16. お化け
ココも扉の前までやってきた。
「どうしたんですか?」
「ルナが部屋に帰ってこないらしい」
「え、ルナさんが……」
「宿舎の中は探したのか?」
「通り探したんだけど、どこにもいない。今、先生にも探してもらっているの」
宿舎の中は異常に広いので、もしかしたらたまたま合わなかっただけかもしれない。
それに宿舎の隣にある学校の方に、まだいる可能性がある。
だが、もしかすると……。
「何か問題が起きる前に早く探そう」
「わかった!」
俺たちは、手分けしてルナを探ことに決めた。
宿舎の中は、ココとクロエに探してもらい、
ルナがいる可能性が低い学校の方は、俺が探す。
「暗いな。《ライトボール》」
魔法で、当たりを明るくした。
それにしても、どこに行ったのだろう。
少し歩いていると、俺の《真実の目》のスキルに、追跡機能が着いていることを思い出した。
すっかり忘れていた。
スキルを使うと、このまま廊下を先に進んだ所にいると判明した。
すると廊下の先から、目が赤く光る魔物がこっちへやってきた。
「学校に何故魔物がいるんだ……《ウォーターシャープ》」
鋭い水に魔物がぶつかり、どんどん倒れていく。
魔物のレベルは48か、余裕で倒せるが、通常の魔物にしてはレベルが高すぎる。
嫌な予感がしたので、走り出す。
追跡機能によると、女子トイレにルナはいるようだ。
「おい、ルナ。ここにいるのか?みんなお前のことを心配してるぞ」
「れ、レン……助けてくれ」
やむを得ないので、俺は女子トイレの中に入ることにした。
「入るぞ」
トイレの中で泣いているようだった。
すると扉がガチャりと開いて、ルナが足を引きずって出てきた。
「ルナ、どうしたんだその傷は……」
血が出ていた。
【HP:89/302】
「お化けが……お化けが出たのだ!」
何を言っているのだろう。
お化けなんかこの世に存在しない。
とりあえず、回復をしてあげよう。
「《レッドヒール》(赤回復)」
【HP:225/302】
「ありがとう」
どうやらルナは魔物とお化けを勘違いしたみたいだ。
こいつは、おっちょこちょいなんだな。
「ほら、宿舎に帰るぞ」
「やだよ、怖い……」
「大丈夫だ、お化けなんかいないから」
「ほ、本当にいたぞ」
すると足音が聞こえ始める。
もちろん、俺とルナの音ではない。
――じゃあ一体、誰の足音なのだろうか。
ルナは震え始める。
正体を突き止めるため、俺はルナの手を引っ張り、廊下に出た。
するとそこに居たのは……。
――――ルナだった。
「え、は?ルナが2人だと?」
「ほら言っただろ!お化けがいるって」
確かに、これはただの魔物では無いようだ。
「え、なんで私が二人いるの?」
もう一人のルナも、困ったような表情をする。
だが《真実の目》がある俺からすると、
どちらが本物のルナかなんて、一目瞭然だ。
「ハハ、俺を騙そうなんて、100年早いと思うぞ。お前は誰だ?」
もう一人のルナは、ニヤニヤと君が悪い笑顔を見せた。
「わたくしの正体を見破るとは……なかなかやりますねぇ!」
そう言いながら、本当の正体を表す。
いや普通に分かるだろ。
人の姿をしているが、魔物を連れてきたので、こいつはただの人間じゃない。
おそらく、魔族かなんかだろう。
「何が目的でこの学校に侵入した」
「簡単な話です、この学校の人間は魔族を何人も殺してきました。危険なので今のうち殺しておこうと思ったのですよ」
こいつは平然な顔をしているのだが何故か、ものすごい殺気を感じた。
「危険なのはお前ら魔族の方だ、魔族が人間を殺すから、人間は魔族を殺す。気づかないのか?」
「もうなんでもいいのでとっとと死んでください!」
そいつは走ってきた。
俺に攻撃をしてくると思ったが、ルナのことを爪で攻撃しようとしているようだ。
動きが早すぎて詠唱を唱えられないので、
俺はルナの前に立ち、代わりにその攻撃を受ける。
その後すぐに、そいつを蹴り飛ばした。
「れ、レン!血が……」
胸の深くまで傷を斜めにおってしまった。
だが俺からすれば、このぐらい大したこと無い。
「大丈夫だ、ルナは俺の後ろで見てろ」
「死ねいぃぃ!」
魔族
レベル:84
HP:420
MP:120
攻撃:204
魔力:112
防御力:93
素早さ:164
どうやら、魔族だがあまり魔力は強くないらしい。
それにこのレベルでこのステータス。かなり弱いようだ。
ただ、レベル63のルナより強いのは確か。
またもや長い爪を立て、俺の方に走ってくる。
こいつはこの攻撃以外できないのだろうか?
さっきは油断したが、同じミスは繰り返さない。
俺は片方の爪を手で握り、折る。
バリっと言う音が廊下中に鳴り響く。
「いてぇー俺の爪が!殺してやる。《ボディブレイク》」
どうやら、俺の体を爪で貫通させようと思っているようだ……。
確かにスピードは早い。だが単純な動きだ。
「《ブラストバック》」
小さく爆発し、すごい勢いで吹き飛んでいく。
よく先を見て考えられずに攻撃するからこうなるんだ。
「隙だらけだな、お前の実力じゃあ俺を倒せねぇ」
よくみると、アイツは気絶をしているようだ。
みんなにルナは無事だと、報告しよう。
「面白い!」
「期待できそう!」
「やるやんこいつ」
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