かうのは。


鍛冶の街。


アルト。


俺たち三人の。


新しい旅が。


始まった。

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