EP87 一方通行
残った者達で別れ、宇木やじじいは戦闘、灰嶋は計画進行で役割に分かれた。
「さぁ!俺の固有結界内部にて、穿たれて死んでくれ!」
銅閣の固有結界、その領域内部は歪み、負の曲率に歪んでおり、無限に広い空間が出現する。
その空間の中心が奴の居場所、その場だけが例外的に公理から外れた開きが有る、まるで風船の口部分とでも呼ぶべき一部だけ開いた領域。
「あはははは!なんだこれ!意味わかんな〜い♪」
中心部から外界、その領域は常時増築されて居て、メンガーのスポンジやその他有限が無限を占めるような構造物が全て展開される。
術者の術中、領域内部に侵入した時点で上下前後左右斜めあらゆる角度で人間が把握可能な方向感覚の全てが存在しなくなり、そして更に重力が四方八方に散らされている、術中者自体と環境由来のもの。
そしてゲームマップみたいに右端を通り抜けたらマップ左端に出てくると言う立体視したらドーナツ型のゲーム盤面に成ると言う構造の様なものがある。
有る点、それは量子電磁転送装置を原理としたポインター、点だ、その点に触れると感覚は行動を真逆に言ってしまう様になる、歩こうとしたら左足が後ろに下がったり、敵を殴ろうとしたら自分を殴ったり、だ。
「やべぇわこれ、集団戦は不利になる」
そうだ、その上にこれは変数の様なものだ、マッピングなど出来ない、何せ、中心部の銅閣は部屋を高速で動かし、相手のバランスを崩したり、移動を制限したりして攻撃することが出来るからだ。
より精密に空間を制御し、部屋を回転・反転も可能、部屋を右に回転、左に回転、上下に反転、前後に反転、自由自在、任意で部屋の構成を組み替えたり、対象者を瞬時に特定の場所へ転送・招集・追放したり。
部屋の配置、重力の方向(床が壁や天井になる)、建物の増殖などを瞬時に書き換えることも可能、もはやその領域は。
「ギミックの地獄」
「我が固有結界の領域階層は銀閣と金閣の野郎より劣るぞ、この程度で着いて来れない奴らに、御前様に挑む資格はねぇ!」
意識だけを幽体離脱状態にし、ギミックのものに入り込み自由に操ることで更に害悪度が増す、様々な進路妨害をし、入口をふさぐ、床に穴を開け、壁を動かし、そして。
「やっと見つけたぞ、銅閣!」
「ニヒィ♪核が動かないと思ったか?」
パチン。
「は?」
そう、見つけても、攻撃は加えられない、まさに。
「無敵」
その上に奴は特殊なルールを付け足した矢を持つ。
「一時的に空間内の因果外に出て、発射される矢は、空間そのものを貫くほどに強い、俺の固有結界の一部を破る程強力な弓矢だ」
それは発射されるや否や、周りの空間ごと相手が存在する空間そのもの穿ち、距離の概念を無視する、因みに距離の概念の貫通は光速を超えた速度に比例するぞ、弦を引くのにそこそこ時間が要るぞ。
「これぞ例外に構築されしルール!《一本なら簡単に折れて、三本なら簡単には折れないなら無限本なら絶対に折れないよなぁ!》だ!」
そんな状況で宇木壮一は。
「あぁ〜はいはい、なるほどね、死ね」
「は?」
ドガァーン!次元すら貫く弓矢を、一撃で粉砕しやがった!その上で。
「本当に貫くってのはよぉ!」
ゾクゾク、この広大な空間内全域がただ1人の圧力に圧壊寸前と化す。
「こうやってやんだよ!」
ドガァーーーン!!!固有結界が捩れちぎれるほどの破壊力の突きは距離を無視、パリィン!
「は?(ふざっけんな!質量や位置すらまだ特定できてない、見てもいないこの状況で!?意味がわからな)」
キィン、ドバァァァン!
