EP59 強い者の周りには強い者が集う
「岡崎流伝統派空手、正拳突き百連」
最適化されたフォーム、脱力した握り込み、軽やかな足の踏み、中〜至近距離で伸ばし切らない正拳突きのラッシュ、秒間に100発の正拳突きを繰り出す音速技。
岡崎流伝統派空手、一般的な空手から派生した流派であるが故にフルコンタクトより”押せ!押せ!”と言うものでは無く和・柔を主とした技術群、後の先を極め、回し受けや腰しの旋回など、円運動、回転を重んじ、軽やかさや連打なんかが攻撃技術の売りに出る。
「師匠の場合、1秒に片腕だけで1000発放つ技を使います!まだまだ私は未熟だぁ!」
師匠岡崎氏の拳速は人間のものでは無い、リプレイ検証が行われた際、スロー再生、見えない、スーパースロー再生、一切見えない、スロー再生の重ね掛け、まだまだ見えない、要約スーパースロー再生の重ね掛けをすることで一発が肩から軌道を予測して放たれる場所を一点凝縮していてそこまでして算出された拳速が0.001秒(1ミリ秒)間の間にフルストレートがようやく確認された、ここから数多のスロー再生を解除し続けて等速に0.0001秒、0.00001秒、、、っと成ると考えると恐ろしいもので有る。
「ほぉ〜アチョチョチョ」
ダダダダダダン!!!
「だからなんだぁ!軽すぎだぜ、重さがねぇ」
「な!?馬鹿な!神経系、リンパにインパクトを与えたはず」
「嶌泉流喧嘩空手を舐めるなぁ!喰らいやがれ!破防徒手!」
当たると分かっても避けられない気の消失した状態から、文字通り地が揺れる程の震脚から繰り出される防御不能の打撃技、余りのパワーに人間のどのような防御を持ってしても防げない事から、”あらゆる防御を貫く”と呼ばれる。
空手の段位は初段から十段階に分けられて居る、だが嶌泉流の喧嘩空手に段位は存在しない、この流派は喧嘩の様々な状況に応じた多彩さを持つ実戦特化の武術で有り、フルコンタクトにおいて禁止されて居る部位、顔や喉、金的など人柱等々への肘・膝を対象とする攻撃技を良しとする、喧嘩殺法・殺人拳法染みた極真空手のようなものとして見ると捉え易い。
「はぁ!っむ!?羽、落ち葉、いや違う、当たってるのに当たってないようだ!空振って居るが如し、霧を殴ったが如し柔軟な受けと円による流し、、、気持ち悪ぃ」
ダメージを抑える技術は多岐に渡る、その中でも攻撃を身体に当てさせない為に腕や足など身体の部位を当ててインパクトを軽減する完全な受け身、そして受け流しで有る、受け流しとはそのなの通り受けて流すもの。
それは受けても良いからと受け耐える技術ではなくどちらで有るのか定むるならば回避に近い技術である、攻撃を空振させたが如くインパクトを透過、離散させたのだ。
「な!?黙れぇい!」
バン!ボキィ。
「痛った!こ、拳が潰れた!手首も外れたッッッ」
「やっぱりお前、軽ぃわ」
《額受ケ》、防御技術、戦術、主に打撃技の際に使用されるもので、威力が最大になる前に額を当てに行くことで衝撃のピークをずらし、頭蓋骨でももっとも強力だとされる額を差し出して受ける、タイミングや頑丈さ(骨密度)を利用した技術、鍛えなければ目や鼻で受けて逆に喰らったり、ボクサーのパンチなら首が圧し折れたり額が砕かれたりする可能性があったりと一気に詰めて攻撃を繰り出す時以外では使い所が悩まれる。
「ふご!?」
バゴーン!体軸の芯に対して打撃を放つことで円柱、球、円柱、人体の幾何学的に見た際にそこは”円柱”だが人体とはより複雑、不自由なもの、円柱だって上手く回れば流せるもの、だがしかし皮膚、関節はそんなに軽く回せるものでは無いのだ。
腹部の体軸に対する打撃が決め手となった、はずだった。
「舐めるなぁ!」
「な!?背筋が膨張している?まさか貴様中国武術を!?」
「これは柔軟性×回転ダァァァ!喰らえ岡崎流旋回足刀!」
プロレスのソバットやテコンドーのティチャギのような回し蹴りを相手から受けて、足を手刀のように固めて放つより殺傷能力に優れた蹴り技。
「うは!?刺さっっっざけるなぁ!っぷ、なんてな」
「なに!?は!?凹んでるが、切れてない!?うぉ!?」
足を掴み上げられる、そして。
「嶌泉流のコンボを、その身その心そして魂に刻み込めぃ!」
瞬間、低姿勢の足払いローキックで重心を崩してから、高く足を上げ相手の頭上からカカトを叩きつける!
