EP29 底辺からの成り上がり4
早速で牙山に修行が付けられることになった、自意識過剰者、彼は真面目だった、師匠を思い出すくらいに。
「やっぱり強い人は初めからは派手な技は使わないんですね」
「強い人?分野とかにもよるだろうし戦術次第だな、初見殺しで必殺技連打も有り得る」
様々な武術にも見られる名もないし付けられても名乗り挙げるような程でもない、小手先の小技とでも呼ばれるようなものを打撃や蹴りの合間に繋がるように放ち続ける、牙山目線ではなんで息が切れないか、バテ無いのか不思議なくらいだった、美しいと言ってしまうほど合理的かつ効率的に身体を動かしているんだ、機能美、突き詰めた機能美はここまで美しいものなのかと牙山は思った。
牙山に対して攻防しながら持論を展開する。
「人間は目では追えない、思考すら追い付かない、そんな存在を非科学的だと断ずるよね、君らの瞳が僕の拳を捉えられないだけだって言うのに、狂気の内に希望を持つからそれが正常に紡がれるか恐怖し、堕ちればそれは絶望に辿り着きます」
「は、はい(余りよく分からない)うぉっ(実力は間違いなく本物、速いッッッ)」
「あなた方が思考して〜意識して〜、そんなに長々と、1秒、0.1秒、0.01秒、0.001秒、0.0001秒、、、と贅沢な時間を費やす、そんな時間すら与えてもらえるとツケ思い上がりやがるなよ、喰らえ」
「不味いッッッ」
震え上がる、防衛本能が死をキャッチした、牙山はゾーンを使い、空手家の要領から気を察知して相手の套路を見た、その攻撃意思の指向性は。
「は?」
気の残像が浮かび上がるそれは、角度、軌道、技が違う無数の打撃が套路に捉えられる、ゾーンを使って思考速度を限界まで引き上げてもそれは。
「瞬きすら、君の網膜が光を捉える反応すら、この速度の前では鈍重な停滞だ。神経を伝う電気信号が脳に届くより早く!」
「ウバババババババババ!!?(なん!?)」
“視界に入れて追跡すること”も“軌道を逸らすこと”も”受け流すこと”も”身を躱すこと”も”防ぐことも”も”迎撃・反撃の余地”も余すことなく残さない、希望を抱くことすら許されない。
「(穴空いた!?貫通!?してない?)」
身体に風穴を開けられた、そう牙山すら錯覚する連撃が襲い来たと、余波にすら当たれない、当たったら肉体を部位ごと掘削されてしまう。
「はぁ、はぁ、はぁ、ありがとう、寸止めで助かりました」
「貴方なら余波くらいは避けられると思ってました」
戦いでこれを使うと人は原型を留めず霧と化すが故に《赤霧》と、そう言う技目が付いた、するとスパァン!デコピンが弾ける。
「ウゴァ!?いきなり何を!神谷さん!」
その時神谷は説教を始めた。
「全てを有ると考えろ、無いものを無いと断ずることしか出来ぬ科学に、有り得ない”こと”は有り得ない、存在しないって”こと”が存在しないって分かってる奴じゃなきゃ、俺には勝てねぇよ」
「!!!」
「そこから導けるのは全ては存在する可能性があるだな?だが違う、その逆の不可能性も見て否定しろ、全ての不可能性が存在しない事を証明しろ、お前が俺に勝つって不可能性を否定して、俺に勝ってみろ!」
「勝って貴方に僕を魅せます!」
「その心意気や良しっ!」
神谷との特訓にて脊髄反射にまで刷り込むまでに鍛錬をする、その時に何かに気づき始めた牙山は実践、つまり暴力団連中を暗殺、戦闘しに行く、、、。
「実験でオキシジェンドO-001を混ぜたプランクトンを撒いたんだが、なるほどな、実験結果は取れた、巨大でも薬効が徐々に現れると」
そして付近の部下が水面を殴ってマッコウ鯨の群れを上空に吹き飛ばす。
「ヒャッハー!鯨花火だなぁ!」
「鯨の死体は鯨骨生物群集、ホエールフォールと言い、オアシスです、一寸の虫にも五分の魂があると言いますが、ならば我々は相対的に良いことをしたことになります、悔いることはない」
「あぁ?そうか、そうだなぁ」
裏に暗躍する翳りがあった、、、。