「分からぬのならば見なければ良い、存在が有る、それだけを知っているならば充分だ、固有結界内の生命を2人だけにして俺を除く1名を何も知ることなく破壊するだけなのだから」
ビビッビーン、、、固有結界、膜が開いていく、、、。
「助かったぞい、、、どうやって倒したんじゃ」
「適応する時間が勿体無いからな、まぁ力業だよ、100力業」
「、、、はぁ(固有結界で力業?あり得ないな、それにこやつなら適応して加速、繰り返し加速、核の制御に間に合わなくなるほど加速して倒せたろうに、数秒でな、そもそも力業自体が自論の公理に対して絶対遵守は確実、何故ならば自己矛盾から固有結界が綻び、弱体化し、自壊してしまうからだ、それは我々も同様で固有結界内で矛盾した行動は相手に有利に働く、、、あの弓矢、たった1度受けて何かを掴み、それを利用して多次元的な攻撃を仕掛けたんじゃろうか?)」
「ジジィ、推論なんざ要らねえ」
「おっとすまん顔に出てたかの?」
「読心術くらい使えんだろお前も」
「ふぉふぉふぉ、そう恥ずかしがるでないわい」
「速く進むぞ、と言いたいがやつと同じく未知領域だ、先に俺が行」
「ダメじゃ、老耄が先に行くぞい」
「あ、あぁ、死ぬなよ、分かったか」
「、、、あぁ」
こうしてジジイだけがゲートを開き先に進んだ。
「我が空間へようこそ、いやはや、あいつを倒してやってくるとはさぼれんじゃないか、まぁ速く終わらせたりますわ」
「速くだと?このワシをか?、、、(ん、消えた)」
「即死だよ、ばーか」
「領域内部では外部と違い座標特定はなし、感知可能、必中可能範囲だ、お前らは詰んだんだよ」
入れば最後ルールすら使ってはくれない、基礎となるのは量子電磁転送装置を原理により対象内部に爆弾を捩じ込んだ内部爆破。
死を奏でる公理、それはアラジアと呼ばれるとある領域にて発見されたもの、この場所はイスラム圏付近に実在する神秘的なクリスタルに満ちる空間が在り、その洞窟は、中に入ると空間内の点の数は不可算無限程度。
そこは死の空間、イスラム圏に居る結界術師が数万人で集まり、結界術により空間を制御、なんとか中和など成功した。
金閣の技術に一部が接続状態、生きとし生けるものすべてに死を与え、またその過去現在未来の事象を織ったりと色々と可能。
また過去にゲートを渡った際に、平行世界と時間軸に生きたすべての人が死亡した事例が報告されており、あらゆる事象、現象に適応・無効化すると言う捻曲値の過剰なものの術式の概念を無視して適応できないまま死んだ。
人生目的論的で老衰のない筈の不死者、無機物、高度治療院で細胞一粒からでも回復できるヒーリングポーションを常時投薬されていた患者は治癒が停止して死亡、肉体を分解、意識だけになって居て肉体を再構築しようとした光速移動時の再構築が破棄されて復活できず意識の保護が外れて死亡したし勿論他者への意識の転送もできなかった。
固有結界中に成立していたゾンビの様な既に死亡している不死身は身体が瓦解して死んだ、霊的存在として、意識や霊魂なども払われた、また理を実体にした術者の死以外に生死に囚われない概念的存在は存在が抹消されて死亡した、多次元に由来して地球にアバターを投影して操って居た死に得る場所から隔絶したものですらアバター越しにゲームプレイヤーが死んだ。
そんなアラジアの公理を流用し、更に効果を倍増した空間、多重に折り重なった死が襲い来る絶望の部屋。
「不死も何も関係ない死、全ての運命が行き着く先に死と言う現象が有る、その死の現象を操る、それがこの俺銀閣の固有結界って訳」
自分が危険と判断したものと領域に元々指定していたものを識別、感知して任意の空間操作可能・または自動的に排斥、成立を片方に縛り存在することを拒否する、つまり可能を不可能に変換することで相手に存在不可と言う死を与える。
「さぁ、来いよ、屑肉共、お前らは死ぬしかないんだよ!」
瞬間、螺旋状の何かがジジイを締め上げる。
「これは死の螺旋、1度目の死が発動してから相手が死ななければ悪い死とし反省、更に良い致命的な効果が書き加えられて改善し2度めの死へと点火される、この次が繰り返し続ける、まさに真の無限の如くだ!そしてその螺旋は加速し続け!」
ビジュンビジュンビジュン!一つの円と化した。
「そう、これこそが本懐だ、閉じて変化無き頂き、山頂だ、死の結論そのものだ!」
シュン!即死の攻撃がジジイを襲った、、、だが。
「この老耄に、この浮き輪程度の死が効くとでも?」
「ッッッ!(馬鹿な、死の概念に実体を持たせてそれを押し固めた死そのもの、死と言う現象を、握りつぶしやがった!?そんな芸当が金閣や御前様以外に出来たってのか!?)」
「私は老衰でぽっくり死ぬつもりじゃ、信念じゃ、分かるか?後天的要因の死が、産まれてから脈々と積み上げたもんに勝つことなど、アリがクジラを運ぶに等しき不可能性じゃ、後から出てきたポットでの死因が、この老耄をあの世に連れされるだなどと、余りにも甘い現実じゃわい」
ガシ!
