29. 俺は王女様を守り抜く
トイレから出て、女王様とダイニングルームに来ていた。
既に高級料理が長いテーブルに、ずらりと並んでおり、いい匂いが食欲をそそる。
流石お城の食事だ。
「さぁ、女王様とレン様。こちらへ」
コイツが執事か。
優しそうな人だが、本当に女王を殺そうとしてるのか?
俺と女王様は、座り心地の良い椅子に腰を掛ける。
するとシェフと思われる人物が、近づいてきた。
「本日のお食事は、世界各地から私が厳選して選び抜いたパスタに、最高級のオトマトを――」
食事の紹介までしてくれるのか、なんて贅沢なんだ。
猫もよだれを垂らして料理に釘付けだ。
「それでは、いただきましょうか、レン」
「本当に頂いていいんですか?」
どのような見返りをすればいいのか困る。
「もちろんです。レンは私、そしてこの国が誇る魔法使いの一人です。気にせず、どんどん食べてください」
「そうですか、それでは頂きます」
ちょっと確認させてもらいますよ、シェフ。
スキル《真実の目》を使い、この料理に毒が入っていないか解析する。
どうやら、料理には変わったことは無いらしい。
それが確認できると、俺はパスタを口に運ぶ。
「美味しい……」
「フフ、そうでしょう? そこにいるシェフは世界で最も名が知られているのよ」
「恐縮です」
シェフは、上品にお辞儀をする。
俺は周りを見渡した。
猫が言ったと通り、部屋をを囲むようにメイドがたくさん立っている。
どれほどの力を持っているのだろうか?
レベル :83
HP :857
MP :544
攻撃 :164×2
魔力 :110
防御力 :100
素早さ :212
レベル83だと?!
驚いた、想像以上に強い。流石王国のメイドだけある。
次に俺は最高位の使用人である、執事に目をつけた。
レベル :99
HP :1201
MP :645
攻撃 :314
魔力 :521
防御力 :354
素早さ :312
これは正直予測していた。
他の使用人を動かす力を持っている執事が、
これぐらいの力がないのはおかしい。
ちなみにスキルも沢山の種類を持っているようだ。
確定だ。この執事が黒幕。
「それにしてもレン。あなたの出身国はどこですか?」
「……アルゲニルです。奴隷の身分なので国を追放されました」
つい言ってしまった。
城から追い出されるだろうか?
奴隷の分際でこの城に入るな、と。
なんて言う想像をしたが、どうやら王女様は追い出す気はないらしい。寧ろ……。
「……す、すいません。涙が出しまいました」
女王様に同情された。
同情をされるのは好きではない。
しかし、この女王様にされるのは、不思議と不快にならなかった。
「大変だったのですね。レン」
「はい、そりゃあもう。あれ程辛い思いをすることは今後無いと思います」
その瞬間だった。
泣いている王女様の背後に、先ほどの執事が剣を持って突然現れた。
女王様の首を取るつもりだ。
「《バックプリゼクト》」
執事はすっ飛んで行って、壁にぶつかった。
強い勢いでぶつかったせいか、壁には巨大なひびが出来てしまった。
「な、なんです?!」
女王様は後ろを確認して状況を把握しようとしている。
「ぐ、ふふ。流石レン殿、お見事です。少しばかり舐めていました」
大量の血を流しているが。
【972/1201】
対してダメージを受けていないようだ。
丈夫な体をしているな、コイツ。
「……私を殺そうとしたの?!」
「えぇ、前々からことは殺そうと決めていましたよ。女王様」
執事が微笑みながら女王様に言った瞬間、
たくさんのメイド達が、ナイフを女王様に投げつける。
「危ない!」
瞬間移動をして女王様の目の前に立った。
詠唱が間に合わないので、全てナイフを受けようと思っていたのだが、
俺には刺さらなかった。高位のバリアで、ナイフを防ぐ。
「このバリアは!」
執事は驚いている。
「……猫??」
そう、俺の肩に乗っかっている猫の魔法だ。
恐らくこのバリアはSランクのバリア。
俺ですらSランク魔術の扱いが困難なのに。
こんな涼しい表情で使われたら流石に萎える。
「《ザディブニル》」
青い火を俺に向かって出す。
高温で発射スピードが速いため、青くなるのだと推測される。
俺はその火の玉を素手で打ち消した。
「な、なんだと?!」
「ふっ、この程度の魔力じゃあ、俺の体に傷をつけられねぇよ」
「まさかここまでの奴だとは……」
次はメイド二人が走って女王様を狙うが、俺は殴って蹴り飛ばした。
魔法だけが俺の得意分野じゃない。
他のメイドも俺に攻撃をするが、剣術と魔術をうまく使い、気絶させた。
そうして残りメイド3人、執事1人となった。
「……」
裏切られたせいか、しゃがんで泣きそうになっている女王様に向かって、俺は言う。
「女王様」
「は、はい……」
「安心してください。何があっても、俺が守り抜きますから」
その言葉を聞いて、とうとう泣いてしまった。
よっしゃ、決まったぜ!
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