嵐 4
第三妃ヴィルナが倒れてから幾日かたった夜。警護が厳しくなり、レミニアリスは息が詰まりそうになっていた。
そんな時、レミニアリスがノエルだけを就寝前に残すのはいつものことだ。女官たちも慣れたもので、全ての準備を整えると「おやすみなさいませ」と一礼して退出する。おつかれさま、とレミニアリスが後ろ姿に声をかけるが有能な彼女達はもう見えない。
「………つかれた」
大きなベットに辿り着くとレミニアリスはそのまま倒れ込む。黒髪は緩く薄桃色のリボンでまとめられているため、広がることはなかった。ノエルはまだ女官姿だが、レミニアリスは完全に寝入ることのできるネグリジェへ着替えている。
「ノエル……外へ出てはダメ?まだ眠れそうにもないし」
ややくぐもった声でそう問いかけるとノエルは呆れたような声を出す。
「いけません、と言えば私が退出した後に抜けだされるのでしょう?」
イタイところを付かれてレミニアリスはうっ、と詰まる。
「……嫁がれる時期もそろそろですし、何かと不穏なのでお一人になられるのはよろしくないですよ」
やんわりと諌めれてレミニアリスは諦める。
確かに、アーノルドがレミニアリスへ釘をさしに来てからというもの少しずつではあるが狙われる回数は増えていた。ノエルを含むレミニアリスに仕える女官たちが徹底的に潰しているのか、自分自身にふりかかることはあまりない。しかし、危険なことには変わりなく、常に神経をすり減らしていた。
「わかってる。……言ってみただけ」
ふて腐れたようになってしまったかもしれないが、ここ最近はずっとこうなのだ。自由に行動ができていない。
「陛下が粛清してくださるまでの我慢ですよ。…陛下方のことですから、尻尾は掴んでおられるはず」
「そりゃぁ、そうでしょうけど……。あ、リアネス伯爵に今日はお会いしたのよね。伯爵はなんて仰ってた?」
「…ご存知だったのですか?」
ノエルは少し困ったように笑う。鉄仮面や無表情だと勘違いされがちなノエルだが、レミニアリスの前では様々な表情をする。
「…父も先日の皇太子殿下と同じことを申していました。ですが、何かを隠しているようにも……」
レミニアリスは端に置かれた抱き枕を抱えて起きあがるとベットに座り込む。
「伯爵ならなにか知ってるはず…。でもノエルにも言えない、ってことかしら?」
リアネス伯爵家は名門家で血筋も辿れば皇家に繋がる一門だ。皇家の諜報活動を手助けする裏の仕事を行っているため、代々の皇帝たちの信頼も厚い。
「恐らくは……。お力になれず申し訳ありません」
ゆらゆらと揺れる燭台の炎が2人に影をつくる。すると、まだ残っていたらしい年若い2人の侍女が慌てた様子で寝室に入ってきた。
「何事ですか?姫様はもう……」
ノエルの厳しい咎めに一礼した侍女はたどたどしく報告する。
「え、えっと……。ザーシュバルド王太子殿下がお見えになられており、おりっ、ましてっ!」
「急ぎ、ご報告したいことがあるそうなのです。ご就寝なされているようならば控えると仰っておられますが」
声が裏返った1人の侍女と冷静な侍女のコンビにレミニアリスはぷっと吹き出す。ひとしきり笑うと応接室で待っていただくようにと命じた。
「……よろしいのですか?」
ノエルは不服そうに眉をひそめる。
「頭の痛い内容だとしても急いで伝えたいことなのでしょう?それに私も眠れないし……好都合だわ」
ノエルの渋面はまだ変わらない。むしろ、険しくなった。
「……の、ノエル」
気まずくなって声を出すが反応はない。滅多に見れない絶対零度のノエルがレミニアリスに問いかける。
「……こんな時間に王太子殿下とお会いする意味をわかっていらっしゃいますか??」
「婚約者に会うだけじゃないの?」
きょとんとして応えたレミニアリスにノエルはがっくりとうなだれた。
サブタイトルっぽくないお話になってますね……
申し訳ありませんllllll(-ω-;)llllll
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どこかに入れようと思っていた女官と侍女の違いについて補足させてください。
レヴァイノスには女官と言っても2つあるということです。
侍女は15歳ぐらいまでの娘さんがなるお役目で、女官はそれ以上の娘さん、という設定です。
ざっくり言うと女官見習いという……。
衣装みたいなのも書いてみたので、近々投稿したいなーと思っております。
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読んでくださって、ありがとうございます!❀.(*´▽`*)❀.