「うぎゃあ!?」
「さぁ、死ぬがよい」
、、、。
「さぁ、いくぞい」
「マジかジジイ、まさか1人で?」
「ふぉふぉふぉ、相性が良かっただけじゃ」
「ずるいなぁ、、、なら次は俺だ」
こうして宇木が二つめの門をこじ開けた。
「へ〜、、、良いねシンプルって奴だ」
金閣の固有結界、それは。
「操作卓起動、さぁ楽しもうか」
因果律上すべての連続する全事象を入力・出力程度に操作可能な操作卓。
「俺は銀閣の空間を超えられるものを待っていた、やっとだ、やっと殺しがいがありそうなもんが来てくれた」
武術は極零流、その精神は時間を超え広がり歴史に跨りすべてを見て統一する、二項対立と統合による進歩の繰り返し自体から超越した域。
「楽しませてくれ、俺を」
ピィン!コンソールを使い、宇木壮一の存在価値や存在証明その手法や技法諸々の手段を網羅的に消し去る、存在自体の否定。
可能性からの逸脱、それは正しく絶対的無で在る虚空に還ると言う観点から見て最も円滑な破壊手段と言えるだろう。
「生きてるか?、、、」
不可逆的な再起不能の状態に、霊魂だけで虚空を漂い自己を再構築しようとしたが因果律や概念、存在していない事をあらゆる可能性越しに否定したがそれでも顕現ができなかった。
だが、なんて織り込み済みである、否定された潜在的な死後世界を否定(否定を否定して裏返しで高度な肯定を行う感覚)して死にながら生存(死者として生きる)、そうしてその場に未完成な半顕在が出来た、その場所から虚数空間越しで実数空間の線上全域にアクセス、負的時間に時間の流れを進めて(逆順)。
因果律の一部を書き換えて自己を殺害したあらゆる方法(手法)を逆手に取り(逆説的手法を用いる)今まで死んでいたことにして今産まれたことにした(終末を生誕に変換した)そうして完全な自己再生に成功する。
「ふむ、我は貴様を過去、現在、そして未来からも完全消滅して復活不可にした筈、どうやったんだ?」
「過去を完全に死んだことにすることで因果が結果へ、また因果へと流れる性質上、過去が死である以上、現在は誕生、続編の未来も人生の延長な訳だ、分かるか?お前が俺の平行したバージョンや過去から未来をぶち殺そうが俺は死なねぇんだよ、今までの俺及びお前の主観だったあらゆる可能性ってのは言わば手に取って取れる範疇、理解可能な有限だった、無限の可能性や抽象概念は、俺様を世界から手放したく無い様だぜ間抜け野郎が」
因果律を支配する技術や力は”ほぼ”全能で在る、え?なんで”ほぼ”かって?あぁ決まってるじゃないか、全能には逆説は付き物だろう?
「全能は、その全能で在ると言う理に縛られている、ならばその理を超えた外側にどう対処する?」
「ッッッ!?」
これほどまでに格の高い金閣がビクつく、当たり前のことだ、喩えるならそれは無双していた主人公を指一本で叩き潰した存在を前にしてるようなものなのだから、それは途轍もない恐怖だろう。
宇木壮一は、時間と生死の概念の呪縛から解き放たれた完全なる永劫不滅、時間を超えてる存在ってことなのだから。
「死ね!死ね死ね死ね?あれ!?居ない!?」
「一部偏在って形で人は線上の中で切れたり切れなかったりの可能性が在る、お前は時間に偏在してって一旦細かい事は抜きにしてそのような時間、その時間軸あるいは時間次元、時間概念の誕生原因を因果律が握る、二つは深い関わりで有りって、長々しく語るのはだるいな、お前は因果律を利用している、その因果律から俺の時間と運命の行き着く先まで観測していた、だがお前の便利な因果律はもう機能しない、何故か分かるか?」
「観測対象が座標からズレた、、、(因果律と言う事象の連続から見えなく成る?離散したってのか?)原因と結果の法則から逸脱した無原因から生じる結果がお前、今や存在の格も質も強度も貴様の方が完全に格上、そう言いたいのか」
「あぁ、お前が絶対だと信じて見つめているその配線は、俺という存在を通っていない、空っぽの回路に電気を送って何が楽しい」
ドガァーン!その肉体は始祖が至るものすら背の順して前ならえしたら自分より前にくる領域、時間内部の全歴史などあくまで絶対精神のもの、繰り返す発展の歴史のすべてだ、その時間自体、そして因果律と言う時間自体の枠を飛び出したそれは正しく万物を永遠と流出する現実の領域に至る。
「はぁ〜つまらない、分かっていたことだがやはり足りんな」
「ふぉふぉふぉ」
「(あの男もお爺様も強過ぎる!)」
こうして御前三重塔、完全攻略!




