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転生したら最強ジョブだが最凶だった件 ~伝説の【神銃士】になったのに、一発も撃てない~  作者: 蝶野摩矢
王国編

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23/68

轟く神銃

 引き金へ。


 指をかける。


 今なら。


 外さない。


 あとは。


 俺が。


 撃つだけだ。


 息を。


 止める。


 巨大な魔物の。


 胸。


 淡い光が。


 集まっていた。


 その中心へ。


 狙いを。


 合わせる。


 もう。


 誰も。


 前を横切らない。


 セリアが。


 カイルが。


 レオンが。


 兵士たちが。


 冒険者たちが。


 作ってくれた。


 たった一本の。


 射線。


 俺は。


 神器へ。


 魔力を流す。


 ――キィィン。


 腕の中で。


 神器が。


 震えた。


 流した魔力が。


 内部を。


 走っていく。


 もっと。


 まだだ。


 この一発で。


 終わらせる。


 さらに。


 魔力を流す。


 神器の奥で。


 光が。


 強くなっていく。


 この一発を。


 外すわけには。


 いかない。


 みんなが。


 そのための道を。


 作ってくれたんだから。


「……撃つ」


 引き金を。


 引いた。


 ――カチッ。


 ――ズドォォォンッ!!


 光が。


 一直線に。


 戦場を貫いた。


 俺と。


 巨大な魔物を繋ぐ。


 たった一本の。


 射線。


 その上を。


 魔力弾が。


 駆け抜ける。


 外さない。


 いや。


 外れるはずがなかった。


 次の瞬間。


 魔力弾が。


 巨大な魔物の。


 胸へ。


 突き刺さった。


 ――ズドンッ!!


 貫いた。


 巨体を。


 その向こうまで。


 一直線に。


 巨大な魔物の身体が。


 大きく。


 仰け反る。


 胸の中心に。


 大きな穴が。


 開いていた。


「……は?」


 声を漏らしたのは。


 レオンだった。


 《天穿槍(レグナス)》を握ったまま。


 撃ち抜かれた巨体を。


 見ている。


「なんだ……」


「今の威力は……」


 神器持ちの。


 レオンが。


 驚いていた。


「なるほどな……」


 レオンが。


 俺の神器を見る。


「これが」


「神銃士の一発か」


 そして。


 少しだけ。


 口元を上げた。


「とんでもないな」


「……これが」


 セリアが。


 呟いた。


「レンの神器……」


 その隣で。


 カイルは。


 何も言わなかった。


 ただ。


 俺の神器を。


 見ていた。


 巨大な魔物が。


 一歩。


 後ろへ。


 よろめく。


 もう一歩。


 そして。


 ゆっくりと。


 巨体が。


 傾いた。


 ――ズズズ……。


 地面へ。


 倒れていく。


 ――ズンッ!!


