異世界にて職を得る
僕はマールバラ伯爵のお屋敷をお暇した後、教えてもらった通り、まっすぐに冒険者ギルドに向かった。
誰かが付いてきてるような気も感じているが無視しておく。まあ怪しい人物な自覚もあるからね。襲ってきたらその時は返り討ちにしてやるだけだ。
…それにまあ、実際説明も雑だった自覚もある。怪しさ満載だよね。監視が付いた程度で済んだため、キャサリンさんには頭が上がらない。
閑話休題
そのまま歩いて10分ほど、僕は冒険者ギルドの前に到着していた。
周囲には剣やら斧やら持ってる人が多い。一部にはよくあるファンタジー風の魔法使いの恰好をしている人もいる。
…キャサリンさんを助けた時から薄々感じていたが、僕の恰好が浮いている。何処かで服を調達しなければならないな。
そんなことを思いながら僕は建物の中に入る。
中に入ったらこれまたファンタジー作品によくある内装だった。カウンターがあり、酒場みたいなのがある。受付嬢もいるし、酒を飲んでいる人もいる。
しばらくの間雰囲気に圧倒されていたが、気を取り直した僕は適当な受付嬢の元に向かった。
「マールバラ冒険者ギルドへようこそ。どんな御用でしょうか?」
営業スマイルを浮かべた受付嬢が応対してくれた。
「冒険者への登録をしに来ました」
「かしこまりました。それでは書類を準備しますね」
そう言って受付嬢は裏に下がっていった。
え、ここで放置されるのか。何か嫌だな…。
「おいおい、こんなヒョロガリが冒険者になろうだって?帰ってママのおっぱい吸ってた方がいいんじゃないか?」
突然、後ろから大声を出されたので振り返れば、そこにはいかにもな大柄な男がいた。おそらく冒険者なのだろう。
しかしママ?その言葉に少し苛つき、僕は口を開く。
「世の中には親がいない子供もいるだろう。そういうことも考えて口を出した方がいいぞ」
苛ついたからかため口になってしまった。反省しなきゃ。
「てめえ、先輩になる相手になんつー口を聞きやがる!お仕置きが必要そうだな!!」
そう言うと、腰に下げていた斧を掴み、僕に振り下ろしてきた。
あまり素早くなかったので、僕は難なく避けられた。
すると彼の斧は勢い余って受付のテーブルに刺さってしまった。
ドガッ!!という大きな音に、これまで遠巻きに眺めていた他の冒険者達が集まってくる。
「お前ら、何の騒ぎだ!!」
すると受付の奥からムキムキのおっさんが登場した。どんどんおっさんが増えてむさ苦しくなってくる。
「ギルド長、ジョンのやつがいつもの新人絡みしてたら激昂してテーブルを破壊してしまったんだ」
冒険者の誰かがギルド長?にそう訴えている。
「ジョン!またお前はギルド内で武器を抜いたのか!オマケにテーブルまで破壊するとは!!今度という今度は許されないぞ!!!!」
ギルド長が僕に絡んできたジョンとかいう冒険者に怒っている。どっちも同じくらいの体格差なのにジョンが滅茶苦茶萎縮していてビックリしている。
ギルド長ってのはそれだけ偉いのだろうな。
一通りの説教を終えたギルド長は次に僕の方を向く。さて、何を言ってくるのか
「すまんな。実は新人へのある程度のストレス耐性を見るために誰かが絡むことになってるんだ。だがまさかご法度のギルド内での武器使用をするとは…。ジョンは厳罰は免れないだろう」
そう言うとギルド長はまたジョンをジロリと睨む。ジョンはこれでもかというほど小さくなっている。
「正直、私が多少舐めた口聞いたのも悪かったと思います。申し訳ございません」
ここは念のため謝っておこう。
「ハハッ、この業界だと多少の舐めた口は常識だぞ。貴族じゃないんだからな」
それもそうかな。それはそれとして目上の人には敬意を示す。
「それで、私は登録の途中でした。試験?の結果はいかがでしょうか」
「ああ、お前は合格だ。Dランクのあいつの斧を避けられるのは素晴らしい。すぐに応募書類を用意させる。ところでお前、名前は?」
また名前を聞かれたので、僕は答える。
「ホシノ・ミライと申します」
「ホシノか、俺はアイレクス。ここマールバラ冒険者ギルドの長だ。よろしくな!」
こうして僕は冒険者ギルドに登録したのだった。
ありがとうございました!




