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嵐 8

新年初めての投稿です(*^^*) 共々、よろしくおねがいします!



視点はレミニアリス⇢ルベルト となります。

暗殺も騒動も起きそうにない、のどかな昼下がり。


クッションを胸に抱きしめて昨夜のルベルトの言葉を反芻していたレミニアリスは突然の訪問に目を丸くした。


「レアー?ちょっといいかしら」


といきなりレミニアリスの部屋へやってきた母アリナディスはドレスの隠しから一枚の紙を取り出す。それを見たレミニアリスは少なからず表情を険しくさせた。


「夜会、ですか」


ええ、と答えたアリナディスは対称的ににっこりと笑ってみせる。勝手知ったるレミニアリスの部屋、アリナディスは適当なソファに腰を下ろした。


「フラヴィス侯爵があなたと王太子殿下のお祝いに、って開くと仰ってくださったのよ。…ほんとはアルフがしなくちゃいけないのだけど、近頃何かとあるじゃない?」


フラヴィス侯爵、とは第二妃ローズマリーの父を示す。人当たりのよい人物でいつも微笑みを絶やさない、という印象をレミニアリスは持っていた。


「こんな時期に、ですか…。もちろん、あえて…ですよね?」


「さぁ……どうかしらね?次に狙われるのはきっと私かレア、そしてセシリアでしょうけど。……アーノは無いわね」


恐ろしいことをさらりと言ったアリナディスにレミニアリスは言葉を詰まらせる。先日、ルベルトと話したときにも出たが、第三妃に毒を盛ったのはエリザベートであり、アリナディスはその濡れ衣を着せられているかもしれないという計画…。そのことが一瞬頭の隅をよぎった。


「心配なんてしないでね。私はなにもしていないもの」


レミニアリスの心境を見透かしたようにアリナディスは鋭く言葉を投げかける。


「…言っておくけど、このまま黙っておく訳ではないわ。アルフの考えを尊重するべきだと……あら、これは言っちゃいけないことだったっけ…」


最後はごにょごにょと誤魔化したアリナディスをレミニアリスは見逃さなかった。レミニアリスは薄い笑みを浮かべてアリナディスに迫る。その光景に侍女たちは大層驚いていた。


「お母様、説明してくださる?」


「…ダメなのよ。話したらアルフにお仕置きされちゃうもの」


ポッと10代の少女のように頬を染めて盛大に惚気けたアリナディスにレミニアリスは出鼻を挫かれた。いつまでたっても蜜月のような両親、しかも子供の前でも平気でいちゃつくような夫婦だ。


「聞かなかったことにします……」


あんなものを目の前で始められたらたまらない。目に毒だ。


「物分かりがいい娘で助かるわぁ。また時期が来たら教えるから、楽しみにしときなさい」


つまりは確信犯という訳だ。膨れっ面をしながらも、レミニアリスは頷く。満足気にその様子を見たアリナディスは出口へ向って歩き出す。レミニアリスの緊張の糸が切れかけたその時、アリナディスは振り返る。


「あ、エスコートは王太子殿下にしていただくのよ?他の人に釣られちゃダメよ、レア」


レミニアリスは含みかけの紅茶を吹き出しそうになった。そして全ての矜持を以ってして抑えこむ。


「…っ!……兄様じゃだめなのですか?」


「もちろんよ。…婚約解消したい?」


アリナディスの言葉を飲み込むと心の奥がモヤモヤと霧に包まれる。……婚約解消?冗談ではない。エリザベート達のこともあるが、それ以前にどうしてこんなにもモヤっとするのだろうか。別に食べ過ぎた訳ではなさそうだし…。


レミニアリスの沈黙をどう取ったのか、アリナディスはにんまりと笑う。


「ふふふふっ……。あなたが主役なのだから、それに応じたドレスにするのよ?あ、…言わなくてもノエルが理解してるはずよね。楽しみにしてるわよ、レア」


「……はい」


じゃあね〜、と軽く手を振りながらアリナディスは出て行った。






*****





「………夜会の招待状?」


「はい。……フラヴィス侯爵主催で、皇宮の……大広間を使うようですね」


ルベルトは手にしていた膨大な書類や嘆願書をバサリと執務机に置く。そして、適当なソファに身を沈めた。


届いた招待状の中身を確認していたシェスがその概要をルベルトに伝える。招待状を隈なく確認したシェスはそれをルベルトに手渡した。


こちらとしては、夜会に出向きたくはない。しかし、ミュリリアンヌが言っていた「楽しみだ」という言葉には懸念を隠せない。しかも……。


「俺とレミニアリス殿のお祝い……?ってことは主役で出て行けってことか……」


何気に流されているがこの夜会は皇宮の大広間を使う。


そして、皇宮の大広間を使用するためには皇帝の許可、もしくは皇帝自らが開く場合により使用されるのだ。例外は、即位と退位のみとなる。


「要するに……皇帝陛下主催の夜会、か」


皇帝はわざわざフラヴィス侯爵を使って招待状を出してきた、ということだ。そこに何かしらの意図はあるとわかるものの、それまでは読み取れない。


「行かないわけには行きませんしね…。準備はしておきます」


頼む、と一言返すとルベルトは再び書類に目を落とした。すると、シェスは怪訝そうに尋ねた。


「……え…ほんとに行くんですね?以前の様にすっぽかしたりするつもりですか?」


今度はルベルトが首をかしげる。なぜだ、と。


「俺が…?………あぁ、あれな。あれは仕方ない。それに今回は何もかも違うだろ?」


ルベルトは「とある事件」のせいで、夜会が嫌いだ。きらきらしい女たちの戦場なのによく男どもは飛び込めるものだ、と常々思う。


しかし今度の夜会は話が別だ。ほぼ勅命でもあるし、国を代表する王太子として出席しないわけにはいかない。


それに、レミニアリスの………。


未だよくわからないのだが、レミニアリスを見ると胸の奥が痛くなるのだ。シェスに尋ねたところ、「いろいろ患っている」と言われ驚いたものだ。何だと聞けば、「そのうちわかります」と言われた。


「……まぁ、そう……ですよね。いやー、何かあれば女王陛下に申し上げなくてはと思っていたのでよかったですよ」


ルベルトは頬を引きつらせて笑った。


また警戒すべきことが増えたな……と思いながら。




読んでくださってありがとうございます!<(_ _)>


書き溜めているものですが、漸くサブタイトルに近付きつつあります………。こんなに長くなるとは思わなかったです。:(´◦ω◦`):




更新の間隔が長くなりつつありますが、今後ともよろしくおねがいします(^^;)

             



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