 地面が。


 大きく。


 揺れた。


 土煙が。


 舞い上がる。


 巨大な魔物は。


 動かない。


 一瞬。


 戦場から。


 音が消えた。


 そして。


「……倒した?」


 誰かが。


 呟いた。


「倒したぞ!」


 別の誰かが。


 叫ぶ。


「神銃士が!」


「やったぞ!」


 兵士たちから。


 声が上がる。


 冒険者たちも。


 武器を掲げた。


 俺は。


 大きく。


 息を吐いた。


 当たった。


 いや。


 違う。


 当てた。


 みんなが。


 作ってくれた。


 あの一瞬に。


 俺は。


 撃った。


【魔力弾・発射完了】


【残弾数:0/1】


 ゼロ。


 でも。


 それでいい。


 あいつを。


 倒せたのなら。


「レンさん!」


 リーナが。


 俺のそばへ。


 駆け寄ってくる。


「やりましたね」


「……ああ」


 俺は。


 頷いた。


「やった」


 やっと。


 肩から。


 力が抜けた。


 その時だった。


 ――ふわり。


「……え?」


 リーナが。


 足を止めた。


 戦場に。


 淡い光が。


 浮かんでいた。


 一つ。


 二つ。


 三つ。


 違う。


 もっと。


 十。


 百。


 戦場の。


 あちこちから。


 光が。


 浮かび上がっていく。


 倒した。


 魔物たち。


 その身体から。


「……まただ」


 さっき。


 見た光。


「レンさん……」


 リーナが。


 巨大な魔物を見る。


 淡い光が。


 流れている。


 一つ。


 また一つ。


 全部。


 同じ場所へ。


 俺たちが。


 倒した。


 巨大な魔物へ。


「……待て」


 光が。


 集まる。


 胸に。


 俺が。


 撃ち抜いた。


 大きな穴。


 その周囲へ。


「それは……」


 淡い光が。


 傷口へ。


 吸い込まれていく。


 肉が。


 動いた。


「……駄目だろ……」


 塞がっていく。


 俺の。


 魔力弾が。


 撃ち抜いた。


 穴が。


 ゆっくりと。


 塞がっていく。


「おい……」


 レオンの声。


「まさか」


 ――ズン。


 巨大な腕が。


 地面を。


 掴んだ。


 歓声が。


 止まる。


 ――ズン。


 もう片方の腕が。


 動く。


「嘘……」


 セリアが。


 呟いた。


 倒したはずの。


 巨大な魔物が。


 身体を。


 起こしていく。


 胸にあった。


 大きな穴は。


 もう。


 ほとんど。


 残っていなかった。


「再生……?」


 カイルが。


 大剣を。


 握り直す。


 違う。


 ただの。


 再生じゃない。


 俺は。


 周囲を見る。


 倒れた魔物から。


 光が。


 次々と。


 巨大な魔物へ。


 流れ込んでいる。


「こいつ……」


「倒れた魔物の力を……」


 集めている。


 だから。


 魔物を倒しても。


 あの光が。


 流れていた。


 そして。


 その力で。


 こいつは。


 戻ってくる。


 巨大な魔物が。


 立ち上がった。


 完全に。


「……そんなの」


 セリアが。


 剣を構える。


「どうやって倒すのよ……」


 俺は。


 神器を見る。


【残弾数:0/1】


 ない。


 さっきまで。


 確かにあった。


 一発。


 もう。


 ない。


「レン」


 レオンが。


 前へ出た。


「下がってろ」


「レオン?」


「お前の一発は」


「ちゃんと効いた」


 《天穿槍(レグナス)》を。


 構える。


「なら」


「壊し切ればいい」


 槍を走っていた。


 金と赤の光が。


 強くなる。


 さっきまでとは。


 違う。


「レオン……」


「第一術式だけが」


「神器じゃない」


 レオンが。


 一歩。


 踏み込んだ。


「第二術式――」


 空気が。


 震えた。


 槍の先へ。


 光が。


 集まっていく。


 巨大な魔物が。


 レオンへ。


 腕を振り下ろす。


 でも。


 レオンは。


 退かなかった。


「《穿界(センカイ)》!」


 ――轟ッ!!


 さっきの。


 《閃牙(センガ)》とは。


 違う。


 光が。


 巨大な槍のように。


 戦場を。


 貫いた。


 巨大な魔物の腕が。


 弾け飛ぶ。


 そのまま。


 光は。


 肩を。


 胸を。


 大きく。


 抉った。


「すご……」


 思わず。


 声が出る。


 これが。


 普通に。


 神器を使える。


 神槍士。


 その力。


 巨大な魔物が。


 大きく。


 後ろへ倒れる。


「どうだ!」


 レオンが。


 槍を構えたまま。


 叫ぶ。


 身体の。


 かなりの部分を。


 破壊した。


 これなら。


 今度こそ。


 でも。


 ――ふわり。


「……また」


 淡い光が。


 集まり始めた。


「くそっ!」


 レオンが。


 槍を握る。


 戦場中から。


 光が。


 流れてくる。


 弾け飛んだ。


 腕へ。


 抉られた。


 胸へ。


 光が。


 吸い込まれていく。


 少しずつ。


 形が。


 戻っていく。


「……冗談だろ」


 レオンが。


 呟いた。


 神槍士の。


 第二術式。


 それでも。


 倒せない。


 いや。


 倒しても。


 戻ってくる。


 巨大な魔物の。


 腕が。


 再び。


 形を取り始める。


 俺は。


 神器を見る。


【残弾数:0/1】


 ゼロ。


 もう一度。


 見る。


【残弾数:0/1】


 変わらない。


 当然だ。


 一発しか。


 なかったんだから。


 全員が。


 俺のために。


 射線を作った。


 俺も。


 外さなかった。


 完璧に。


 当てた。


 倒した。


 それでも。


 足りなかった。


「……くそ」


 神器を。


 握る。


 撃てない。


 今。


 撃ちたい。


 今度こそ。


 もう一度。


 あいつを。


 撃ち抜きたい。


 なのに。


 ない。


 弾が。


 ない。


 初めて。


 神器を。


 撃てなかった時とは。


 違う。


 あの時は。


 どうすれば。


 撃てるのかすら。


 分からなかった。


 今は。


 撃てる。


 撃てることを。


 知っている。


 この神器が。


 どれだけの力を。


 持っているのかも。


 知っている。


 だからこそ。


 余計に。


 苦しかった。


 撃てるのに。


 今は。


 撃てない。


 ない。


 もう。


 俺には。


 撃てる弾が。


 ない。


「レンさん」


 声がした。


 隣。


 リーナだった。


 巨大な魔物を。


 見ている。


 いや。


 違う。


 リーナが。


 見ていたのは。


 俺の神器だった。


「……リーナ?」


 リーナが。


 一歩。


 近づく。


 そして。


 神器へ。


 手を伸ばした。


「私が」


 その手が。


 神器へ。


 触れる。


 ――キィン。


 小さな。


 音。


 リーナが。


 目を閉じる。


 ほんの少し。


 苦しそうに。


 眉を寄せた。


 それでも。


 手を。


 離さない。


 やがて。


 目を開く。


 俺を見る。


 そこに。


 迷いは。


 なかった。


「私が」


「もう一度」


 はっきりと。


 リーナは。


 言った。


「繋げます」


 俺は。


 何も。


 言えなかった。


「もう一発」


 リーナの手が。


 俺の神器を。


 強く。


 握る。


「撃てるようにします」

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