「うがぁ!」
そのまま二回!三回と踵を叩きつける!クレーター中心に上半身が陥没する奴に向けて放たれる攻撃のラッシュ!左右左右、右左右左と言う四拍子の高速の打撃な十連と飛ぶ!
「ウガァァァ!」
下半身を破壊すると同時、足を引っ掴み宙に投げ、下半身抵抗不能のやつの両足を掴みバゴーン!後頭部から叩き付ける。
「テメェの負けだァ!」
電光石火の如し踏み込んだアッパーを真上向きに突き上げるようにして放ち奴を宙に浮かせてから。
「あ、あぁぁ、、、」
「額爆ぜとけや」
バゴーン!襟元を掴んだ頭突き、まるで力士のどつきあいだ、あたりの骨密度の違い、直撃したならばそれは子供がトラックに轢かれるようなレベルの差だ、グシャっと当然頭蓋骨はペシャンコで有る。
「、、、」
声すら上げない、ではない、心肺停止するまで壊す、文字通り息の根を停める必殺の技、これこそが。
「嶌泉流のコンボに生は無し!」
すると影から見慣れた人影が。
「アカンアカン、アンタ東村譲君の為に空手家探して情報収集してってん何を殺しとんねん」
カチャッシュー!可燃性のものを含んだスプレーとライターを使った簡易ガスバーナー。
「喰らいやがれ!ヒャッハー!」
最近は豹爪もまた手加減をする、工作だけで戦っている、だがしかし、パンチの風圧でガス、火炎を吹き飛ばした!
「うぉ、やるやん君」
だが、それは大きく動いているが違う!運動量や熱量や電気量などあらゆる種類の物理量を操る、その力の向き(ベクトル)に指向性を持たせて発射、なんとカウンターに利用しやがった!
「ウギャァァァ!スプレーに混ぜた白リンや可燃性ガスの混ざった火炎の嵐ぐぁ!?」
「ふしゅ〜、、、空手に先手なし、先の先、先の後、後の先、後の後、まぁ後の先とか後の後とかは戦術やしあれか、まぁなんだ、いつでも来るといい!」
「映像写しとったるわ、ならば、ハァ!!!」
手加減しながらも豹爪は技を使う、虚実を利用した、いつ来るか分かっても避けられない虚の打撃を実の打撃で物理的に隠蔽して打撃を打ち込む虚実山突き。
バン!その完成系の三戦の構えは、打撃系の技術、それ以外の系統の技術もそう、あらゆる物理系の属性のダメージを無効(完全軽減)にする、何で攻撃を与えられないのか分からない、そんな敵からしたら不可視の防御障壁とも言える三戦。
「えぇやん♪、カット編集して技を東村君に教えたる」
「我を舐めてるな?はぁぁぁ」
そいつは、あらゆる物質の弱点を顕微鏡レベルで見抜くことができる、比喩ではない、眼球、視神経一式が顕微鏡に等しい視力、分解能を持っているのだ、物質の芯も構造的欠陥を見抜く洞察力も凄まじいが機能も凄まじい訳。
「(あっかん、思ってたより強いわ、爆弾ばっか使って鈍って、鍛えもせんと手加減で工作して、倒せっかな、死にはしないが、傷は嫌だなぁ)ほらよ」
計算され尽くした起動は間接的干渉を考える、牙山の様に気のレベルで考えはしないと仮定して工作ピストルと少し特殊な弾を弾く。
だがしかし。
「ふん!」
学自体は無いが知識・経験が刻み込まれているのだ、考える前に肉体が動き出し、跳弾を狙ったとか意図の無い流れ弾のような残留思念すら宿らないものもすら回避してしまう。
「(消えた?)」
豹爪は牙山に教えて貰った影潜を完璧じゃないが擬似影潜、劣化版を使う。
「「(自分にとって良い得点を取るために個人がどのように動くか、、、決めた、作戦はこうだ!)」
豹爪の攻撃戦術は、隠して居た両手剣(工作)を使うこと。
瞬間、影を縫うようにして二つの剣先が現れた、だがしかし。
ガギーン!
「ふむ(軌道は完璧な筈、夜目が効くタイプか、或いは嗅覚でってまぁ兎も角感覚で捉えられているようだな)」
だってこの空手家、目隠し状態でも正確に反応し、鼓動や匂いで敵を察知し、殺意がなくても、思考を介さない純粋な本能で行動可能なんだもの、それに。
「剣筋は素晴らしい、命を最短ルートで刈り取るものとして完成されている、だが俺の方が強い」
その空手家もまた考える、相手(豹爪)からの失点を防ぎ、自分への直撃と間合いを守るにはっと、その防御戦術はサンチンを主軸とした迎撃、兎に角感じたら打つ、暴力的だが反射神経まで染み付いた空手ならば、オートガードの様に出来るから其方も強引かも知れないが強い。
気配も匂いも音もなく忍び寄る姿形の見えぬものを感知することができる。
「ウグァァァ!」
これは肉体の無意識、心音、匂い、殺気など、視覚に頼らない情報収集により、ステルス能力を持つ敵や目隠し状態でも完璧に立ち回る。
「(東村君には良いお見上げになりそうだ)」
目の話に戻るが、これによって本来破壊不可能なはずの物質や、自分より遥かに強力な敵にすらダメージを与えられる、自然現象にすら対抗し得る。
そう、壊せないものを壊せるように、経絡(圧力点)や神経を突くことで、相手の防御力を無効化して勝利することが可能、だがしかし。
「オラァ!ッチ(やはりこいつ、神経系も極めておるか、厄介な)」
本来ならパァン!と鳴り、相手を一撃で瓦解させる、筈だが、豹爪にはそれを防げる術が有るのだ。
「はぁ!」
経絡だけじゃなく広範囲に拡散するインパクトも出す!ドガァァァン!クレーターは約30〜40坪つまり平均的な家レベルにまで抉る!だが耐える。
「火傷の方が痛いぞ!」
火傷の全身重傷を負っても戦闘を継続できる豹爪の精神力、そして回復力は異常、だが空手家も精神力は強い。
「負けること、即ち切腹確定!」
だが豹爪、秒読みで相手の動きを一歩先読みし、相手の力や勢いを利用して攻撃をリダイレクト(受け流し・反射)する。
「俺の重心が!(あらぁ?地め)ふぎゃ!」
バン!空手家は地面に減り込む。
「譲君、これは自分より数百倍速い敵も、自分より数千倍重い相手も、そのすべての勢いを利用して、相手を投げ飛ばすカウンター技術だ」
バゴーン!土が宙を舞う、空手家は豹爪に向かって行く。
「舐めるなぁ!」
「はぁ!」
技を使わずとも強い、自然現象が来る時制御に操るには力量が居る、その拳が切り開く前方、眼前の雲群が一瞬にして吹き飛ぶ、それにより現れる蒼穹は何とも美しいものであった。
「我が空手、カラのテと書いて空手、我が持つのは我の手のみ、我が握るは手のひらのみ」
、、、。
「(あれ?なんだこれ)」
「今のパンチ凄かったな、譲君!君はこれより強くなるんだよ」
思い込み、イメージの誤魔化し、、、空手家は。
「あぁ」
「じゃあね」
ドチャ!空手家は自分が勝った、そんな都合の良い幻覚を見て、散った、、、福山市のとある施設。
「東村君、撮影した動画の技術は」
映像編集者にカットや編集をしてもらい見やすくしたものを東村は学習したのだった。




